「ビルメンテナンスは楽!だ」という声を建設業界従事者の方は聞いたことがあるのではないでしょうか。ビルメンテナンス業を志望する大学生の中には司法試験の受験勉強をするための時間を取るために暇だと噂されるビルメンテナンス業を目指す学生がいます。
何をもってビルメンテナンスを楽ととらえるかは、人それぞれです。ビルメンテナンスが楽とされる理由として、時間的拘束が少ないからなのか、仕事量が少なくてすむからなのか、など「楽」という言葉はひとくくりには言えない面がありますが、グーグルでビルメンテナンスと検索すると、関連ワードに「ビルメンテナンス 楽」と出てきます。これは本当にビルメンテナンス従事者が楽だと思うことの現れなのでしょうか?
そこで、ルメンテナンスは、何をもってして楽なのか?果たして本当に楽な仕事なのか?という観点からビルメンテナンスが楽かどうかを解き明かしていきます。
ビルメンテナンスが楽とされる理由とは?
設備管理が楽なのか?夜勤でも勤務できる
ビルメンテナンスが楽とされる理由はその仕事の特性などが関係しています。ビルメンテナンスにはいくつか業務がありますが、設備管理に限っていうと、設備管理の仕事は主に電気設備や空調設備の運転・維持管理業務です。工事まではやらないことが多いようですが、基本的には管理業務をこなしていくことが仕事になります。
この仕事の何が楽かといわれているかというと、業務の型が決まっていることが多く、作業になりがちなことが楽といわれるゆえんなのかもしれません。他の仕事と比較して創意工夫などのアイデアを仕事に持ち出しにくいことことがあるようです。確かにビルメンテナンスの給料・年収はそこまでよくないですが、このような仕事なので長く働くことができるのが特徴です。
また、労働時間に関しては、系列系のビルメンテナンスだと、残業に厳しい会社が多いために早く帰れと言われることがあるようですし、定時退勤も可能なようです。夜勤の場合は仮眠がある宿直勤務の勤務形態をとることができるので、夜行性の人間にとっては相性がよさそうな勤務形態です。
ビルメンテナンス業は掲示板等でしばしば楽な職業だといわれていますし、他業界従事者からもそのような声を聴いたことがあるのではないでしょうか。基本的に、ビルメンテナンスが楽かどうかは「現場による」ということがよく言われています。が、大まかに以下のような理由があげられるようです。
楽な理由その①一日のスケジュールに暇な時間がある
ビルメンテナンス、特にオフィスビルの設備管理業務は、一日の仕事は、日常点検、月次点検とテナントからの問い合わせ対応が中心で点検業務で異常がなければ待機ということがあるようです。待機している間は、パソコンでネットサーフィンをするなどといった具合です。
そんな一日を何日も繰り返すビルメンテナンス士が存在していることからビルメンテナンスは楽とされているのでしょう。
実際にビルメンテナンスをしている人の一日のスケジュールはどうなっているのでしょうか?そこで、実際にビルメンテナンスをしている人の一日のスケジュールは以下のようになります。
ビルメンテナンス士Aさんの一日のスケジュール
- 出社:
朝礼と当日の作業スケジュール確認 - 午前:
地下の受変電室内の月次巡回点検。各種計器盤を読み、記録をつけて異常が無いかどうか点検。その後、お客さんの室内のブレーカが落ちたとの連絡を受けて現地にて対応。 - 午後:
夏場を迎えるので屋上の空調設備の点検と整備、クーリングタワーの清掃。周囲の雑草の除去。
その後、外壁修繕のために工事業者と現地を確認して打ち合わせを行い、ビルオーナーに提出する資料を作成。 - 夕方:
今日は宿直。夜間、テナントの室内改修があるため、作業工程の確認後、夕食。 - 宿直:
テナント室内の改修作業のため工事業者へ資材の搬入ルートの説明と作業時の注意点を指示。その後、就寝前の設備機器の巡回点検。 - 夜中:
仮眠中に監視用端末から設備機器異常の警報が発報。現地を確認するとテナント改修をしていた工事業者の作業ミスによるものと判明。異常が他に波及していないことを確認して復旧。再び仮眠。 - 起床:
朝の設備機器の巡回点検。警備員と深夜の業務確認。 - 朝礼:
昨夜の業務報告と引継ぎ後、24時間勤務を終了し、帰宅。いわゆる明け番と呼ぶもの。
これがとあるビルメンテナンス士の一日の流れになっていますが、一言に楽とはいえないような業務内容なのではないでしょうか。
お客さんからブレーカーが落ちたとの連絡があったというのは毎日のように起こることとは言えません。ですので、激務に感じるときはこうした緊急時などではないでしょうか。
ビルメンテナンスには勤務形態として大まかに夜勤と日勤が存在します。このAさんの場合は、日勤(朝から晩まで)の勤務形態ですが夜勤だとまた別の一日のスケジュールになりそうです。
夜勤ですと少し給料は上がりますが、夜勤ですのできついと思う方もいらっしゃるので一概に業務が楽とは言えないでしょう。また、ビルメンテナンスにおける勤務形態としては、「常駐型」と「巡回型」の2パターンがります。
楽な理由その②常駐型と巡回型の勤務形態で楽かどうかは変わる?
常駐型の設備管理業務
常駐型の設備管理業務はその名の通り、オフィスビルなど一戸建ての建築物の設備の管理を行う業務になります。
具体的業務内容としては、一つの建物設備の保守管理(建物常駐員) ビルや大規模施設に設置されている設備(電気・消防・空調・給排水・エレベーターなど)の保守管理を行う業務です。
これに加えて設備の点検も行います。工事は協力会社が基本的に行いますが、その協力会社の管理を行います。
一つの建設物に常駐し、設備管理業務を行いますので、担当する現場によっては楽な現場になる可能性があります。特にオフィスビルは楽とされているようですが、そもそも常駐型の設備管理業務の求人は少なく、そのような職につける可能性は極めて低いといえます。
非常駐の設備管理業務
非常中の設備管理業務は、これまたその名の通り、複数の現場を持ち、それぞれの施設の設備を管理する業務となります。具体的な業務内容としては、1人あたりビル・マンション等20~30物件(1都3県)を担当し巡回し、電気・給水・消防・空調設備の点検・保守・更新工事 貯水槽・空調機フィルター等の清掃 オーナーへの見積、提案やテナントへの周知 改修工事等の手配、立会 報告書の作成・提出業務を行います。
非常駐の設備管理業務では、1人で持ち回るより、チームで持ち回るほうが経験や技術の吸収が速くなりますので、非常駐であれば誰かと持ち回るほうが比較的人気です。
非常中の設備管理業務に関する求人情報のほうが世の中的には多く存在しています。常駐型の設備管理業務に比べれば激務かもしれませんが現場の人の中には、複数の現場を持ちまわれることから、飽きずに済む、新しい技術を吸収できるといったメリットがあるようです。また。常駐と比べて、非常駐のほうが年収が若干高いようです。
ちなみ、非常駐の設備管理業務ですと、資格を複数所持しているほうが年収は高くなる傾向にあります。
楽な理由その③現場によっては楽
オフィスビルが楽?
楽な現場とされる代表格としては「オフィスビル」があります。建設業界での勤務には宿直(泊りがけでの勤務)があります。しかし、オフィスビルでの勤務はこの宿直がなく、日勤が基本です。
オフィスビルは点検業務などが通常業務でそれ以外は暇ということもあるようですが、実際の勤務では当然ですが、オフィスビルにはサラリーマンのような働く人がいます。かれらは基本的には土日は休みです。
土日にサラリーマンが休みとなると、その裏でだれかが設備管理業務をしなければなりませんよね。その時に管理業務を行うのがビルメンテナンス士になります。
なので、土日での勤務も考慮すると決して楽とはいえないのではないのでしょうか?
病院施設は激務?
そうは言っても病院での設備管理業務は激務といいますが、本当に激務であることがおおいです。病院には患者がいるために患者に合わせた勤務体系をとる必要があるからです。つまりは夜勤がよく求められ、宿直もよくあるのが病院設備管理です。その分年収やボーナスがいいのは病院設備管理の特徴です。
まとめ:ビルメンテナンスは本当に楽なのか?
以上のようなビルメンテナンスが楽とされる理由を紹介していきましたが、一日の業務内容、勤務形態、勤務場所を考慮すると、楽だと一言では言えないようです。
何をもって楽とするかは人それぞれですが、ビルメンテナンスが楽だと思う理由としてあげられる以上のような理由には必ず排反事象が存在します。それらをどのようにとらえるのかによってビルメンテナンスを楽かどうかは変わってくるのではないでしょうか?