冷凍機械責任者はビルメンテナンス業において、しばしばビルメン4点セットのうちの一つと位置づけられる資格です。冷凍機械責任者は高圧ガスを製造する施設での保安業務を行うための国家資格です。冷凍機械責任者は第一種、第二種、第三種と資格の区分がわかれている資格です。
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冷凍機械責任者の資格は講習会で免除できる科目があるものの、国家試験に合格しないと免状を交付されません。そこで、冷凍機械責任者の試験はいったいどれほどの合格率で、試験内容はどのくらいの難易度なのかを第一種まで合格した方の意見を参考に紹介します。

[冷凍機械責任者]3種の合格率は高い?低い?難易度は?
まずは、ビルメン4点セットのうちの一つの資格である「第3種冷凍機械責任者」の合格率・難易度について見ていきましょう。
冷凍機械責任者3種の合格率の推移[試験]・免除者の合格率
全科目(法令・保安管理技術)受験者の合格率
第3種冷凍機械責任者試験は、年度ごとに合格率のばらつきが大きい試験であり、特に平成26年度以降は難易度が上昇している傾向が見られます。しかし、令和3年度以降は再び合格率が高まる傾向もあり、今後の動向を注視する必要があります。受験される方にとっては、過去の合格率だけでなく、年度ごとの難易度の変動を意識した対策が求められる試験といえます。
科目免除合格率
参照:https://www.echoland-plus.com/
第3種冷凍機械責任者試験では、第三種冷凍機械講習を修了している受験者は「保安管理技術」が免除され、「法令」のみを受験する形になります。このため、免除科目者の合格率は高く、平均して86%という水準で推移しており、一般受験者の合格率(おおよそ30%台)と比べると、非常に高い合格率となっています。
第3種冷凍機械責任者の検定講習の合格率
年度 | 前 / 後 | 受験者 | 合格者 | 合格率 |
---|---|---|---|---|
H29年度 | 前期 | 1753 | 1213 | 69.2 |
後期 | - | - | - | |
H28年度 | 前期 | 1774 | 1249 | 70.4 |
後期 | 861 | 684 | 79.4 | |
H27年度 | 前期 | 1910 | 1355 | 70.9 |
後期 | 1054 | 822 | 78 | |
H26年度 | 前期 | 1408 | 1056 | 75 |
後期 | 875 | 623 | 71.2 | |
H25年度 | 前期 | 1395 | 1170 | 83.9 |
後期 | 806 | 581 | 72.1 | |
H24年度 | 前期 | 1379 | 975 | 70.7 |
後期 | 849 | 628 | 74 | |
H23年度 | 前期 | 1329 | 926 | 69.7 |
後期 | 782 | 587 | 75.1 |
第3種冷凍機械責任者の検定講習は「保安管理技術」科目のみの講習となります。なので時間的余裕もあるかもしれません。第3種冷凍機械責任者の検定講習は講義内容で学んだことが検定試験で問われるので、用語の整理と記憶の定着が重要です。第3種冷凍機械責任者の検定講習は合格率が100%ということはなく、平均73%ほどの合格率となっています。
第3種冷凍機械責任者の難易度はどのくらい?
第3種冷凍機械責任者は、冷凍機械責任者の中でも難易度が低い試験になります。第3種冷凍機械責任者の試験内容の難易度は工業高校で学ぶ内容程度の難易度とされています。仮に文系卒で第3種冷凍機械責任者の資格の取得を目指している場合、独学で勉強するならば勉強時間が1か月以上程度でそこそこかかってきます。文系の場合は検定講習を受けて、保安管理技術を勉強するほうが合格率は高くなるでしょう。第3種冷凍機械責任者の試験内容自体はボイラー2級よりも難易度が高く、単純暗記だけでなく、計算の速度と質が求められてきます。
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[冷凍機械責任者]2種の合格率は高い?低い?難易度は?
次に、冷凍機械責任者の資格の区分の中でも中位に位置する第2種冷凍機械責任者の合格率・難易度を見ていきましょう。
冷凍機械責任者2種の合格率の推移[試験]・免除者の合格率とは
全科目受験者合格率
第2種冷凍機械責任者試験の合格率は、近年30%前後で推移していますが、過去には13%台~16%台という極端に低い合格率の年も存在していました。受験者数は減少傾向にありますが、合格者数は一定に保たれているため、試験の難易度は安定していると考えられます。ただし、年度ごとの難易度変動には注意が必要です。合格を目指す受験者は過去問演習と計算問題対策を重視し、試験傾向を分析することが重要です。
科目免除者合格率
第2種冷凍機械責任者の科目免除試験の合格率は平均80%を超える非常に高い水準で推移しており、特に平成24年度(94.4%)、平成25年度(91.9%)など、90%を超える年も存在しています。一方で平成26年度(71.0%)のみ合格率が大きく低下しており、この年は試験の難易度が一時的に上昇した可能性が考えられます。
令和元年度以降も概ね80%以上の合格率を維持しているため、適切な対策を行えば十分に合格が可能な試験であるといえます。過去問対策をしっかり行い、出題傾向を把握することが合格への近道となるでしょう。
第2種冷凍機械責任者の検定講習の合格率
年度 | 前 / 後 | 受験者 | 合格者 | 合格率 |
---|---|---|---|---|
H29年度 | 前期 | 1326 | 820 | 61.8 |
後期 | * | * | * | |
H28年度 | 前期 | 1245 | 582 | 46.7 |
後期 | 882 | 502 | 56.9 | |
H27年度 | 前期 | 1116 | 740 | 63.5 |
後期 | 906 | 576 | 63.6 | |
H26年度 | 前期 | 1064 | 599 | 56.3 |
後期 | 864 | 559 | 64.7 | |
H25年度 | 前期 | 1149 | 734 | 63.9 |
後期 | 852 | 494 | 58 | |
H24年度 | 前期 | 1093 | 684 | 62.6 |
後期 | 876 | 536 | 61.2 |
第2種冷凍機械責任者の検定講習は、他の種類の検定講習同様に、完全に100%合格できる講習ではありません。おおよそ70%近くが毎年検定試験に合格しています。第2種冷凍機械責任者の講習検定は、公式の暗記が重要で計算問題をいかに効率よく解答するかが大きなカギとなっているようです。
第2種冷凍機械責任者の難易度とは?
第2種冷凍機械責任者の試験内容の難易度は、1種より難易度が低く、3種より難易度が高い試験です。第2種冷凍機械責任者の難易度の目安としては工業高校卒業レベル程度の難易度とされています。学識の計算問題や保安管理技術の問題は難易度が高く、公式暗記や過去問対策、用語の整理など頭に入れる要素が非常に多くあるので、難易度が高い試験です。第2種冷凍機械責任者については単段圧縮機を現場で触っていたりすると、難易度を下げることができる試験です。第2種冷凍機械責任者の問題の対策は、保安管理技術・学識は出題内容の難易度が高いので、絵にかいて整理するとインプットが速くなるでしょう。
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[冷凍機械責任者]1種の合格率は高い?低い?難易度は?
最後に、冷凍機械責任者の資格の区分の中でも最上位資格である第1種冷凍機械責任者の合格率・難易度を見ていきましょう。
冷凍機械責任者1種の合格率の推移[試験]・免除者の合格率
全科目受験者合格率
第1種冷凍機械責任者試験の合格率は平均28.3%と、30%を下回る水準で推移しており、難易度の高い試験であることがわかります。しかし、直近4年間(令和2年度~令和5年度)を見ると、20%(令和2年度)を除けば30%以上の合格率を維持しており、比較的合格しやすくなっている傾向が見られます。
受験者数はやや減少傾向にあるものの、合格者数が一定数確保されていることから、受験者のレベルが向上している可能性が考えられます。今後も合格率の変動には注意が必要ですが、適切な対策を行えば、合格の可能性は十分にある試験といえるでしょう。
科目免除者合格率
第1種冷凍機械責任者試験には科目合格制度があり、合格している科目は免除できます。科目合格による免除者の合格率は以下のようになっています。
第1種冷凍機械責任者試験の科目免除者の合格率は90%前後と非常に高い水準で推移しており平成25年度(98.5%)や平成28年度(97.3%)のように、ほぼ全員が合格する年も存在しています。また、直近の令和5年度(93.4%)、令和4年度(93.7%)においても依然として高い合格率を維持しており、免除制度を活用することで合格の可能性が飛躍的に向上する試験であるといえます。免除資格を得るための講習受講が、合格への最も確実なルートの一つ であると考えられます。
第1種冷凍機械責任者の講習検定の合格率の推移
第1種冷凍機械責任者の講習検定は、50%台〜70%台の合格率で推移しており、決して簡単な試験ではないことがわかります。特に令和5年度(49.7%)のように、50%を下回る年もあるため、十分な対策が必要です。一方で、令和4年度(86.1%)のように、年度によって大きく合格率が変動することも特徴的です。
講習検定は3日間の講習があり、受講費用がかかるというデメリットはあるものの、合格すれば本試験の科目が「法令」のみになるという大きなメリットがあります。そのため、講習中の内容をしっかりと理解し、特に計算問題の対策を重点的に行うことが合格の鍵となるでしょう。
第1種冷凍機械責任者の難易度はどのくらい?
第1種冷凍機械責任者の難易度は、「大学工学部レベル」とされています。機械工学等の工学分野を専攻していれば、勉強は十分なものとなります。第1種冷凍機械責任者の難易度は当然2種、3種より高い試験です。第1種冷凍機械責任者は検定講習がありますが、検定講習も同様の難易度で検定試験では数式を含め5問の計算問題が出題されます。採点方法は明記されていませんが、計算方法まで見られているので、論理的に問題を解く必要性があります。
第1種冷凍機械責任者は、例えば冷媒噴射量に関する問題、圧縮機吸い込み蒸気の比エンタルピーに関する問題などが出題されますが、これらのような問題を解答するための公式を覚えておかないといけません。覚える量と学習内容が大学工学部レベルなのと、求められる計算速度・精度からして第1種冷凍機械責任者の難易度は相当高いです。第1種冷凍機械責任者の難易度をほかの資格と比較するならば、特級ボイラー試験並みに難易度が高い試験です。2016年試験第1種冷凍機械責任者に合格された方の勉強時間を参考にすると、勉強時間は検定講習を含め500時間相当だったようです。勉強時間を考慮しても第1種冷凍機械責任者の難易度は高いです。
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まとめ
以上のように、冷凍機械責任者の試験・講習の合格率・難易度を1種、2種、3種別に紹介してきました。冷凍機械責任者の資格はビルメンテナンスでも人気の高い資格で、取得すると、昇級するなどの待遇の向上というメリットが挙げられます。冷凍機械責任者の難易度は工学系の学問を収めていない場合、難易度は高く感じられるでしょう。しかし、計算問題・公式の暗記を含めて過去問から似たような傾向を持つ問題が多く出題される試験です。努力量が報われる試験ではあります。
冷凍機械責任者に関してよくある質問
Q:冷凍機械責任者って何?どんなことができる?
A:冷凍機械責任者とは、高圧ガス製造保安責任者という国家資格の1つで、冷凍設備に関わる設備・装置の保安業務を行う役割を持ちます。1種から3種まで分かれており、取得すると、昇級するなどの待遇の向上等のメリットがあります。 仕事の内容は、管理や保守点検業務が主で、ビルメンテナンスからインフラ向けなど、幅広い分野で活躍します。
Q:冷凍機械責任者の難易度ってどれくらい?
A:第3種は工業高校で学ぶ内容程度、第2種は工業高校卒業レベル程度、第1種は「大学工学部レベル」とされています。それぞれのレベルによって、必要となる対策法、準備方法が異なってきますから、過去問などを通して傾向を掴んでおきましょう。
Q:冷凍機械責任者の受験資格は?
A:受験資格の制限は一切ないため、誰でも受験することが可能です。