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EMS(エネルギーマネジメントシステム)とは何か

時代とともに技術は変わりゆくものですし、進歩していくものです。

エネルギー管理の分野においても新しい技術の波は押し寄せています。そうした文脈で「EMS」(Energy Management System)は登場したのです。EMSの定義とは「IoTによるセンサー技術やIT技術を駆使することによって電力使用量を見える化することでエネルギー使用の最適化はかる管理制御システム」のことを指します。

エネルギー管理システムはなにがすごいのか?

電力使用やガス使用の状況をIT技術等を駆使し、データとして省エネ状況を最適に管理できるシステムとして近年導入が進められているのです。エネルギー管理システム導入補助金もあることから、国策としても期待を寄せている分野でもあります。スマートグリッドのかなめとして注目されているのです。

では、このエネルギー管理システムの何がすごいのでしょうか。

それはエネルギー管理システムの定義でも説明したように「エネルギーの見える化(可視化)」にすごさがあるのです。それに加えてただエネルギーが見えるだけでなく「エネルギーを制御できる」のです。つまり、エネルギーを見える化することによってエネルギー使用状況を確認し、そのビッグデータを分析することで空調設備などの設備等を制御(スイッチのON/OFF)することが可能になるのです。

エネルギー管理システムの仕組み

どのようにしてエネルギー管理システムはエネルギーを見える化することができているのでしょうか。

エネルギーのライフサイクルは「生成」「変換」「蓄積」「伝送」で成り立っています。エネルギー管理システムを使用することでこのサイクルをデータ解析によりエネルギー使用量最適化することに関してはどのEMSにも共通の仕組みとなります。○○EMSやメーカーによって詳細な仕組みは変わってきます。

エネルギーマネジメントシステム(EMS)の仕組み

エネルギーマネジメントシステム(EMS)の仕組み(出典:北海道ガス)

例えば家庭内での電気や熱などのエネルギー使用量をEMSによりデータ分析し、使用状況に応じた省エネプランをフィードバックしてくれるのがEMSの仕組みなのです。これは家庭の場合のEMS、HEMSですが、EMSにはビルエネルギーマネジメントシステム(BEMS)という形態もあります。

次にこのビルエネルギーマネジメントシステムBEMSについてを紹介します。

ビルエネルギーマネジメントシステム(BEMS)とは

日本は現在低炭素社会の実現に向けて日々産民官一体となって技術革新などがすすんでいます。その一環として以前ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビルディング)についてを紹介しました。(参考)

昔のビルや工場では多くのCO₂が排出されていました。現在では低炭素社会の実現に向けてビルエネルギーマネジメントシステムは注目されるようになったのです。ビルエネルギーマネジメントシステムは省エネ効果が高いことから導入する建築物が年々増加しているようです。

ビルエネルギーマネジメントシステムのBEMSの仕組み①

ビルエネルギーマネジメントシステム(BEMS)の仕組み

ビルエネルギーマネジメントシステム(BEMS)の仕組み(出典:環境省webサイト)

ビルエネルギーマネジメントシステムの基本的な仕組みはICT技術を駆使したエネルギー使用の最適化をデータ分析によりソリューションを提供する仕組みになっています。BEMSの要は中央監視制御装置にデーターを集めてデータ分析結果をフィードバックとすることでエネルギー使用量を最適化することができるのです。

さらに、BEMSは三つの構成により成り立つのです。

BEMSの仕組み②BENSの構成要素

構成には2つのとらえ方があります。一つはBEMSを成り立たせる要素による構成、一つはBEMSが機能するためのサーバー構成の二つの意味があります。

BEMSには大まかに三つの構成要素により成り立っています。

❶BAS(Building Automation System)

このBASを日本語訳すると、ビル設備集中管理制御システムのことを指します。その名の通りに様々なビル設備の管理・制御をネットワークで構築し、行うためのシステムのことを指します。空調などのビル設備のエネルギーとつながっているのです。ただ、2009年イランStuxnet事件を皮切りに、近年制御システムのセキュリティー問題は非常に重要視されています。ですのでセキュリティーを考慮した制御システムである必要性があるのです。

❷EMS(Energy Management System)

その名の通りにBEMSからBを除いたものになります。これに関しては前述のEMSの定義と同一でBASから送られてくるようなデータを分析しフィードバックを送ることができるエネルギー使用状況の効率化を推進するためのシステムのことを指すのです。ただ最近ではシステムだけでなくクラウド型のEMSも登場しています。具体的な事例では北海道電気保安協会が開発したクラウド型EMSが電気新聞に取り上げられていました。詳しくは☞参考

❸IoTなどを駆使した各種のセンサー

上記の図で示したようなセンサーが部屋の使用状況などをモニタリングし、データをEMSに送信することが可能になるのです。どのようなセンサーがBEMSで使用されるかというと人探知センサーや温度・湿度感知センサー,照度センサーを駆使するものです。

BEMSのほとんどのサーバー構成は以下のようになります。

こちらは一般的なBEMSのサーバー構成になります。BEMSベンダー等がこのようなBEMSアグリゲーターをベンダーとしてクラウドやシステムで販売しているのです。

 

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ビルエネルギーマネジメントシステム(BEMS)のメリット・デメリット

以上のように紹介してきたBEMSですが、このBEMSには当然運用や導入に関するメリットとデメリットがあるのです。次にビルエネルギーマネジメントシステム(BEMS)のメリット・デメリットについてを紹介します。

ビルエネルギーマネジメントシステム(BEMS)のメリット

BEMSメリットその❶高い省エネ効果❢

BEMSを導入することによって元来事業所やビルなどの大型の建築物のような消費エネルギーが大きい建物でのエネルギー消費を抑えることができます。省エネ効果が高いというメリットがゆえにZEB実現に向けた条件の一つにBEMSが該当しているのです。電力のピークカットもBEMSを使用することで可能になるので電力使用量を削減できるのです。加えて、このBEMSには導入補助金制度があるのでコストを抑えることが可能になるのです。

BEMSメリットその❷デマンドレスポンスが可能になる

デマンドレスポンスというのは需給応答という意味で、ビル内の使用状況に応じて需要に応じた適切なエネルギー供給が可能になるのです。そうすることにより電気代を抑えることが可能になるのです。電気代というのはビルになると馬鹿にならない金額がかかるわけですからそれを削減できることは効用が高いといえるでしょう。

BEMSメリットその❸非常用電源になりうる

災害の多い日本では非常用電源はインフラの持続性、復旧性という観点からして非常に重要な役割を持ちます。UPS電源など非常用電源は数多くあります。エネルギーというのは「創エネ」「畜エネ」「省エネ」という3要素が非常に重視されます。

このうち創エネの分野ではソーラーパネルによる太陽光発電での創エネは特に有名でしょう。このような創エネ設備を据付ることによって災害などの非常時に蓄えた電源を使用することで電力供給を可能にすることができます。

ビルエネルギーマネジメントシステム(BEMS)のデメリット

BEMSデメリットその❶コストが高い⁉

このような新しい技術を導入する際に決まってデメリットとなっているのは「コストが高い」ということです。コストより効用効果が高ければ投下資本を回収できる見込みはありますが、ビルの大きさやメーカーの設備、アグリゲーターの値段によって導入時の初期費用は異なります。

ですので、子細にどのくらいの初期費用がかかるかについては一概に言えないところがありますが、中小ビル規模ですとアグリゲーターを設置するのにかかる費用はおおよそ100万円とされることがあります。

また、費用対効果の算定については「エネルギー会計」という企業財務諸表のような会計手法が用いられることがあります。詳しくは☞エネルギー会計を用いたビルエネルギーマネジメントシステムシミュレーション(BEMS2)の提案

このエネルギー会計の理論に基づくと、省エネ効果があるかどうかという効果についてはなにを抑制するか(人か設備かなど)によって費用対効果の内訳は変わってくるのです。省エネ効果で電力使用量を28%を削減できた事例では導入から3年後に効果を見込めたとの報告もあるようですので、導入においては長い目での判断が必要になってくるのです。

BEMSデメリットその❷エネルギー管理に関する技術的知識的障壁が高い

エネルギー管理に関するノウハウを持ち合わせていない場合にBEMSが単に省エネ効果が高いというだけで導入に踏み込んでしまうといまいち費用対効果がないものと判断してしまう可能性があります。

エネルギー管理に関する知識や経験を持ち合わせた人材は日本には数多くはないでしょう。エネルギー管理に関する知識に関する国家資格「エネルギー管理士」の資格も難関資格ですし、(エネルギー管理士の合格率とは?)まさにエネルギー管理に関する知識というのは貴重なものです。

何が問題で、何をどうすればうまくBEMSが稼働するのか?導入できるのか?ということに関する知識がなければ効果的なBEMSは見込めない可能性があります

EMS・BEMSまとめ

今回の記事では近年省エネ効果が見込める技術「EMS」についてを紹介しましたが、このEMSには〇〇EMSという形でいくつかのEMSが存在するということと国からの期待が高いということがわかりました。今回の記事ではEMSの中でもBEMSに注力してその概要やシステムの仕組み、メリット・デメリットを紹介しました。

このBEMSの導入が進みコミュニティが形成される社会がZEB社会となるのです。日本政府の政策目標ではこのような省エネ創エネ畜エネが三位一体となった建築物が街並みを支配するような社会の実現を目指しているようです。ですので、今後のBEMSの技術的発展、BEMSの市場規模の伸びに期待したいところです。

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