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第二種電気工事士試験の筆記試験では、「電気理論及び配線設計」の項で許容電流に関する計算問題などはしばしば出題されています。この記事では許容電流とはどんな概要なのかなどについてを紹介します。

許容電流とは?ビニル絶縁電線(IV)の許容電流

許容電流とは、電線に安全になせる電流の値のことを指しています。電線にも当然抵抗があります。ですので、電線に電流を流すとジュール熱が発生します。ジュール熱とは導体に電流を流すと発生する熱のことを指し、ジュール熱の単位は[J]で表します。

ジュール熱は電流をI[A]とすると、ジュール熱の公式はH=I^2Rで表されます。つまり、同じ抵抗(電線の太さ)の電線ならば電流が多いほどに、同じ電流ならば抵抗の大きい電線(より細い電線)ほどより多量の熱を発生することになります。もし電流がある限度を超えて増加すると、温度上昇が激しくなります。そして、皮膜の絶縁物を損傷したり劣化させたりすることになります。

一方で、発生した熱は周囲の空気によって冷やされます。ですので、発熱の度合いと冷却の度合いが釣り合っているか、冷却の度合いが勝っていれば一定温度以上に電線の温度は上昇しないことになります。

このようなことを考慮し、電線にはそれぞれ安全に流すことができる電流の最大値が定められているのです。この安全に流すことの電流を許容電流といいます。電気工事においては、電線にそれぞれ許容電流が定められているのですが、配線用遮断器でこれを保護しています。

許容電流にはいくつか種類があり、常時許容電流と、短時間許容電流があります。通常、許容電流を指す場合、常時許容電流を指すことが一般的です。常時許容電流とは、連続して流すことができる許容電流で、短時間許容電流とは、短絡電流等の短い時間のみ流すことができる電流を指します。

そんな許容電流ですが、許容電流には①絶縁体の種類②電線の布設方法③周囲温度によって変化するとされています。①については絶縁被覆の許容電流が絶縁体によって異なるためで、②については、布設方法によって絶拡散のしやすさが変わるためであり、③については、周囲の温度が低いと、絶縁被覆の許容電流に達するまでの電流が多くなるからです。

ビニル絶縁電線(IV)の許容電流

よく使用されるビニル絶縁電線(IV線)の許容電流を示すと、以下の表のようになります。

 単線[mm]より線[mm²]
公称断面積1.622.63.223.55.581422
許容電流273548622737496188115

この表において、単線は心線の直径を、より線は公称断面積(≒素線の断面積×素線数)を指しています。☝の表において、表の値は周囲の温度が30℃以下の場合を示しています。また、より線とは同じ太さの素線を1本または数本を中心にして、その上に他の素線を何層かにより合わせたものになります。より線では太さ[mm]の代わりに公称断面積が用いられています。

許容電流の計算・求め方

許容電流の計算方法

電線の温度上昇や熱の放散は、皮膜の材質や周囲の温度によって異なります。皮膜材の違いによる許容電流は、定められた許容電流補正係数を乗じて計算することができます。例えば、周囲の温度が30℃を超えている場合、電流減少係数を乗じることで計算することができます。電流減少係数とは、まず、導体は温度が高くなると低効率が大きくなるという性質を有しています。低効率が大きくなると、電流を通しにくくなるので、電線管に電線等を入れて配線等するときは安全を考慮し、必ず電流減少係数を絶縁電線の許容電流に乗じて許容電流を減らす計算をしないといけないのです。

以下に許容電流補正係数と電流減少係数の計算式の表を示します。

絶縁材の材料の種類許容電流補正係数
ビニル混合物1.00
ビニル混合物、ポリエチレン混合物、スチレンブタジエンゴム混合物1.22
フッ素樹脂混合物1.27
エチレンプロピレンゴム混合物1.29
ポリエチレン混合物及びケイ素ゴム混合物1.41

それぞれの絶縁体の材料事の電流減少係数は、

  • ビニル混合物
    • \sqrt{\frac{60-\theta}{30}}
  • ビニル混合物、ポリエチレン混合物、スチレンブタジエンゴム混合物
    • \sqrt{\frac{75-\theta}{30}}
  • フッ素樹脂混合物
    • 0.9\sqrt{\frac{90-\theta}{30}}
  • エチレンプロピレンゴム混合物
    • \sqrt{\frac{80-\theta}{30}}
  • ポリエチレン混合物およびケイ素ゴム混合物
    • \sqrt{\frac{90-\theta}{30}}

となります。また、電線を合成樹脂管や金属管などに収めるときには、何本かの電線を1束として収めることがあります。何本かの電線を1束として収める場合、がいし引き工事と比較して生じる抵抗熱が発散しにくくなるので、温度が上昇します。ですので、許容電流を減少させる必要性があります。

このような場合、電線管に収める電線数によって決まった電流減少数を乗じて許容電流を計算します。許容電流の求め方・計算方法は、以下の式で求めることができるようになります。

電線管に挿入した絶縁電線の許容電流の値=電線管に入れないときの許容電流の値×電流減少係数

で許容電流は求めることができます。電線管に収めるときの電流減少係数については以下の表のようになります。

同一管内電線数電流減少係数
3本以下0.7
4本0.63
5本、6本0.56
7~15本以下0.49
16~40本以下0.43
41~60本以下0.39
61本以上0.34

許容電流を求める計算問題

周囲の温度が30℃の条件下で、VVFケーブル(600Vビニル絶縁シースケーブル平形)で、直径2mm、3心の許容電流はいくらでしょう。

許容電流は☝の表のビニル絶縁電線の許容電流値の表で直径2mmと対応している単線許容電流値をみると、35[A]であることがわかります。3心ですので、電流減少係数は0.7となります。この数値を、<電線管に挿入した絶縁電線の許容電流の値=電線管に入れない時の許容電流の値×電流減少値>の公式に当てはめると、以下のように求めることができます。

VVFの電線許容電流=35\times 0.7=24.5[A]

となります。許容電流を求める計算では、電線に入れない時の許容電流の値と、電流減少係数を覚える必要性があります。

まとめ

以上のように、第二種電気工事士筆記試験で問われることがある許容電流についてを、許容電流の概要と計算方法・求め方の観点から紹介してきました。許容電流については電線のメーカーが公表していることがありますので、現場での電気工事の際には許容電流の仕様を確認する必要性があるでしょう。

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