電気業界の国家資格の一つに「第二種電気主任技術者」があります。この資格の合格率は10〜20%と難易度が高いですが、保有していると資格アップやキャリアアップに繋がります。この記事では、そんな電験2種の試験対策におすすめの参考書をご紹介しています。

電験2種について
電験2種は電圧が17万ボルト未満の事業用電気工作物(例:発電所や変電所、配電所などの施設)の保安・監督を行うことができる国家資格で、毎年およそ6,000人の受験生がおり、電気系の中でも人気の資格です。電験2種の試験難易度は高いですが、発電業界(特に再生可能エネルギー分野)において需要が高まっているため、取得する価値が非常に高い資格といえます。

難関の電験2種に合格するためには、自分に合った参考書を選び、使いこなすことが重要になります。そこで今回は電験2種のおすすめ参考書を詳しくご紹介することで、皆さんの参考書選びの手助けができればと思います。
電験2種の試験内容
参考書をご紹介する前に、そもそも電験2種の取得のためにはどのような試験を受けるのでしょうか。試験は1次と2次から構成されており、前者はマーク式、後者は記述式です。試験内容の詳細を見ていきましょう。
1次試験
1次試験は4つの科目から構成されます。「理論」「電力」「機械」「法規」です。
科目名 内容
1 理論 電気理論、電子理論、電気計測及び電子計測
2 電力 発電所及び変電所の設計及び運転、送電線路及び配電線路(屋内配線を含む。)の設計及び運用並びに電気材料
3 機械 電気機器、パワーエレクトロニクス、電動機応用、照明、電熱、電気化学、電気加工、自動制御、メカトロニクス並びに電力システムに関する情報伝送及び処理
4 法規 電気法規(保安に関するものに限る)及び電気施設管理
2次試験
2次試験は以下の「電力・管理」「機械・制御」です。1次試験の通過者に受験資格が与えられます。
科目名 内容
1 電力・管理 発電所及び変電所の設計及び運転、送電線路及び配電線路(屋内配線を含む。)の設計及び運用並びに電気施設管理
2 機械・制御 電気機器、パワーエレクトロニクス、自動制御及びメカトロニクス
試験別のおすすめの参考書
「数学」のおすすめ参考書
第二種電気主任技術者になると、数学のレベルが格段に上がります。そのため数学に特化した参考書を読むのがおすすめです。「微分・積分・微分方程式」や「ラプラス変換」など必要な数学知識が増えるので、抜かりなく対策すると合格に近づくでしょう。
① いちばんよくわかる 電験2種数学入門帖 改訂3版
- 三角関数・複素数・微分法・積分法・微分方程式・ラプラス変換について掲載されている
- 電験2種の試験に合格するための必要な範囲がコンパクトに収まっている
- 単なる数学の理解ではなく、試験で式をどう使用するかなど電験2種の試験に特化している
- Q&A方式で書かれている
- 電験2種と電験3種の違いが理解できる
② 電験2種電気数学 改訂2版
- 電気を数学的にしっかり理解したい人に向いている
- 先述した「いちばんよくわかる 電験2種数学入門帖 改訂3版」の内容に加えて、行列・フーリエ級数・ベクトル解析・双曲線関数などの内容が網羅されている
「1次試験」のおすすめ参考書
1次試験の4科目を突破するための参考書をご紹介します。詳しい説明で理解を深めたい、問題数をたくさんこなして解くことに慣れたい、など個人個人の好みに合った参考書を選べると良いでしょう。
① これだけ〇〇シリーズ
- このシリーズの四科目を読破することで一次試験合格の素地をつけることができる
- 電験2種の試験に合格するための必要な範囲がコンパクトに収まっている
- 特に電験2種で最も難しい理論の対策用としてこの参考書は効果的
- 参考書の中では問題を重点的に掲載しており、基礎問題から実践問題まで幅広く対応している
② 10カ年収録 電験二種一次試験 完全解答
- 一次試験の問題および解答・解説を10年間分掲載した過去問題集となっている
- 過去問題の傾向が把握できる
- 試験の難易度、時間配分などを掴める
③ 電気書院〇〇の15年間シリーズ
- 過去15年間(2021年度〜2007年度)の試験問題を、テーマ別に紹介している
- 図を用いたり、重要な箇所がピックアップされていたり解説がわかりやすい
④ 電験二種完全攻略 改訂2版: 一次試験対応・トコトンわかる速攻学習方式
- 理論、電力、機械、法規の4科目の試験の勘所を押さえつつ一冊にまとまっているので効率的な学習が可能
- 過去の一次試験の問題を精査して出題分野を体系的に整理し、必須分野を項目として掲げているので網羅的に一次試験を対策できる
「2次試験」のおすすめ参考書
2次試験は記述式の2科目から構成されます。範囲が広い上に出題内容の難易度も高くなるため、効率よく勉強することが重要になってきます。その上でおすすめの参考書をご紹介します。
① 電験二種 計算の攻略
- 圧倒的な問題数で計算問題の解法プロセスを脳内に叩き込むことができるようになる
- 演習問題には選択肢を設けず、すべて自ら答を導く形式を採用した上で「解法のポイント」を交えて計算過程を丁寧に解説している
② 戦術で覚える!電験2種二次計算問題
- 単元ごとに過去の重要問題を学ぶ事ができ、計算問題はこれ一冊でも対応可能となっている
- 頻出問題が厳選された上で簡潔にまとまっており、難易度も徐々に上がっていくので着実にステップアップできる
まとめ
以上のように、電験2種のおすすめの参考書を試験別にご紹介しました。ただ今回取り上げた参考書は一例であり、これらが本当に自分の勉強法に合うかは人それぞれです。実際に書店で手にとって確認することはもちろん、オンラインショッピングでも口コミなどを参考に、自分に合う参考書を見つけていただけたらと思います。
電験2種の参考書・過去問に関してよくある質問
Q:電験2種の試験対策のためには、どんな参考書がおすすめですか?
A:自分の目的にあった参考書を選ぶことがおすすめです。「1次試験対策」なのか「2次試験対策」なのかを明確にしたうえで、詳しい説明記載が欲しいのか、もしくは圧倒的な問題数が欲しいのかを考えましょう。それぞれの目的に合った参考書が沢山ありますし、本記事でも紹介しているので、ぜひご覧ください。
Q:電験2種の過去問はありますか?
A:はい、あります。過去15年間の過去問を、テーマ別に紹介している書籍などがありますので、参考書の学習が一通り終わったら、取り組んでみることをおすすめします。試験の傾向が分かりますし、計算問題の練習にもなります。
Q:電験2種の数学に特化した参考書はありますか?
A:はい、あります。第二種電気主任技術者になると、数学のレベルが格段に上がります。そのため数学に特化した参考書を読むのがおすすめです。「微分・積分・微分方程式」や「ラプラス変換」など必要な数学知識が増えるので、抜かりなく対策すると合格に近づくでしょう。単なる数学の理解ではなく、試験で式をどう使用するかなど電験2種の試験に特化している参考書が多いため、必ず役立つはずです。
Q:電験2種の合格率や勉強時間はどれくらいですか?
A:電験2種の合格率は10〜20%と言われており、比較的難易度が高い資格です。
具体的な数字は人によりますが、一般的には500~600時間程度は必要だと言われています。