「ボイラー技士」は国家資格で、特級、1級、2級と資格の区分がありますが、このボイラー技士は将来性のある資格なのでしょうか?そしてボイラー技士の年収とはいったどのくらいの年収なのでしょうか?そうした疑問に関してを賃金基本統計やボイラー技士の潮流を含めて紹介します。

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ボイラー技士のとは?どんな仕事をする資格なの?

まず、ボイラーとはなんだろう?

ボイラーとは製造設備、あるいは冷暖房、給湯用のエネルギー源のことを指します。懐かしの蒸気機関車(SL?)にもボイラーが使われています。ボイラーの燃料は様々で木や紙、焚を使用するものやガス、軽油、重油を使用するものまで幅広くあります。

ボイラーの仕組みについては、メーカーや種類により異なるのですが、燃料を加熱し水蒸気や温水を生成するのがボイラーです。

そんなボイラーは「労働安全衛生法」によりその規格などが定められているのです。

 

一般的なボイラーの定義は「 密閉した容器内に水又は熱媒(特殊な油など)を入れ、これを火気、燃焼ガスその他の高温ガス(廃ガス、高炉ガス等)又は電気によって加熱し、圧力のある「蒸気」又は「温水」を作り、これを他に供給する装置。」とされています。

このようなボイラーを扱うために必要になる資格が「ボイラー技士」という労働安全衛生法に基づく国家資格なのです。*小規模ボイラーについては資格は必要ではありません。

そんなボイラーを扱うボイラー技士はどのような仕事を行うのでしょか?

ボイラー技士のお仕事とは

ボイラー技士には「特級」、「1級」、「2級」と三区分があります。資格の合格率などについては☞「ボイラー技士の難易度ってどんなもん?」この区分はボイラーの伝熱面積によって違いがあります。小規模ボイラーを取扱を行う「ボイラー取扱技能講習修了」という資格もあります。これらの違いは以下のようになります。

区分内容
特級ボイラー
小規模ボイラーから伝熱面積500㎡以上
1級ボイラー
小規模ボイラーから伝熱面積25㎡~500㎡以内
2級ボイラー
小規模ボイラーから伝熱面積25㎡以内
ボイラー取扱技能講習修了
小規模ボイラー

このような違いがボイラーの資格区分にはあります。ボイラー技士は伝熱面積に応じてボイラーの操作・点検業務を行うのです。

また、ボイラー設備のメンテナンス業務に加えて、保全計画の策定☞実行☞管理業務☞建設☞改造工事設計業務☞工事管理業務と幅広くボイラー設備の管理業務を行うこともあります。ボイラー技士は国家資格であり、その仕事を確立されているので、給料アップ・年収アップにつながることから長年人気の高い資格となっています。

次にボイラー技士の具体的な仕事内容についてどのようなものがあるかについてを見ていきましょう。

ボイラー技士のお仕事~求人はどんなの?~

ボイラー技士の求人情報

実際に資格を取得してもどんな求人情報があるのかを知っていないと、資格の活かし方やどんな求人に応募できるのかがわからないというのは国家資格取得者にはよく見られる傾向であるでしょう。

この求人情報では、「地域冷暖房(地域熱供給とも)」の設備管理業務に関する応募ですが、必須資格として2級ボイラー技士の資格を求めているようです。地域冷暖房については☞「地域冷暖房とは?」ちなみに、地域冷暖房設備でのボイラー技士はビルメンテナンスなどの他の業種よりかは少し年収が高くなることがあります。

具体的な仕事内容としては地域冷暖房システムの熱源・水源・電気設備の運転管理業務を求めています。他にはプラント設備においての保全管理運用業務を仕事内容として求めている求人情報もあります。

このような求人情報において「ボイラー技士」の資格のほかにどんな資格を求めているのかというと、「電験」、「危険物乙4」、「冷3」などのビルメン四点セットと呼ばれるような資格だったり、ビルメン上位資格であったりします。ボイラー技士の資格のみで転職活動し、求人に応募するのではなく、他の資格と掛け合わせて転職を行う方が年収を上げやすくなります。

ボイラー技士の職場にはどんなところがある?

ボイラー技士の職場のイメージ

ボイラー技士の職場のイメージ

ボイラーあるところにボイラー技士です。ですので実際にボイラー技士の職場は無数にあるのですが、代表的な職場として「商業施設」、「オフィスビル」、「地域冷暖房設備」などがあります。

特にこのうちビルメンテナンス、ビル設備会社においてはボイラー技士の資格を求めることが多いですので、ボイラー技士の資格を取得することを上司などに推奨されたことはあるでしょう。

地域冷暖房設備においても近年その勃興と同時にボイラー技士の資格保持者が求められるようになりました。先端技術を吸収できるという意味でも先進性が強い職場であるといえるでしょう。他にはコージェネレーションシステム設備などでもボイラー技士は活躍していますし、年収も高いです。次にそんなボイラー技士の年収についてを見ていきましょう。

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ボイラー技士の年収って高いの?低いの?平均年収・月給とは?

ボイラー技士の年収は高いの?低いの?賃金基本統計から調査

賃金構造基本統計調査によると、ボイラー技士の平均年収はおおよそ390万円となっているようです。また、ボイラー技士の平均年齢は48.8歳となっており、月給の平均給料は28万円となっているようです。

ボイラー技士資格には特級ボイラー、1級ボイラー、2級ボイラーの三種類の資格区分があります。資格の等級によって作業主任者になれるかどうかが変わってきます。ボイラー技士の資格の中では、2級ボイラーを所有する人が圧倒的に多く、ビルメンテナンスなどの設備管理において「ビルメン四点セット」と呼ばれるような資格保有が求められている資格群のうちの一つです。

そんなボイラー技士の平均年収は390万円と、日本人平均年収より低い年収となっているので、ボイラー技士の資格を活かして作業主任者になることは少し憚られる要素となっているのかもしれません。

ボイラー技士の年収を求人から分析

ボイラー技士の資格保有者を募集している求人の中から求年収の下限値と上限値についてを分析してみました。ボイラー技士を活かして転職活動を行う際にはこの求人情報に基づく年収は目安になるでしょう。

ボイラー技士の求人情報からみる年収(建職バンク内の求人情報80種から抽出)

ボイラー技士の求人情報からみる年収(建職バンク内の求人情報80種から抽出)

このグラフを元にすると、ボイラー技士の年収の下限値の平均は322万円上限値の年収の平均は498万円となっていました。

年収おおよそ322万円~498万円の年収帯での求人が平均的に分布しているようです。求人情報を元にしたボイラー技士の平均年収は410万円と、国税庁が発表している賃金構造基本統計調査での年収と20万円ほど違う年収となりました。ボイラー技士の年収を調査した求人はいずれも、ボイラー技士の資格の中でもほとんどが2級ボイラーを対象にしています。

ちなみに、ボイラー技士を必須資格としている求人情報の中で、ボイラー技士の年収の最大は620万円となっていました。2級ボイラーの求人であってもこれだけの年収が獲得できる可能性があるのです。ボイラー技士の年収が高い求人がどのような求人かというと、「地域冷暖房施設の設備管理者」のような求人でした。市場の成長性や産業の動向と連動してボイラー技士の年収も変動していっているのでしょう。

ボイラー技士で年収を上げるには?ボイラー技士を活かした転職の場合

ボイラー技士の平均年はおおよそ390万円であることがわかりましたが、ボイラー技士の年収を上げるにはどのような事が必要なのでしょうか。転職サイトを運営する建職バンクがこれまでの転職成功実績をもとにいくつか紹介します。

  • ボイラー技士以外の他の資格取得を目指す
    • 例えば、電気工事士、冷3などのビルメン4点セットをそろえていくことや、その上位資格である電験3種やエネルギー管理士、ビル管理士の資格保有を目指すことは転職を優位に運ばせることができるでしょう。転職の軸でボイラー技士の資格を活かした仕事を探すときに、電気工事士や電験などの他の資格を保有しているとその人のスキルの証明になり、評価につながります。また資格手当も年収に加算される可能性があります。
  • 実務経験を積んでアピールする
    • 資格を持っているだけでは年収アップにいはつながりにくいです。資格と合わせて実務経験を積んでいることが非常に重要です。ボイラー技士の資格を講習や試験で取得し、経験を積んで転職の際にその経験をアピールすることで評価の信頼性の向上につながります。

ここまでボイラー技士の仕事内容や求人、就職先、年収についてを紹介してきました。このボイラー技士という資格は将来性がある資格なのでしょうか?電気主任技術者のような資格では中長期的に需要が拡大していく資格であると経済産業省が発表しています。資格に対する需要は経済、社会、技術の変動によって変化していくものです。では、このボイラー技士の資格の需要は今後どうなっていくのでしょうか?

ボイラー技士の将来性

大容量ボイラー<小型貫流ボイラー?

年々ボイラーはボイラー技士の資格が必要になる規模のもの大容量ボイラーは使われなくなってきています。近年のボイラーの主流は「小型貫流ボイラー」となっています。

また、空調関連の機器にヒートポンプ設備や真空温水器が使用されるようになっています。温泉などでもコージェネレーションシステムを使用した熱と電気の生成も活発です。このように大容量ボイラーは年々需要が尻すぼみしていっているようです。コージェネレーションシステムでのボイラー技士の年収は比較的高いですので、近年活発になっている熱・電気の供給設備での設備管理の仕事をするために転職してみるのも一考です。

小型貫流ボイラーのイメージ図(出典:三浦工業株式会社)

小型貫流ボイラーのイメージ図(出典:三浦工業株式会社)

先にでてきた「小型貫流ボイラー」というのは。この図のようなものです。

小型貫流ボイラーの中でも多管式のものがほとんどで、この多管式小型貫流ボイラーは、安全性が非常に高いのです。

この多管式ボイラーの安全性が高い理由としては、上下の管寄せを伝熱管で繋ぐことで構成されており、缶内に有する缶水量が少ないため、保有するエネルギー量が少く圧力破壊が起きにくい構造になっているからです。

 

この小型貫流ボイラーを扱うためにボイラー技士の資格が必要になるのかどうかというと、

小型貫流ボイラーの取り扱いの資格は必要なのか

小型貫流ボイラーの取り扱いの資格は必要なのか

 

この表をみると現在のボイラーの主流である小型貫流ボイラーを取り扱うための資格は特別必要ありませんが、学科と実技による特別教育を受講すれば誰でも取り扱えます。小型貫流ボイラーは産業用のシェアを拡大してきていますから、2級ボイラーが必要になる伝熱面積30m²以上のボイラーの需要は年々下降していっているのではないでしょうか?

ですので、ボイラー技士の資格の需要は下がっていく可能性があります。ただ、このボイラー技士の資格を保持していることは「ボイラーに関する知識があることの証明」になります。

また、2級ボイラー技士以上を必須とする求人もあります。こうした求人は大規模な工場や地域冷暖房の建設などです。機械設計においてボイラーの知識が必要になるようなことがありますのでボイラー技士の資格がなくなるということは考えにくいでしょう。

まとめ

今回の記事では「ボイラー技士」の仕事内容や求人情報、年収、資格の将来性についてを紹介してきました。ボイラー技士の年収は390万円ほどですが、年収を上げるためにコージェネレーション設備や地域冷暖房設備での転職を行うことも選択肢の一つです。

ボイラー技士の年収はそこまでの金額を見込めないかもしれません。ですが、ボイラー技士の取り扱う「ボイラー」は非常に身近な存在です。温泉などでもボイラーが約に立っていますし、熱供給において重要な役割を果たしているといえます。

しかし、近年ではボイラーの趨勢とともにその資格の需要も減ってきているとの見立てもされています。wikiなどでもそのような記述がなされていました。とはいってもこの資格がなければならない職場というのはあります。必須資格としてのボイラー技士というよりかは、ボイラー知識の証明書として求められるような傾向にあります。