ビル設備管理技能士という国家資格をご存知でしょうか?この資格世間的な知名度は低いかもしれませんが、ビルメンテナンス業界従事者ならばご存知かもしれません。ビル設備管理の資格を取得するとキャリアアップにもつながることがあるので、びつ設備管理技能士の資格を取得することを考えている方もいらっしゃるかもしれません。
この記事ではそんなビル設備管理技能士の資格についてどんな資格なのか?、受験資格や試験科目、合格率はどのくらいなのかをまとめた記事になります。
ビル設備管理技能士とは?
ビル設備管理技能士とは技能士の国家資格の1種になる資格になります。もちろん国家資格ですので資格試験があります。
このビル設備管理技能士試験は公益社団全国ビルメンテナンス協会(職業能力開発促進法第47条第1項に定める指定試験機関)になります。⇒HP参照
だれでもビル管理技能士と名乗れるわけではなく、ビル設備管理技能士試験(学科および実技試験)を合格するこでビル設備管理技能士と称することができます。これは職業能力開発促進法第50条の規定により定められています。つまりビル設備管理技能士という資格は名称独占資格となるのです。
ビル設備管理技能士の資格は「技能士」と名の付く資格ですので、業務をするための資格ではなく能力の照明になります(職業訓練指導員は例外)。ですのでビルメンテナンス業界でビル設備管理技能士の資格を保有していることはその能力を証明する証になるかと思われます。
ビル設備管理技能士の仕事内容
ビル設備管理技能士は、その名の通りビルの設備を管理するための資格になるのですが、どんな設備を管理するかというとビルの空調システムや衛生管理、電気系システムを管理します。いづれも障害が発生すると、人々の住環境に影響を及ぼしてしまうのでビルメンテナンス業界では必要な資格になるでしょう。
おおまかなビル設備管理技能士の仕事はこのような内容になるですが、もう少し詳しく見ていきましょう。
ビル設備管理技能士として求められている仕事内容については以上のような点検業務になりますが、ほかにはビル内の各部屋の温度調整や湿度調整、光熱費管理のために省エネ化施策を計画、実行するなどの業務があります。たんにビル設備を管理するというだけでなく、居住者が快適に住めるような施策をうったりするので、業務内容は幅広いものになっています。
特に現在の日本では高度経済成長期に乱立していた老朽化した建物が増えてきています。このような建物は取り壊すか改修するかの2択があるかと思います。改修においてはビル設備管理技能士が求められるでしょう。
ビル設備管理技能士の資格情報
ビル設備管理技能士は1級と2級に分かれています。1級と2級とありますが、1級のほうがもちろん2級より難しくなっています。
受験資格、受験料、試験場、試験日、申込期間
受験資格
1級2級ともに非常にややこしい受験資格となっています、以下のいづれかに該当していれば受験資格を満たすことができます。
1級ビル設備管理技能士
- ビル設備管理に関する実務経験が7年以上の者。
- ビル設備管理に関する高校卒業で、実務経験6年以上の者。
- ビル設備管理に関する短大、高専、高等専攻科卒業で、実務経験5年以上の者。
- ビル設備管理に関する大学卒業で、実務経験4年以上の者。
- ビル設備管理に関する専修学校または、各種学校卒業(800時間以上)で、実務経験6年以上の者。
- ビル設備管理に関する専修学校または、各種学校卒業(3200時間以上)で、実務経験4年以上の者。
- ビル設備管理に関する短期課程の普通職業訓練(700時間)修了で、実務経験6年以上の者。
- ビル設備管理に関する普通課程の普通職業訓練(2800時間未満)修了で、実務経験6年以上の者。
- ビル設備管理に関する普通課程の普通職業訓練(2800時間以上)修了で、実務経験4年以上の者。
- ビル設備管理に関する職業訓練指導員免許取得で、実務経験1年以上の者。
- 2級技能士合格後、実務経験2年以上の者。(職業訓練指導員免許取得者は1年)
2級ビル設備管理技能士
- ビル設備管理に関する実務経験が2年以上の者。
- ビル設備管理に関する高校を卒業した者。
- ビル設備管理に関する短大、高専、高等専攻科を卒業した者。
- ビル設備管理に関する大学を卒業した者。
- ビル設備管理に関する専修学校または、各種学校を卒業(800時間以上)した者。
- ビル設備管理に関する専修学校または、各種学校を卒業(3200時間以上)した者。
- ビル設備管理に関する短期課程の普通職業訓練(700時間)を修了した者。
- ビル設備管理に関する普通課程の普通職業訓練(2800時間未満)を修了した者。
- ビル設備管理に関する普通課程の普通職業訓練(2800時間以上)を修了した者。
- ビル設備管理に関する職業訓練指導員免許取得を取得した者。
受験料、試験日、試験場、申込期間
受験料 | 学科試験:3,700 実技試験:18,700 *1級2級共通 |
試験日 |
1級:9月上旬~下旬
2級:9月上旬~下旬 |
試験会場 | 東京,大阪 |
申込期間 |
4月中旬~5月上旬(年一回)
*1級2級共通 |
受験会場が東京と大阪にしかないので、地方からの受験を考えている人にとっては受験が大変かもしれません。また、ビル設備管理技能士の試験は1級、2級共通して年に1回しか開催されないので注意が必要です。
試験科目
1級ビル設備管理技能士
学科試験(正誤:25問、択一式:50問/100分)
学科試験
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ビル設備管理作業
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① 建築・設備図面
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② 電気設備の機器の構造、機能及びその関連事項
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③ 空気調和・換気設備の機器の構造、機能など
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④ 給排水設備の機器の構造、機能など
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ビル設備管理法
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① 計画書の作成方法
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② ビル設備の運転監視方法
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③ ビル設備の機器の異常、損傷及び故障の原因及び発見方法
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④ 測定器の使用方法
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⑤ ビル設備の運転監視に必要な点検方法
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⑥ 報告書及び記録書の作成方法
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関連法規 |
電気事業法,電気工事法,労働安全衛生法など
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安全衛生 |
安全衛生に関する詳細な知識
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実技試験
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① ビル設備の運転監視並びに運転監視に必要な日常点検及び定期点検に関する計画書の作成
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② ビル設備の運転監視
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③ ビル設備の運転監視に必要な日常点検
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④ ビル設備の運転監視に必要な定期点検
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2級ビル設備管理技能士
正誤:25問、択一式:50問/100分
学科試験
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ビル設備管理業
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① 建築・設備図面
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② 電気設備の機器の構造、機能及びその関連事項
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③ 空気調和・換気設備の機器の構造、機能及びその関連事項
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④ 給排水設備の機器の構造、機能及びその関連事項
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ビル設備管理法
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① ビル設備の運転監視方法(ビル設備に異常が発生した場合の危険回避のための処置及び操作方法を含む。)
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② ビル設備の機器の異常、損傷及び故障の原因及び発見方法
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③ 測定器の使用方法
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④ ビル設備の運転監視に必要な点検方法
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⑤ 報告書及び記録書の作成方法
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関連法規 |
電気事業法、電気事業法など
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安全衛生 |
安全衛生に関する詳細な知識
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実技試験
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① ビル設備の運転監視
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② ビル設備の運転監視に必要な日常点検
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③ ビル設備の運転監視に必要な定期点検
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1級と2級はさほど試験科目に変わりはないですが、1級と2級では学科試験では計画書の作成の科目の違いがあります。実際の業務でも1級と2級では、計画書の作成の業務が入ってくるなどの違いがあります。幅広い試験科目ですが、難易度の高い問題はあまり出題されないのでしっかりと基本的な事項を押さえておく必要があります。
また、学科試験と同日に、ペーパーテストも実施されます。
合格基準
合格基準は1級、2級ともに学科試験で65%で合格となっています。実地試験では、作業試験において、各配点の40%以上を得点し、かつ合計で満点(100点)の60%以上を得点で合格となります。
ビル設備管理技能士の合格率
近年のビル設備管理技能士合格率は1級で72%、2級で38%ほどになります。過去問の対策のみで受験に臨むかたや、実務経験のなかで試験科目にあるような業務を行っている方からすると難易度が低い試験かもしれません。
公開された平成25年度のビル設備管理技能士試験ですと、以下のような実施結果になります。
受験者数 | 合格者数 | |
1郵 | 14人 | 2人 |
2級 | 71人 | 27人 |
受験者数、合格者数ともに他のビルメンテナンスの資格に比べると低い数値になっていますので、会社側からの需要もそれほど高くない資格なのかもしれません。
まとめ
ビルメンテナンス業界においてこの記事で紹介してきたビル設備管理技能士の資格はそれほど社会的なニーズは高くないのかもしれません。それは受験者数に表れています。ですが、就職活動や転職活動の際にこのビル設備管理技能士の資格をもっていると、技能士としての能力の証明書にはなる国家資格ですので、面接官の印象的にはいい印象になる可能性があります。自分のビル設備管理の実力を証明するさいにはこのビル設備管理技能士の資格取得を目指すことは有用であるといえるでしょう。