太陽光発電システムの導入に踏み切ろうと思っても、実際に利益が出るのか、売電価格の今後の推移が気になるところですよね。今回は、現行の電力買取制度と併せ、これから時代とともに推移する売電価格がどうなっていくのかを解説していきます。

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2012年に開始された固定価格買取制度

「固定価格買取制度」と聞いて、ピンとこない方もいらっしゃると思います。

「電力会社が一定価格で一定の期間、買い取ることを国が保証する」制度を、固定価格買取制度と呼びます。このため、国が買取価格を決めてしまえば、「住宅用太陽光発電」の場合は10年、「産業用太陽光発電」の場合は20年の間に、その買取価格が変動することはありません。

固定価格買取制度とは

2012年7月1日から導入された「固定価格買取制度」は別名FIT法とも呼ばれます。FITとは「Feed-in Tariff」の頭文字を取った略語であり、「Feed-in」は入れる・供給する、「Tariff」 は関税・電気料金など公共料金の請求方法という意味があります。

2011年の東日本大震災の折、エネルギーに関する各種問題が表沙汰になったことから発足しました。当制度において、住宅用太陽光発電の導入後10年間は国が定めた固定価格に基づく売電ができ、なおかつ電気会社には買い取る義務があるというものです。電気事業者が買取に要した費用は、賦課金として国民全体で負担するシステムになっています。

買取価格の推移

売電の制度は2009年に定められましたが、この時の単価は系統電力と同程度で、普及を促せるほどのインパクトを生み出すことができませんでした。そこで、2009年以降2012年までの「住宅用太陽光発電」では比較的高い売電料金が設定されました。

このため、日本は世界と比較しても、住宅用太陽光発電の普及が進んだ国の一つとなりました。さらに、全体の設備容量を大きく増やすきっかけとなったのが前述の「固定価格買取制度」の発足です。ここで優遇されたのが「産業・事業用の太陽光発電」です。ここから、メガソーラーをはじめとする大規模発電所が急速に増えました。

買取価格の決定方法

経済産業省「資源エネルギー庁」のホームページには、「調達価格や調達期間は、各電源ごとに、事業が効率的に行われた場合、通常必要となるコストを基礎に適正な利潤などを勘案して定められます。

具体的には、「中立的な調達価格等算定委員会の意見を尊重し、経済産業大臣が決定します。」とあります。

つまり、太陽光・風力・中小水力など各電源ごとに、設置費用などの動向を基にして、同委員会による算定がなされます。太陽光の買取価格は現在、「産業用(10㎾以上2,000㎾未満)」と「住宅用(10㎾未満)」の2種類に大別できます。このうち、10㎾未満の発電は、後述の「出力制御対応機器設置義務」の有無によっても価格が異なります。

 

2019年は売電価格が引き下げ⁉

太陽光発電が普及すればするほど、売電価格は下がっていく見込みです。それでは売電価格が下がると、具体的にどのような損益が出るのか。実際に考察してみましょう。

2019年は当初の48円から24円/kWhになることが確定

住宅用太陽光発電の売電価格について、当初は48円と高値でしたが、2019年度は半額の「24円/kWh(出力制御対応機器設置義務なしの地域)」となることが確定しました(「産業用太陽光発電」は14円/kWhの見込み)。

しかし、売電価格が下がると同時に、太陽光発電初期設置費用の価格も下がっています。そして、太陽光発電システムの全世界的な低価格化・工事の技術向上による低コスト化の成功により、太陽光発電機器の性能が格段に上がっています。このため、「採算性は昨年よりも高い」という見方が強いです。

10年後の買取価格は●円になる?

10年後の売電価格は自家消費に比べると全く得にならないほどの価格に下がることが予想されます。20年後の産業用は未定であるものの、住宅用は「11円/1kwh」まで単価が下落するとされています。それは固定価格買取制度で定められた、一定価格による10年間の買取義務が取り払われることが1つの要因となっているからです。。

また、既に2009年に太陽光発電を導入した方は、2019年で固定価格買取制度の効果が切れます。その後も売電を継続する場合は、電力会社との自由契約に変わります。ここでは電力会社と料金のやりとりを行うため、交渉次第では高く売れる可能性がありますが、電力会社に安く買いたたかれてしまうのではないか?という見方が大半です。

つまり、これから太陽光発電の導入を検討している方には、すでに10年で買取終了を迎える方々の動向を見てから動けるという利点がある他、現段階で住宅用太陽光発電を始めれば、10年間は24円/kWhで継続的に売電を行えるということになります。

実際は設置費用が下がるだけ?

売電価格が下がっても実際のところは設置費用が下がるだけです。なぜならば技術の進歩と住宅用太陽光発電の供給の拡大により初期設置費用が安価に抑えられるようなったからです。

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中部電力・関西電力等は、出力制御対応義務の対象外

設置する地域に「出力制御対応機器の設置の義務」があるかどうかによって、売電価格が異なるのをご存知でしょうか?そもそも出力制御とは、供給される電気が余ってしまった際に太陽光からの発電を抑え、「これ以上は買取をストップしますよ」ということを電力会社側で取り決めた約束事です。出力制御をすることで電気の供給過多を未然に防ぎ、その質を保つことに効果を発揮します。

この出力制限には各種のルールがあり、例えば360時間ルールならば年間に360時間以上・30日ルールならば年間で30日以上の出力制限が基本的に行われず、仮に超過した場合には補填がなされるという取り決めです。この出力制限対応機器を設置する費用がやや高額であることから、出力制御対応地域のほうが未対応地域に比べて売電価格が2円高く設定されています。

中部電力、関西電力、東京電力管内では、50kW未満の低圧の場合においてのみ出力制御対応の対象外となっているため、事前に頭に入れておくといいでしょう。

まとめ

いかがでしたか?ここまで、電力の固定価格買取制度と買取の推移についてご紹介しました。発電量や設置する地域によっても、価格に差が見られます。様々な情報を比較しつつ、最適となる太陽光発電の導入を検討してみてください。