昨今の働き方改革やデジタル化の進展により、副業が一般化し、様々な分野で活発な動きが見られます。かつては副業に対する制約が多かった電気主任技術者も、その専門知識を活かして新たなフィールドに挑戦する機会が増えている一方で、現行の法規制や内規に基づく制限が依然として存在します。本記事では、電気主任技術者の副業に関する現状と背景、規制の詳細、各所属形態ごとの副業の可能性、さらに具体的な副業事例について詳しく解説します。

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電気主任技術者の副業(兼業)は本当に禁止されているのか?

個人事業主の場合は規則52条第2項の規定を受ける

電気主任技術者は経済産業省が定める「主任技術者制度の解釈及び運用」(内規)の規定を受ける資格職です。それゆえにこの主任技術者制度の解釈および運用のルールに則っる必要があります。

「主任技術者技術者制度の解釈及び運用」規則52条第2項の承認において、個人事業主の副業(兼業)等についての規定がなされています。その規定を引用すると、

保安管理業務の計画的かつ確実な遂行に支障が生じないことを担保するため、保安管理業務の内容の適切性及び実効性について厳格
に審査するとともに、個人事業者が他に職業を有している場合には審査にあたり特に慎重を期することとする

とあります。特に慎重を期することとする」という文言から、副業・兼業に関して直接的に全面禁止していると解釈することはできるかもしれません。しかし、電気管理技術者の個人事業主が副業・兼業をしていることを産業保安監督部の担当員がこのことを見過ごすようには思えません。実際の実例がどうなっているのかは調査の必要があるかもしれませんが。

電気管理技術者としての仕事は全国の産業保安監督部の承認を必要としますし、その承認を得るためには内規の順守や各種審査条件を満たしている必要があるので、それに抵触する恐れのある副業・兼業はやらない方がいいでしょう。もちろん一般社団法人電気管理技術者協同機構などの協同体に入会し、電気管理技術者の業務の知識等を得ることはできます。

外部委託を受ける電気保安法人在籍者でも同様

同様の「主任技術者制度の解釈及び運用」において、「法人のマネジメントシステム」という項があります。そこでは電気保安法人の承認における保安管理業務の内容の適切性及び実効性について厳格な審査をする旨を記載した内容となっています。その法人のマネジメントシステムの中で、副業・兼業に関する規定があります。それを引用すると、

保安業務担当者は、保安管理業務以外の職務(電気工作物の保安に関するものを除く。)を兼務しないこと。

とあります。この文言からすると、保安業務の担当を持っていない電気保安法人の電気主任技術者であれば副業・兼業が可能なように見えますが、経済産業省のQ&Aでは、副業・兼業の対象はあくまでも事業場を担当する保安業務担当者となるようです。

保安管理業務の計画的かつ確実な遂行の目的のもとに電気保安法人は、社内規定で明確に規定されているので、電気保安法人に在籍する電気主任技術者の副業・兼業は現実的ではないのかもしれません。

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電気主任技術者の副業・兼業がOKな場合とは?どんな副業がある?

企業に常駐する電気主任技術者の場合

ビルメンテナンス、太陽光発電などの再生可能エネルギー設備、病院、商業施設などで常駐勤務している場合、所属企業の就業規則によっては副業・兼業が認められるケースもあります。
ただし、求人情報には副業可否の記載が少ないため、就職や転職時にしっかり確認することが大切です。

電気主任技術者としての副業はどんなものがある?

どんな副業・兼業を電気主任技術者がしているのかというと、一例ですが、電気主任技術者試験の対策方法を予備校で教えている人や、非常勤講師として大学で教えるなどがあるようです。

また、電験に関する参考書を執筆していたり、スポットで塾の講師をすることなどがあります。特に副業などフリーランサーが仕事を探す場所になっているクラウドワークスの電気主任技術者を対象にした案件では、「配電盤・変圧器等の設計業務」をリモートワークで募集している案件もあります。また、電験の合格体験記の記事の執筆等もあるようです。

電気主任技術者の副業として始めやすいのは、ブログでしょう。電気主任技術者のブログは多々ありますが、アフィリエイト収入で月に10万円ほどを稼ぐ人もいるようです。

 

電気主任技術者として副業を始める前に確認すべきポイント

所属先の就業規則の確認

自社の副業ポリシーや内部規定を必ずチェックしましょう。副業に関する許可が必要な場合、事前に関係機関と相談することが不可欠です。

リスクの確認

副業による収入の多様化やスキルアップのメリットと、保安管理業務への影響というリスクを十分に考慮する必要があります。自分の業務や体制に与える影響を冷静に評価し、計画的に進めましょう。

最新の法令・ガイドラインの確認

内規や経済産業省の最新Q&Aなど、常に最新情報を把握しておくことが重要です。最新のルールを確認することで、安心して副業に取り組むことができます。

まとめ

以上、電気主任技術者の副業・兼業に関する情報をお届けしてきました。電気主任技術者は電気保安法人や個人事業主の場合、保安管理を委託されて行うがゆえに信頼性の観点から副業・兼業は厳しいようです。しかし、そうでない場合は、配電盤の設計の仕事であったり、塾講師であったり、ブログであったりと、そのスキルを活かした副業・兼業が可能なようです。