電気工事施工管理技士という国家資格は「建築基準法」により規定された電気工事の施工管理を行うための資格です。この電気工事施工管理技士には1級と2級という区分があります。
その中でも今回の記事では1級電気工事施工管理技士を他の電気の資格「電気主任技術者」、「電気工事士」の合格率や試験内容と比較し、1級電気工事施工管理技士の難易度はどのくらいなのかを調査したものになります。

高い?1級電気工事施工管理技士の合格率
前提として、ここでは職業訓練校などの取得方法を除いた試験による取得の場合を指します。
まずは、一級電気工事施工管理技士の合格率がいったいどれほどなのかを学科、実地それぞれに見ていきましょう。
一級電気工事施工管理技士合格率の推移
年度 学科 実地
平成30年度 56.1 -
平成29年度 48.0 62.5
平成28年度 46.0 69.1
平成27年度 45.1 63.4
平成26年度 35.6 63.1
平成25年度 45.8 58.4
平成24年度 45.9 62.6
平成23年度 42.5 64.6
1級電気工事施工管理技士の試験は学科と実地試験と2区分での試験になっています。1級電気工事施工管理技士の受験資格などの資格に関する情報については☞「3分でわかる1級電気工事施工管理技士の資格情報」を参照。
平成30年度の実地試験の合格率は学科試験で平成27年度試験を境に伸びてきており、実地試験に関しては比較的横ばいで推移してきているようです。
一級電気工事施工管理技士の合格率から難易度をみると、約半数近くが学科試験に合格し、約6割の確率で実地試験に合格できることを考えると、難易度は「普通~やや難しい(しっかりとした対策をすれば合格できるかも)」程度といえるのではないでしょうか。
次に他の電気系の資格との比較を見ていきましょう。
電気工事士と一級電気工事施工管理技士の難易度比較
電気工事士の資格には1種と2種があります。電気工事士の難易度については☞「簡単?電気工事士の難易度について」を参照。電気工事士との難易度比較を合格率からみる難易度、試験内容からみる難易度の両方からしていきます。
合格率からみる電気工事士と1級電気工事施工管理技士の難易度比較
年度 学科 技能 学科 実技
第2種電気工事士 第1種電気工事士
平成30年度 55.4% - 40.5% -
平成29年度 59.1% 68.8% 47.0% 63.5%
平成28年度 58.6% 73.4% 50.3% 61.7%
平成27年度 58.8% 70.7% 42.7% 70.9%
平成26年度 59.0% 74.2% 42.9% 58.1%
平成25年度 62.4% 76.0% 40.1% 75.8%
平成24年度 58.2% 70.6% 42.6% 60.1%
平成23年度 63.1% 69.5% 42.5% 84.6%
こちらは電気工事士の合格率の推移です。やはり電気工事士の資格の合格率は2種より1種の方が難しくなっているようです。1種で約50%、2種で約60%となっています。
電気工事士と電気工事施工管理技士を合格率という観点で難易度を比較すると以下のようになります。
一級電気工事施工管理技士 1種電気工事士 2種電気工事士
学科(筆記) 45.6 43.6 59.3
実地(技能) 63.3 67.8 71.9
学科試験(筆記)では、1種電気工事士>一級電気工事施工管理技士>2種電気工事士
実技試験(技能)では、一級電気工事施工管理技士>1種電気工事士>2種電気工事士
そうは言っても資格の取得難易度を合格率や偏差値で図ることは必ずしも正しいことではありません。単純に電気工事と一級電気工事施工管理技士の合格率を比較しましたが、この合格率=資格取得の難易度ではありません。受験者のレベルや試験内容によって難易度は変わってくるものです。
試験内容からみる電気工事士と一級電気工事施工管理技士の難易度比較
電気工事士の資格取得までにかかるとされる勉強時間、試験内容から合格の難易度の比較を独学でこれらの資格に合格した人、不合格した人の声を参考に紹介していきます。
資格名 勉強時間 合格基準 試験内容
1級電気工事施工管理技士 300~500時間 学科:6割
実技:6割(A)学科:問題数は少ないが電気と施工、法律の知識が必要で初学者には難しい。
実技:施工管理経験記述が難しい
第1種電気工事士 120~300時間 筆記:56~60点
技能:欠陥がないこと筆記:過去問の勉強量で合否が決まる。2種の勉強が活きるのでそこまで難しい試験ではない。
実技:欠陥の基準が難化した。現役電気工事士ならば苦ではない
第2種電気工事士 100~300時間 筆記:56点
技能:欠陥がないこと筆記:過去問暗記ゲーム。計算問題に必要とされる数学は難しくない。試験難易度は低い。
技能:講習や動画で対策方法が盤石な環境なため対策を積めば問題ない
勉強時間は一概には図れないものですが、初学者がこれらの資格に挑み合格に必要な時間と定義します。勉強時間的には1級電気工事施工管理技士の勉強時間が300~500時間と最もかかるようです。また、合格基準に関してはいずれも6割近くを得点出来ていることが求められているようです。
そもそも受験資格に実務経験を求める1級電気工事施工管理技士の方が受験者のレベルは高いのです。試験内容を見てみると、試験内容的に電気工事士よりも電気工学と施工においてより専門性が上がっています。
それでほぼ同じ合格基準点ですから電気工事士試験以上に1級電気工事施工管理技士の方が難易度が高い試験であるといえるでしょう。
1級電気工事施工管理技士の受験資格の免除措置に「第1種電気工事士」を取得していると受験資格が一部緩和されます。ですので、電気工事士を取得☞電気工事施工管理技士の資格を取得という流れが一般的です。
電気主任技術者と一級電気工事施工管理技士の難易度比較
次に電験とも訳される「電気主任技術者」試験と電気工事施工管理技士の資格取得難易度を比較してみましょう。電験には1~3種の資格区分がありますが、それぞれの難易度や合格率については☟
「電験1種の合格率が嘘みたいに低い話」
「電験2種の合格率が低すぎる件」
「電験3種の合格率って大したことない?」
電気主任技術者と一級電気工事施工管理技士の合格率比較
1級電気工事施工管理技士 電験1種 電験2種 電験3種
合格率 学科:45.6
実地:63.6一次:23.9
二次:14.1一次:23.5
二次:14.8
8.1%
これをみると明らかに電験資格の方が合格率が低い資格試験となっています。電験3種は非常に人気の高い国家資格ですし、受験資格もありませんので受験者数が多く試験内容も高度に専門的ですので合格率は毎年低くなっています。
やはり電験は電気系の資格の王者とも呼ばれるような資格ですので、それだけ難易度が高い資格試験であるようです。
いずれの電験資格区分にせよ、一発合格の難しい資格ですので、何年もかけて免状を手にする方もいるような資格なのです。
1級電気工事施工管理技士と電気主任技術者試験内容難易度比較
勉強時間 合格基準 試験内容
1級電気工事施工管理技 300~500時間 学科:6割
実技:6割学科:問題数は少ないが電気と施工、法律の知識が必要で初学者には難しい。
実技:施工管理経験記述が難しい
電験1種 5000時間? 一次:約5割~6割
二次:6割一次:難問奇問が出題されやすく、全科目の難易度が非常に高い電気系資格の最高峰
二次:電気保安に関する高度に専門的な内容が問われる
電験2種 4000時間 一次:約5割~6割
二次:6割一次:理論が最も難易度が高く、基礎的な電気計算に加えて高度な知識が必要。
二次:計算速度が求められ、時間が厳しく難易度が高い。また、ラプラス変換など数学レベルが上がる
電験3種 3000時間 6割 基礎的な電気の知識と数学の基礎知識が必要。基礎力が合否を決めるため、対策にかける時間を加味し難易度が高い。
電験と1級電気工事施工管理技士の資格は取得後の仕事内容も大きくことなりますので、電気の資格とはいっても一概に比較できない面はありますが、両方の資格を保持している方もいらっしゃいます。
電験と1級電気工事施工管理技士の資格を比較すると、電験の方が取得難易度が高いです。電気設備の保安管理を行う非常に責務を求められる資格であるということもあり、電験資格は合格率も低くその分試験内容も難易度が高いものが多く出題されます。特に電験1種は信じられないほどに試験内容が難しいです。
まとめ
以上、1級電気工事施工管理技士の難易度を同じ電気系の資格である「電気工事士」、「電気主任技術者」と比較してみました。1級電気工事施工管理技士は難易度こそ「普通~やや難しい」(しっかりとした対策が必要)という程度で認識されますが、受験生のレベル(受験資格)を考慮すると、相当に受験生のレベルは高い資格試験です。それゆえに合格率も高くなっているのでしょう。
ですので、実際の1級電気工事施工管理技士の難易度は合格率以上に難しい試験であるでしょう。その分この1級電気工事施工管理技士は高年収が見込める資格ですし、市場ニーズも相当高い資格です。
特に近年建設が増えてきている特高太陽光発電所での申請や建設には1級電気工事施工管理技士を設置しないといけません。この現場に勤める1級電気工事施工管理技士さんの年収は約1000万円です。このような方は他にも多くいらっしゃしいます。1000万円プレイヤーを目指せる資格であるといえるでしょう。