前回、前々回の記事で電験2種と電験3種の合格率の低さに関する記事を紹介しましたが、今回は電験1種の合格率に関する記事になります。

電験2種(電験二種)の合格率が低すぎる件について
電験3種(電験三種)の合格率って大したことない?いやある。

電験1種はその名のとおり、電験資格の中の頂点に君臨し、たまに「」のような扱いをされることのある誉の高い資格になります。

それだけ合格率の低い超超難関資格なのは「電験1種(正式には電験一種)」という資格です。そんな電験1種の難易度はどれほどなのか、合格率はどのくらいなのか、高難易度を超えるための勉強法についてを解説します。

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電験1種(電験一種)の一試験合格者数、合格率の推移

電験1種は電験2種と同様に一次試験と二次試験に分かれ、両方に合格しなければ電験1種の合格とはなりません。ということで、それぞれの試験についての合格者数、合格率についてみていきましょう。

一次試験の合格者数、合格率

電験1種の一次試験合格者数、科目合格者数(過去9年分)

電験1種の一次試験合格者数、科目合格者数(過去9年分)

電験1種の受験者数が毎年おおよそ2000人で推移しているのに対して、電験1種の合格者数は毎年おおよそ400人で推移しているようです。科目合格者数に関しては毎年おおよそ800人程度で推移しているようです。一つの科目もしくは、複数科目に合格し、向こう三年間有効な科目合格制度を活かして取得を目指すことになります。

受験者数でみても電験3種や電験2種より低い数値となっています。次に一次試験の合格率についてみていきましょう。

電験1種(電験一種)の一次試験合格率の推移

電験1種一次試験合格率の推移 (過去9年分)

電験1種一次試験合格率の推移 (過去9年分)

電験1種の一次試験合格率は過去9年で平均して23.9%となっています。科目合格率では平均して約50%の受験者が一つもしくは複数科目の試験に合格しています。

年度によっては一次試験合格率が低くなったり高くなったりしますが、比較的電験1種の一次試験合格率は緩やかに推移しているようです。

また、電験1種で特徴的なのは科目合格率が高く、50%台で推移しています。受験者のうち約半数近くは何かしらの科目に合格しているようです。

電験1種の一次試験についてみたところで、次は二次試験の合格率についてみていきましょう。

電験1種(電験一種)二次試験の合格者数、合格率の推移

電験1種二次試験受験有資格者、受験者、合格者(過去9年分)

電験1種二次試験受験有資格者、受験者、合格者(過去9年分)

電験1種の二次試験合格者数=電験1種の合格者数は毎年約100人程度しかいません。電気主任技術者の中でも電験1種もちの技術者がいかに少ないかがわかるでしょう。

電験1種二次試験の合格率の推移

電験1種二次試験合格率の推移(過去9年分)

電験1種二次試験合格率の推移(過去9年分)

電験1種の二次試験合格率は平均して14.1%となっています平成30年度試験の合格率は前年度より下がり、およそ13%台になるのではないでしょうか。

電験1種は、電験2種と同じく、一次試験と二次試験を同一年度で突破し電験1種に合格する人がいます。このことを一発合格と定義していますが、この一発合格の可能性はどのくらいなのでしょうか。

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電験1種(電験一種)に一発合格する合格率

電験1種の一発合格率の推移(過去9年分)

電験1種の一発合格率の推移(過去9年分)

電験1種の一発合格率は平均してわずかの5%という恐ろしい難易度になっています。また、そもそもの合格者数も少ないので、電験1種の一発合格者は天才と呼べるレベルであるといえるでしょう。

 

以上見てきたのは電験1種の一次試験、二次試験を合格して電験1種に合格した受験者の合格率になりますが、電験1種には電験2種と同様に科目合格制度と一次試験免除制度があります。

これにより、一次試験を合格していれば二次試験から受験が可能になります。次にこの一次試験免除者の場合の合格率についてを見ていきましょう。

電験1種一次試験免除者の合格率

当然ですが、一次試験免除者は、一次試験受験者よりかは合格率は高くなる傾向にあります。

電験1種一次試験免除者の合格率(過去9年分)

電験1種一次試験免除者の合格率(過去9年分)

電験1種一次試験免除者の二次試験合格率は平均しておよそ29.1%となりました。一次試験免除者で、かつ受験しなかった人も含まれた数値になっています。平成27年度、平成25年度試験と平成20年度試験は合格率40%台という結果になっており、二次試験の試験問題が易化したのではないでしょうか。

平成30年度!電験1種の最新難易度

平成30年度9月1日(土)に電験1種の試験が実施され、10月19日に一次試験の合格発表がありました。ちなみに二次試験は11月19日に行われます。平成30年度の電験1種一次試験の結果をまとめると以下のようになります。

申込者数 受験者数 科目合格者数 合格者数
1,800 1,566 766 378
受験者率 科目合格者率 合格者率
87.0% 48.9% 24.1%

合格率はやや上がり0.9%プラスの24.1%となりました。科目合格制度については合格率が下がる結果となりました。平成30年度の第一種電気主任技術者を含めた電気主任技術者試験の総まとめはこちら「電気主任技術者の合格率・難易度、平成30年試験の総まとめ

やはり電気の中でも最難関資格、受験者数にしても電験3種の比ではないほどにすくなくなっています。

ここまで電験1種の難易度の高さと、合格率の低さと、一発合格の難しさについてを紹介してきましたが実際にこの電験1種を一発で合格してしまう猛者はいます。

そんな猛者の絶対数は日本では少ないですが、電力会社を中心に電験1種ホルダーは存在します。電力会社では電験1種の取得を推奨しているかどうかは定かではありませんが、電験1種の受験者のうち6割近くは電力会社勤務の受験者であるようです。

そんな電験1種を合格するためにはどんな勉強方法をとったらよいのでしょうか?

電験1種(電験一種)の勉強法!

電験1種の勉強時間と学習環境

電験1種の勉強時間は個人差はあるでしょう。電験1種受験者で不合格になった人の話を聞くと勉強時間約5000時間をかけたとのことです。

この5000時間という時間は、電気人関係する資格にかけた時間も含まれる時間で、電験1種の試験対策は独学だったので、過去問15年分を300時間位かけて科目合格2科目(理論、法規)を合格したそうです。

電験1種の学習環境に関してはあまり恵まれていないようです。

参考書は少ないですし、オーム社の雑誌購読も対策の一つで金額ははりますし、過去問解説集も値段が高いといった具合です。受験者数がそもそも多くないというのもその理由の一つなのでしょう。

電験1種の参考書は電験3種、電験2種に比べて圧倒的に数が少なく勉強が難しいという悩みが受験者の中にはあるのではないでしょうか?特に予備校に通わず、独学で電験1種に挑む受験者にとっては参考書の少なさは勉強におけるネックになるのではないでしょか?

ということで、電験1種を49歳で独学で合格したRさんの勉強方法についてを紹介します。どんな勉強をしたのか、受験にあたる心構えは?といった点から紹介します。

電験1種を49歳、独学で3年かけて合格した話

電験1種の勉強方法

電験1種の勉強方法を独学合格者の声を参考に紹介します。

-電験1種の勉強時間について

電験1種の対策だけにかけた勉強時間は推定700時間程度です。仕事をしている合間での受験だったので、相当勉強時間の確保と配分には気を使いました。

-どんな勉強方法をとっていたのですか

通勤の電車内で自作の単語帳で勉強したり、家に帰ってから練るまでの3時間ほどで勉強したりといった具合です。家でする勉強は大きく3つ。これまでに合格した電験3種、電験2種を復習し、基礎力を固める。とにかく過去問を解き倒す。15年分くらい。「制御」の問題が過去問をやるうちに苦手だということに気づき、必ず30分は制御の勉強をするようにしました。苦手と感じる箇所は必ずチェックし、その対策のための時間を割くようにしていました。

-受験における心構えはありましたか?

なにか特別な勉強方法で対策のためにとっても評価の高い参考書や対策サイトを閲覧したということはなく、本当に淡々と3年かけて上の①~③を繰り返していました。ですのでふと映画館でみた「テルマエ・ロマエ」を見て、「ローマは一日にして成らず」ということなんだなと免状を受けてから思いました。なにかテクニックで特別なことをするというよりかは基礎を固めて過去問を解く。苦手だったらその対策を真剣にするということを心がけていました。

ですので、参考になるかはわかりませんが、受験テクニックで合格するというよりかは本当に繰り返して繰り返して少しずつ合格を目指せるレベルに到達すること以外に私がしたことはありません。

まとめ

この記事では電験1種の合格率、難易度の紹介と独学で電験1種を合格したRさんの勉強方法などを紹介しました。

電験1種は強電気の資格の中では最難関資格ですし、ひと昔前は電気の司法試験とも呼ばれるほどに難易度が高い資格試験でした。

今もなかなか相当に難しい試験であることには変わりませんが、電験1種を目指すことだけでも相当電気に関するプロフェッショナルになれるでしょう。