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建設業界の従事者数は年々不足していっています。そのことをよく知る人は多いかと思われます。人手不足が加速していくと工事が完成しなくなったり、人手が足りずに現場が疲弊するような事態が生じてしまいます。では、電気工作物の設計・施工・工事等を行う「電気工事士」は今後不足していくのでしょうか?不足していくとしたらそれはどんな理由がゆえなのでしょうか。そして不足しているとしたら今後どのような解決を目指していけばよいのでしょうか。

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電気工事士は不足していくのか?電気工事士の年齢は高齢化へ

電気工事士のみならず電気主任技術者を含めた「電気保安人材の中長期的な確保に向けて」という経済産業省の資料を紹介します。

第二種より第一種電気工事士の方が不足していく。

第二種電気工事士の人材需給ギャップ

第二種電気工事士の人材需給ギャップ

第一種電気工事士の人材需給ギャップ

第一種電気工事士の人材需給ギャップ

電気工事士には第一種と第二種がありますが、経済産業省の報告資料では、2020年から第一種電気工事士の需要(電気工事士を雇用したいという需要)と供給(実際の第一種電気工事士の数)にギャップが生じはじめるようです。現在(2019年)から後一年後には本格的に第一種電気工事士の不足が始まるようなのです。第一種電気工事士の2020年の想定需要は20.4万人が必要となっていますが、2万人ほどの乖離を示しています。これが2045年になるとより一層深刻となり、想定需要16.5万人に対し第一種電気工事士の供給は14.1万人と2.4万人の乖離があることが見込まれているようです。

建設業界は人手不足と同時に就業者の高齢化という深刻な問題を抱えています。高齢化によって電気工事業界でも一斉退職が始まります。第一種電気工事士の取得は当然第二種電気工事士より難しい試験ですが、需要面では第二種電気工事士以上に必要とされているのです。

第二種電気工事士については高齢化や資格への人気の低迷などによって供給面(実際の第二種電気工事士の数)は不足していかないとのことです。第二種電気工事士は取得の難易度は低く、受験資格も制限がなく免状交付の条件もない取得が簡単な資格です。それゆえに不足していくことがあまり見込まれませんし、第二種電気工事士で行わる一般用電気工作物の工事などよりも一層、第一種電気工事士の方が需要が高いのです。

電気工事士の年齢は高齢化していく。

電気工事士の免状交付者の年齢

電気工事士の免状交付者の年齢(出典:経済産業省「電気保安人材の将来的な確保に向けて」)

電気工事士の免状交付者は2015年段階で☝のグラフのように50歳以上が半数を占めており、高齢化が進んでいることがわかります。ただ、第二種電気工事士は受験資格もなく、実務経験も必要としていないので、第二種電気工事士の方が取得者の年齢が第一種電気工事士よりも若くなっています

一種と二種でより必要とされるのは第一種電気工事士であることを先ほど説明しましたが、第一種電気工事士の年齢が高齢化していることは第一種電気工事士の一斉退職の際に業界に大きなダメージを与えるのではないでしょうか。

電気工事士の不足はなぜ生じるのか?

電気工事士が中長期的にみて不足していくことを経済産業省の資料を基に紹介してきましたが、ではなぜ電気工事士の不足が生じているのでしょうか。

電気工事士が不足する理由その①認知度の低さ

このウェブサイトの多くは電気工事士や電気主任技術者などの資格保有者や電気工事業従事者ですが、一般的に「電気」に対する知識、電気に関する資格というのはあまり認知されていないのではないでしょうか。電気工事士という資格のことをどのようにして認知したのかは人それぞれかもしれません。

同様の経済産業省のアンケートによると、「親族等、身内に電気工事士がいた」に53%が回答、その次が就職、職場体験で、電気工事士を認知するきっかけのほとんどが身内に電気工事士がいるということでした。確かに、電気工事士のことを取り上げるテレビや雑誌はあまりないです。東北大学のとある教授が学生に電気に関するアンケートを採ったところ、女性からは電気をオタクっぽいという印象がほとんどだったようです。このように、建設業、設備工事業、設備管理業では電気工事士は知らない人はいないほどの人気ですが、一般社会ではなかなか電気工事士を知るきっかけはないようです。

電気工事士が不足する理由その②限定的な教育機会。昨今の理系離れ。

こちらは電気工事士の不足する理由にダイレクトにかかわっていると思われる理由です。電気工事士の資格を取得する人のほとんどは工業高校卒業の方、電気(電気工学、機械工学等工学系統)に関する大学、短大、専門、高専など卒業生ですが。逆を言えば、工業高校や電気に関する教育を受けてこなかったら「電気工事士」の資格を取得しようと思いにくいですし、電気工事士を認知するきっかけにもなりません。

とかく昨今理系離れが叫ばれていますし、小中学教育、高校教育においても電気に関する知識を教えるような授業は時間数が少ないです。こうした電気に関する教育環境がなくなっていくとなお一層電気工事士は不足していくでしょう。若年層の電気工事士は今後不足していくのはこうした背景もあるのではないでしょうか。

そして、電気工事士の資格を取得できるのが「認定校」ですが、認定校は年々減少していますし、認定校の募集条件は社会人経験が未経験の方のみとなっています。そうした際に異業種から電機業界への転職を考えている人が資格取得のために認定校に入学しようとしてもできないのです。なぜこのように電気に関する教育機会を限定しているのか不明ですが、異業種から未経験で新しく電気工事業をやりたいといった人にとって酷だと思われます。電気工事士としての教育の受け皿が非常に狭いのです。

そして入職したとしても電気工事士として見習い期間を教育する人がいずれ不足により少なることが考えられそうですが、こうした研修制度を確立できないと各社の技術力の継承ができなくなってしまうことが想定されます。

電気工事士が不足する理由その③入職者が限定的で離職率がやや高い

既存の電気工事業は入職者のターゲティングのほぼ50%を工業高校卒業生にしています。中途採用で異業種を採用することはなかなかありませんし、入職者の門戸が非常に狭いので中長期的にみれば、工業高校生は減少していくので、電気工事士も減少していくことが見込まれているのです。

そして電気工事士として電気工事業に入職した方の3年以内離職率が高いことが同経済産業省の資料では報告されています。飲食業界で60%、小売業で50%となり、電気工事業での離職率は40%となっているようです。全業界で見てやや高い数値となっているようです。そして、電気工事業を離職する理由としてはOJTの不足や休暇日数が少ない、勤務環境の劣悪さなどの理由があるようです。離職率が高い要員として勤務日数の多さがありますが電気工事士が今後不足すると、なお一層業務量が増え、離職率が高くなるというループが発生し、電気工事士の不足は加速していくでしょう。

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電気工事士の不足を解消するにはどうしたらいいのか?

これまで、電気工事士の不足を経済産業省の資料を基に定量的に分析し、なぜ電気工事士の不足が生じるのかということについてを考察してきましたが、では、どのような解消策でもってして電気工事士の不足を解消することができるのでしょうか。あくまで一解消策となります。これら以外にも電気工事士の不足を解消するための案はあるかと思われます。

電気工事士の不足解消策その①認知度向上策でメディアミックスで認知度向上を

先ほどの電気工事士の不足の理由①に対応する解消策①です。電気工事士の一般認知度の低さが電気工事士の不足を加速化させているがゆえに、認知度を向上するための施策を産官学連携し、計画・実行する必要があるでしょう。その一案として特性の異なる複数のメディアを織り交ぜる「メディアミックス」をするのは有用でしょう。例えば、妖怪ウォッチは、マンガとアニメとグッズと映画でその認知度を向上させるにいたりました。

実はこのような施策は関西電気保安協会で行われているようです。どのような施策なのかというと、石野卓球と関西電気保安協会がYoutubeにて採用広報広報の一環としてオリジナルソングを作成している施策です。他には日本エネルギー管理センターが行う電験3種の対策講座のyoutube広告があります。これまでのチラシやパンフレット、WEB広告、セミナーなどとは異なるポップな印象でそれぞれの認知度を向上させているのです。電気工事士に関しては、「イケメン電工男子」「美女電工女子」のようなタイトルを書店で見ることがあります。

電気工事士の認知を上げるには、そのキーワード事態の一般社会への露出をSNSやマス広告などで普及すること、働くイメージをつけるために電気工事業を行う職人などへのインタビュー記事・動画コンテンツを作成し拡散することなどが考えられます。

電気工事士の不足解消その②教育機会の拡充・研修パッケージの開発

電気工事業の入職ターゲティングの対象の50%は工業高校生でした。しかし、工業高校生からの電気工事業への入職率は高くないようです。ですので、普通科高校生や転職希望者への門戸を広げるべきでしょう。ただ、門戸を広げても電気に関する知識や仕事の仕方がわかっていないといません。そうした時に教育が必要になります。電気工事に関する知識や仕事の仕方に関する研修パッケージがあれば、立ち上がりやすくなるのではないでしょうか。もちろん、会社によって仕事内容は変わってくるのでカスタマイズ性能は高くある必要がありますが。

そして、入職時点は未経験、もしくは第二種電気工事士免状保有者であれば今後不足していくであろう第一種電気工事士の取得を推奨することも考えられます。第一種電気工事士は認定電気工事従事者制度によって第一種電気工事士の不足を補填することができますが、今度は第二種電気工事士が不足していく構造になっています。そうした事態を防ぐためにも工業高校生以外の門戸を広げた方がいいでしょう。第一種電気工事士の実務経験年数を短縮しようとする動きもあるようですし、様子を見る必要はあるでしょう。

電気工事士の不足解消その③業務効率化、作業標準化、IT駆使

電気工事士が不足することの理由の一つに職業定着率の低さが挙げられています。電気工事士の職業定着率を上げるにはやはり、就業時間の削減、作業標準化、業務効率化の必要性はあるでしょう。電気工事士の仕事はきついことも楽しいこともありますが、やはりきついと感じることはあるようです。現職の労働時間が長くて残業がきつくなり、転職を考える人もいらっしゃいます。転職は悪いことではないのですが、業界を通して労働時間が長いことが原因となり離職率が上がるのは問題でしょう。そうした構図が続くと電気工事士の不足はますます加速するでしょう。

そうならないためにもIT技術を駆使し、積算ソフトや電気設備CAD、配線図ソフトなどで業務を効率化することも業務時間を減らすという点では有用です。ですが、このようなソフトにはイニシャルコストはもちろん、学習コストがかかってしまいます。既に導入している企業も多くあるでしょうし、大企業なら容易に対応できるかもしれませんが、中小企業にとっては重たいコストになる可能性もありますので一長一短ともいえます。とはいえ、工程毎に異なるソフトを使っていると混乱するので、川上から川下まで一気通貫して同じソフト、ツールで業務ができれば学習コストの削減につながります。

まとめ

以上にように、電気工事士の不足に関する現状の整理と、不足していくことの理由、解消策についてを紹介してきました。電気工事士の中でも第一種電気工事士は中長期的にみて不足していることが分かりましたが、必ずしも認定電気工事従事者で補填することがいいわけではありませn。第一種電気工事士の免状交付に必要な実務経験年数も削減するという意見もあります。今後、電気工事士が不足していくと、社会インフラの案て定性の欠如にもつながってしまいます。是非ともはやめに食い止める必要があるでしょう。

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