ビル管理士という資格は長年人気のビルメン上位資格の一角です。ビル管理士はビルメンテナンス業務全体を統括するマネジメントをするための資格といえますが、この資格、試験だと難易度が高く合格率も低い国家資格なのです。

難関資格「ビル管理士」が実際に難易度の割に合うような資格なのかどうかということを年収面から調査していきます。

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ビル管理士はビルメン上位資格の一角

ビル管理士資格の位置づけ

下のランキングはビルメンで人気な資格の合格率順になっています。このうち、電験3種、エネルギー管理士、ビル管理士が上位資格とされる資格群です。いづれも難関資格ですが、この中でも2番目に合格率が低いのが「ビル管理士」の資格なのです。わずか19%しかない国家資格ですので、勉強時間をそれなりに確保しなければなりません。

詳細なビル管理士の難易度、合格率、勉強方法については以下の記事をご参照ください。

ビル管理士の合格率は低い?高い?

ビルメン上位資格、消防設備士乙4、電工2種難易度ランキング(電験3種は一発合格率、電工2種は免除なしの場合)

ビルメン上位資格、消防設備士乙4、電工2種難易度ランキング(電験3種は一発合格率、電工2種は免除なしの場合)


ビル管理士の合格者数、合格率の推移

ビル管理士の合格率の推移(過去11年間)

ビル管理士の合格率の推移(過去11年間)

こちらのグラフは毎年のビル管理士の合格情報になります。毎年約1万人の受験者がビル管理士試験に受験し、毎年約2000人の受験生が合格しています。ビル管理士の受験者数は安定的に推移しているため、人気の高い資格であるといえるでしょう。また、ビル管理士の資格に対する企業側からの需要も安定的にあるので、職業としてのビル管理士は安定的な職業であるともいえるでしょう。

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ビル管理士の年収~平均年収など~

次にそんなビル管理士の平均年収についてをビル管理士を対象にした求人情報などを参考に調査します。使用する求人情報については建職バンク内の求人情報を参照しています。

ビル管理士(建築物衛生管理技術者)を対象とした求人情報40件からビル管理士の年収の下限値、上限値、平均年収についてを調査したものが以下になります。

年収下限値年収上限値平均年収
380.8万円590.2万円449万円

求人上を基にしたビル管理士(建築物衛生管理技術者)の平均年収はおおよそ449万円と算出されました。この金額が良いものかどうかを日本人平均年収、ほかのビルメン上位資格である「電験3種」、「エネルギー管理士」と比較してみます。

ビル管理士の平均年収を日本人平均年収と比較

年度平均年収
平成29年度432
平成28年度422
平成27年度420
平成26年度415
平成25年度414
平成24年度409
平成23年度414
平成22年度408
平成21年度409
平成20年度412

こちらは賃金基本構造等を参考に算出した日本人平均年収になります。なお、男女の別は問わない年収となっています。日本人平均年収はここから420万円ほどであることがわかります。ですので、ビル管理士(建築物衛生管理技術者)の平均年収449万円は日本人平均年収より少し高い金額であることがわかります。

ビル管理士の平均年収を電験3種、エネルギー管理士と比較

電験3種エネルギー管理士ビル管理士
432万円529万円449万円

電験3種の年収については☞「電験3種の年収調査!
エネルギー管理士の年収については☞「エネルギー管理士の年収調査!

これをみると、ビルメン上位資格の中でエネルギー管理士の年収が最も高いことがわかりました。ビル管理士の年収はこの中でも中位に位置づけられます。ビル管理士の資格は求人情報では必須資格というより、任意資格であると歓迎されることが多いようです。

電験3種は資格を活かした職種の選択が非常に幅広いのに対し、エネルギー管理士は選択肢が電験3種よりかは狭いです。

ビル管理士は確かに建築基準法により規定された国家資格ですが、ビル管理士(建築物衛生管理技術者)として選任されれば高額年収がもらえることがありますが、選任されるまではそこまでの年収は見込めないことがあるようです。あくまで求人情報ベースでの調査となりますので実際の実務上の年収とは異なることがありますので、参考程度でお願いします。

ビル管理士として選任されると、資格手当がもらえる。

ビルメンテナンス業界においては資格手当を支給されることがよくあります。ビルメンテナンス業を行うため、より広い業務を担えるようになるために資格を取得しますが、会社側も資格手当を月給として支給することがあります。

ビル管理士(建築物衛生管理技術者)の資格を取得し、選任された者に支給する資格手当は会社の規模等により変わってきますが、おおよそ独立系ビルメンで5000円系列系ビルメンで10000円が相場とされることがあります。

資格手当相場を考えると、建築物衛生管理技術者は比較的資格手当額が高い資格であるということができるでしょう。

ちなみにビル管理士(建築物衛生管理技術者)の選任規定は以下のように定められています。

【建築物環境衛生管理技術者の選任について(平成14年3月26日健発第0326015号)より】

 以下に示す場合であって、複数の特定建築物の建築物環境衛生管理技術者として職務遂行に支障がない場合には、以下のように兼任を認めることができる。

ア 学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する学校以外の特定建築物の場合
   統一的管理性が確保されている場合においては、3棟までの兼任を認めることができる。

イ 学校教育法第1条に規定する学校の場合
   同一敷地内又は近接する敷地内にある建築物で、統一的管理性が確保されている場合においては、兼任を認めることができる。

 なお、統一的管理性とは、建築物の維持管理権原者が同一で、かつ、空気調和設備、給水設備等建築物の衛生的環境の確保に係る設備が類似の形式であり、管理方法の統一化が可能なものをいうものであること。

では、ビル管理士の平均年収についてを見てきましたが、ビル管理士の資格を活かして年収を上げるにはどうしたらよいでしょうか?

ビル管理士(建築物衛生管理技術者)で年収を上げるには?

ビル管理士としていかにして年収を引き上げビルメンテナンス業界において市場価値を高めるのかということについてを紹介します。

複数資格を取得し、さらなる技術力アップ

ビル管理士(建築物衛生管理技術者)の資格だけでなく、電験3種やエネルギー管理士、さらには4点セットなど他の資格を取得することでより業務範囲を拡大させることで自分の価値を高めることもキャリアとして年収を引き上げるコツです。とはいえ、資格だけを保持した頭でっかちと思われては評価がされませんので、しっかりとした経験も両立して積む必要性があるといえるでしょう。

マネジメント経験を活かして技術者として必要な存在へ

ビル管理士の資格を取得した後は、ビルマネジメントの統括者としての業務をこなします。そうした中でよりマネジメント経験を積むことができます。基本的に転職市場においてはマネジメントができる人材は市場における価値が高いとされます。ですので、マネジメント経験を積んでいくことで技術とマネジメント経験を両立してつむことが可能になるでしょう。そうすると、よりいい待遇を手にすることができるようになるでしょう。

結論!ビル管理士は割に合うのか?

以上のようにビル管理士の合格率、年収、年収比較についてを紹介してきましたが、ビル管理士の資格は難易度のわりに合わないと思われる方もいらっしゃるかもしれません。。ですが、ビル管理士として選任された後のキャリアを考慮すると、年収の伸びはある資格と言えます。資格を活かせるかどうかは自分次第な資格ともいえるでしょう。