近年、日本社会において女性の社会進出は大きなテーマとなっています。建設業界においても女性の施工管理技士や工事士等がスポットライトを浴びるようになっています。そんな中、女性電気主任技術者もいるようですが、女性と電気に関するあれこれや、女性電気主任技術者の仕事についてを紹介します。
大学学部では電気系の学部が女性に不人気?電気関係の就職も不人気?
大学学部別で見たときの女性工学部進学率は14%、そのうち電気は・・
電気主任技術者はその名の通り、電気を扱う職業ですが、「電気」自体に対する女性の興味というものはどうなっているのかを大学学部で見たときのグラフが☝のものになります。そもそも大学学部学部別で見たとき、工学部に進学する女性は全体の14%です。
そのうち、電気工学・電子工学含む電気通信工学の選択率はわずか8%となっています。また、機械工学の道から電気主任技術者を目指す人もいますが、女性の場合、機械工学を選択する割合はわずか4%と最下位となっています。
女性が選択する工学部の専門分野の中でも電気に関する学問の人気は低いといえます。実際に、電気主任技術者の職場に女性がいることはほとんどありませんし、9割強が男性の職場となっているようです。電気主任技術者とは異なりますが、電気保安に関係する電気工事士の女性比率はわずか2%となっているようですし、電気主任技術者はそれよりも低いかもしれません。
高校・就職・定着までの女性の活躍
これを見ると、高校の段階で電気関係を選択する女性は3%しかおらず、大学では9%と約1割の女性が電気関係の学部・学科を選択している。しかし、就職となると、電気工事業界へと就職する女性は2%となっています。。この要因はいくつか考えられますが、電気工事業界における長時間労働や、女性にとって働きやすい環境が整っていないことなどが考えられます。
電気主任技術者の試験、通称電験の受験者の属性は試験実施団体である電気技術者センターがアンケートを基に公表しているものの、男女別の受験者数は調査対象となっていないようです。ですので、潜在的に電気主任技術者の女性がどれほどいるのかは定かではないようです。
とはいえ、電気主任技術者の女性比率は低いことが想定されますし、もっと女性が興味を持つような電気のプロモーションができれば高校・大学での学部・学科選択において人気がでてくるでしょう。また、電気主任技術者として女性が勤務する場合、夜勤勤務や常駐勤務などの女性にとって働きにくい勤務形態をとらせないことで女性にとっての働きやすさを整備することもいずれは必要でしょう。
電気関係の会社で女性の採用は増加している?
電気関係の会社での男女比率は上昇傾向
一般社団法人日本電設工業協会は5年の期間で会員企業を対象に女性の採用、活躍に関するアンケートの統計資料を公表しています。その統計をもとに男女別採用人数・比率を作成したグラフがいかになります。
平成30年度で男女比率は9.1%となっており、過去の推移と比較すると男女比率は上昇しているようです。とはいえ、まだ電気関係の会社での比率は1割程度となっており、女性が活躍できる場所が増えてきているのはいい傾向ですね。
電気関係の会社で女性はどんな職種で働いている?
一般社団法人日本電設工業協会の統計をもとに、女性の採用人数が増加傾向にあることがわかりましたが、次に女性がどのような職種で勤務しているのかを同じく日本電設工業協会の統計をもとにグラフを以下のように作成しました。
このグラフをもとにすると、電気関係の会社で採用され、従業員として働く女性のほとんどが「事務職」関係の仕事に就くことがわかりました。全体的に女性の従業員数は増加しているものの、事務職がほとんどであるようです。また、女性の技術職は事務職に次いで多くその職に就いていることがわかりますし、年々技術職に就く女性の数は増えているようです。
女性技術職を細分化し、施工管理、設計、積算、CAD、そのほかの職種に分けた統計値も日本電設工業協会は公表しています。その公表された統計をもとに以下のようにグラフを作成しました。
女性従業員の職種を細分化してみると、「施工管理」の職種に就く女性の数が年々増加傾向にあるようで、設計、積算はH29年まで増加していましたが、H30年になると減少しています。積算や設計を行っていた女性従業員が施工管理の職に就いているのでしょうか。このように女性技術者は増えてきていることがわかりましたが、女性で電気設備の保守点検を行っている場合はこのグラフの「その他」に含まれているようです。ですので、潜在的に電気主任技術者として仕事をする女性も存在しますし、増加してきている可能性があります。
電気主任技術者の求人で女性が活躍できる場所とは?
女性ならではの電気主任技術者の求人も。
電気主任技術者の求人の中で、女性のみを募集している求人があります。それは、航空会社で女性しか入れない場所での電気設備の点検業務の求人であったり、看護施設、病院などでの電気設備の点検業務などなどです。そうした場所ではまさに女性の電気主任技術者が特に強く求められているようです。性別の違いで応募できる仕事が違うというのは仕方がない場合がありますが、男性の職場であっても女性は十分に活躍できる職場はあります。
例えば、四国電気保安協会で係長として勤務する女性の方がいらっしゃいます。(出典:四国電気保安協会)この方は高校時代は普通科でしたが、電気工事業者と仕事をするうちに興味がでてきて電気主任技術者の試験を受けて合格したようです。
最近、女性の受講生が増えています。電験娘が増えています。
— 2019年版発売中@翔泳社アカデミーの電気工事士講座 (@denkou_info) 2015年1月9日
また、電気主任技術者試験対策として有名な予備校にも女性の電気主任技術者を目指す人も増えてきているようです。今後も女性の電気主任技術者試験を目座す人が増えてくれば女性専用施設などでの電気設備の点検業務に関する求人も増えてくると思われます。
まとめ
以上のように女性の電気への興味や、女性で電気工事業者で働く人の増加、女性電気主任技術者の求人などの情報を紹介してきました。女性電気主任技術者の数が活躍できる社会を目指すことを経済産業省も目標としています。少しでも電気に対する魅力を伝えられるようなコンテンツを届けていくことが重要でしょう。