現代社会において電力供給の安定性というのは非常に重要なことです。ですが、電気には障害がるきもので、送電の際にもいくつか障害となりうる現象が発生してしまいます。誘導障害やフェランチ効果、などの障害がありますが、その中でもこの記事で紹介するのは放電の一種である「コロナ放電」です。

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コロナ放電とは?発生の原理や大気・電線との関係

コロナ放電は放電の一種で光や音を伴い放電する

コロナ放電はその名の通りに、放電の一種で、放電というのは電極間にかかってくる電位差によって、間に存在する気体に絶縁破壊が生じることで電子が放出され電流が流れる現象のことをさします。放電には火花放電、グロー放電、アーク放電、そしてコロナ放電という種類があります。

コロナ放電とは、送電においては、電線の外側に向かう電位の傾きは、電線に加わる電圧が上昇するほど大きくなり、電線の電圧がある値(コロナ臨界電圧と呼ばれる)に達すると、周囲の空気の絶縁が失われ、青白い光と独特なジージィーという音を放って放電が始まる現象のことを指します。この発行が太陽のコロナと似ていることから「コロナ」と名付けられることとなりました。また、コロナ放電は尖った電極の周りに不均一な電界が発生することで生じます。

コロナ放電の原理・コロナ臨界電圧(開始電圧)

コロナ放電はコロナ臨界電圧(開始電圧)に達すると、周囲の空気の絶縁破壊が起き、発生する現象でした。では、このコロナ放電のコロナ臨界電圧とは一体どのくらいの電圧を指すのでしょうか。

コロナ放電が発生するコロナ臨界電圧(開始電圧)とは、標準の大気中においては、波高値:30[kv/cm]、交流実効値:\frac{30}{\sqrt{2}}=21.2[kV/cm]以上で発生します。

標準の大気の状態というのは気温20°、気圧1,013.25hPaの状態を指します。この実効値21.2[kV/cm]は実験的に算出されたものだそうですが、空気の絶縁耐久力がこの実効値に達すると空気は絶縁を損失してしまいます。

コロナ放電の障害と発生しやすい状況(大気、電線との関係)

コロナ放電が生じると。電力の一部が、音、光、熱などに替わって失われます。このことをコロナ損失と呼びます。また、コロナ放電は、誘導障害や電波障害発生の原因にもなります。ラジオのAM放送を聞いたことがある方ならわかるかもしれませんが、受信信号にコロナ雑音というジージーという雑音が入ってしまいます。

コロナ放電がどんな条件下で発生しやすいのかというと、電線が細いほどコロナ放電が発生しやすく、また、大気圧が低いほど発生しやすくなっています。なぜ、このような条件下でコロナ放電が発生しやすくなるのかというと、以下のように説明ができます。

電線が細いときになぜコロナ放電が発生しやすいのかというと、細い電線は表面の曲率がきつく(急に曲がるか)、電線に接した電界は曲げ率と関係しており、太い電線より細い電線の方が電界集中により、コロナ放電が発生しやすくなっています。コロナ開始電圧もこの曲げ率に大きく関係しているとされます。

電場によって加速された電子が中性分子に衝突してイオン密度が濃い領域を生み出すことでコロナ放電は発生するのでした。つまり、このとき大気を電離しているのです。大気を電離するには相当なエネルギーが必要になり、そのエネルギーを電場による加速で得ます。このとき、衝突が少ない方がより多くのエネルギーを吸収できます。ですので、衝突頻度が低い方がコロナ放電が起きやすくなるのです。そうした状況というのは大気圧が低いときです。

コロナ放電の対策方法

コロナ放電の原理や、生涯、発生原因などについてを紹介してきましたが、コロナ放電は送電に影響を与える可能性がある現象です。そんなコロナ放電を対策するには方策をとったらよいでしょうか。

コロナ放電への対策としては、外形の大きい鋼心アルミヨリ線を使用すること、1相あたりの電線を複数に分けて、スペーサで感覚を開けて配置する、多導体方式をとること、シードリングなどを使用したコロナシールドを使用するなどが有効なコロナ放電の対策方法として知られています。

なぜコロナ放電の対策として特に多導体方式の採用が有効なのかというと、コロナ放電が発生する条件の電位の傾きを緩やかにすることができるからです。細い電線でコロナ放電が発生しやすくなるのと対照的に電線を多導体方式でみかけを太くすることでコロナ放電を対策することができるようになるとされています。

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コロナ放電の応用、コロナ放電で静電気の除去

コロナ放電は尖った電極の周囲に不均一な電界電界が発生することで生じるのでした。つまり、尖った電極さえあれば一定の条件下のもとで意図的にコロナ放電を作り出すことが可能なのです。この理論を応用してコロナ放電で静電気を除去することが可能なのです。

具体例として、静電気を除去するためにコロナ放電を発生させる極細繊「導電ポリマー」という商品があります。静電気が帯電した物、帯電物にこの導電ポリマーを近づけると、電気的エネルギーが繊維先端に集まり、コロナ放電が発生することで空気中の気体分子が+イオンと-イオンに分化します。さらに、+イオンが帯電物のマイナスの電荷を攻撃することで中和が可能になり、帯電物にある静電気をコロナ放電で除去することが可能になるのです。

つまり、静電気が帯電した帯電物をコロナ放電によって中和することで静電気を除去するのです。

まとめ

以上のように、コロナ放電はどのような放電なのか、コロナ放電発生の原理、発生のしやすい状況、コロナ放電の対策方法、静電気除去というコロナ放電の応用法についてを紹介してきました。送電の観点から見るコロナ放電は電力供給に影響をあたえる恐れのある対策すべき現象ですが、コロナ放電の理論を応用した静電気除去にも使用されています。コロナ放電自体電験の資格試験でよく出題されますので、その原理などについては抑えておきましょう。

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