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電験3種の電力課目でしばしば出題される問題として「フェランチ効果」というものがあります。この記事ではそんなフェランチ現象がいったいどんな現象なのか?ということについてを紹介します。

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フェランチ効果とは?

フェランチ現象とは、送配電線路において、軽負荷時や無負荷時などに受電端電圧が送電端電圧よりも高くなる現象です。通常の送配電線路では、電圧降下つまり、送電端電圧よりも受電端電圧の方が低くなっています。しかし、フェランチ効果では、長距離送電線ケーブルのような長い系統のような場合において電線路によっては受電端電圧よりも送電端電圧の方が高くなることがあります。

ちなみに、フェランチ効果の由来はその発見者であるセバスチャン・フェランティにちなんで名付けられました。

フェランチ効果の原理

送電端電圧をE_s[V]、受電端電圧をE_r[V]、線路抵抗をR[Ω]、線路のリアクタンスをX[Ω]、負荷に流れる電流をI[A]、負荷の力率をcosθとおきます。

するとこのとき、電圧降下の値は以下の式で算出することができます。

E_s-E_s = RIcosθ + XIsinθ = I(Rcosθ + Xsinθ)[V]

式をみればわかるように、この式では単相を想定しています。三相交流の場合においては電圧降下を線間電圧で表します。線間電圧というのは三相交流の各相の電位差を表します。各相と大地間の電位差のことを相電圧と呼びます。三相交流の場合、線間電圧は相電圧の\sqrt{3}倍となります。ですので、同様に三相交流の場合の電圧降下の式は以下のようになります。

V_s - V_r = \sqrt{3}(E_s-E_r) = \sqrt{3}I(Rcosθ + Xsinθ)[V]

フェランチ効果の仕組み

フェランチ効果電気回路

フェランチ効果電気回路

単相電源にモーターを接続している状態で、電源とモーターの距離は相当に長いものとします。フェランチ効果はこのような長距離の送電路において発生する現象です。モーター側が需要家設備で、誘導性負荷が主体となっています。この時、一般的に電流は電圧と比較して「遅れ」の状態となっています。何が「遅れ」にあるのかというと、「力率」になります。

力率というのは電力を有効に使用できる割合のことを示します。力率には「遅れ力率」と「進み力率」があります。「遅れ力率」とは電流が電圧にたいして「遅れ」ている状態のことを示します。「進み力率」とは遅れ力率の逆で、電流が電圧よりも進んでいる状態のことを示します。

この電気回路の場合は電流が電圧に対して「遅れ」になっています。電力用コンデンサや進相コンデンサなどはの容量性のコンデンサは遅れ力率の改善をするために使用されます。

フェランチ効果のベクトル図

フェランチ効果のベクトル図

上のベクトル図はフェランチ効果を表すベクトル図になっています。図①では運転中の系統ベクトル図で、遅れ力率のベクトル図になっています。図②では停止中の系統ベクトル図で、進み力率のベクトル図となっています。

遅れ力率の場合

上図①のベクトル図において、遅れ力率の場合、フェランチ効果は発生しません。モーターの力率は低く、そのため電流が遅れます。電流IとRので夏V_rは同相で、遅れ力率の場合、リアクタンスは誘導性になり、電圧は電流より90°進みます。

このときのLの電圧は電圧降下です。送電端電圧V1は電圧降下と受電端電圧V2の合成電圧になり、電圧の大きさはベクトル線の長さになるので、送電端電圧V1>受電端電圧V2となることがわかります。

フェランチ効果は受電端電圧が送電端電圧より高くなるときに生じる現象です。ですので、遅れ力率のときの系統ではフェランチ効果は発生しないです。

進み力率の場合

進み力率の場合のベクトル図②において、電流IとRの電圧V_rは同相です。進み力率の際に、リアクタンスは容量性になるので、電流は電圧より90°進みます。リアクタンスの電圧降下Lの電圧Lはこのとき、電流Iより90°進みます。

送電端電圧V1は電圧降下と受電端電圧V2の合成電圧になり、電圧の大きさはベクトル線の長さになりますので、送電端電圧V1<受電端電圧V2となります。この時にフェランチ効果は発生します。

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フェランチ効果の問題、原因と対策

フェランチ効果の問題点

フェランチ効果が発生する理論的な仕組みについてを解説してきましたが、フェランチ効果は実際にどのような影響を系統等に与えるのでしょうか。フェランチ効果が問題とされるのは低圧電路ではなく、高圧電路において問題とされます。フェランチ効果が発生すると、高電圧電路に以下のような影響を与えることが問題とされています。

  • 変圧器やモーターが過励磁になり、磁気飽和が発生することで鉄損増加などの問題が発生する。
  • 電圧の増加に伴い絶縁物劣化が加速化する
  • 交流回路の高周波拡大問題が発生する可能性がある(JIS規格やガイドラインにより解決?)
  • 白熱電灯などの寿命が縮まる
  • フェランチ効果は、線路の電圧が高く、送電路のこう長が長いほど、また、単位長さ当たりの静電容量が大きいほど顕著になります。フェランチ効果による電圧上昇が多きいい場合は、電力系統の運用に影響をあたえ、絶縁設計上の問題点となる。

などのような問題が上げられます。

フェランチ効果の原因

フェランチ効果には以上のような弊害があり、フェランチ効果が発生すると最悪電供給が滞ってしまう可能性さえあります。具体的にどのような場合にフェランチ効果が発生するのかというと、以下のような原因で発生するとされています。

  • 自家用需要家受変電設備を夜間にコンデンサが入れたままになっている状態で発生することがある
  • 機器不良
  • 太陽光発電においてパワーコンディショナーの電圧上昇時抑制機能の動作(系統電圧が高い)
  • 太陽光発電において外来ノイズ、影の影響、系統不安定などの原因

フェランチ効果の解決策、対策

フェランチ効果の発生原因と、問題点についてを紹介しましたが、実際にフェランチ効果の発生による弊害を防ぐにはどのような策を講じればよいのでしょうか。

  • 進み力率が問題となるので、力率改善のために取り付けられている電力用のコンデンサを、軽負荷時には切り離しておくことや、分離リアクトルを接続することなどが挙げられます。
  • 上にあげたようなリアクトルを取り入れることによって進み力率を遅れ力率にするような改善が可能となります。

まとめ

以上のようにフェランチ効果についてを解説してきましたが、フェランチ効果の問題は電験の試験や、第1種電気工事士の問題で出題されることがある現象です。フェランチ効果は系統に影響を与える可能性のある現象です。その仕組みと原因、問題点、対策などについてを抑えておきましょう。

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