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近年、AIにより今まで人力で行ってきた業務や仕事がAI(人工知能)で代替されていくことを説く文献等を多数目にします。それは様々な業界で言及されていることなのですが、電気主任技術者の電気設備の保全に関する業務・仕事もAIにとって代わられるのではないかということも耳にします。

とはいえ、とって代わられるという表現も危機感をあおるために使用されることが多いのですが、必ずしも電気主任技術者の業務のすべてをAIで代替するということではなく、電気主任技術者の業務を助けることに目を向けたAIの活用方法の方が建設的です。今回は電気主任技術者とAIにまつわることについてを紹介していきます。

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電気主任技術者の業務はAIで代替可能なの?

簡単なAIの歴史と現在

Google社の「Alpha Go」が囲碁のプロを倒したという件は有名な話です。AIのカギを握る深層学習(ディープラーニング)を用いたアルゴリズムにより、棋士の打ち手を学習することで予測を行うことによって最適な打ち手のパターンを学習します。

AI自体の理論は古くからありましたが、第一次AIブームの際にはトイプロブレムと呼ばれた時代や、第二次AIブームの際には、エキスパートシステムと呼ばれる実用的な専門家の知識をデータベースに蓄積して使用するシステムが流行し、第三次AIブームの現在では、ビッグデータを用いた機械学習が発達し、知識を定義する特徴量を自らが学習する深層学習が登場しました。

つまり、現在のAIブームのきっかけは深層学習の理論の確立です。これに加えて、従前はAIに学習させる環境の構築が難しく、CPUではその計算処理能力に限界がありましたが、NVIDIA社のGPUやGoogleのAIフレームワークtensorflowやkerasの登場で、一気にその開発環境の敷居が下がったこともまた要因の一つです。

現在のAIの応用分野としては、「自動車のギヤ不良品検出」や「自動運転」「ゲノム解析」などで応用されています。人々の生活をよりよくする革命的なものとしてAIは実用に至っています。

電気主任技術者の業務は法律で定められているのでその業務のすべてをAIで代替することはないでしょう

電気主任技術者は電気主任技術者制度の下にその業務を定められていますし、自家用電気工作物の保安に関する規定である保安規定を順守し、誠実な業務をこなすことを求められています。この規定がある以上は電気主任技術者という資格職はなくなることはないでしょうし、一部の業務をAIによってサポートすることはあってもその業務のすべてを代替することは不可能なのはないかと思われます。

ただ、それは現在の話で、設備投資費用は膨大で、AI標準搭載の電気設備がデファクトスタンダードになるかどうかは不透明なところですが、電気設備がAIライクな仕様に変更された場合には電気主任技術者の業務も何かしらの変更があるかもしれません。

AIに電気主任技術者の業務がとって代わられるとしたらAIを搭載した電気主任技術者ロボットが例えば特別高圧受変電設備の点検業務を行い、受変電設備の異常検知が発生した際には中央制御装置にデータを送信し、命令系統のトップに立つ中央制御装置から電気主任技術者ロボットにデータ分析結果を自動でフィードバックし、制御システムによりフィードバック結果通りにその異状を回復する措置を施す。その後ロボットは異常検知したデータを学習し、異常検知の際にAIが未知の値に対し、既知の値を用いた推論を行うことで電気設備の以上を自動回復することなどがあるでしょう。

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今現在、AIで電気主任技術者の業務を手助けしている場合もある。

メガソーラーの不良個所をドローンとAIで自動解析

電気主任技術者の業務を効率化する可能性があるドローンの活用

電気主任技術者の業務を効率化する可能性があるドローンの活用

メガソーラー発電所の建設件数は年々増加しており、事業用の太陽光発電では高圧太陽光発電より特別高圧太陽光発電の建設がメジャーになりつつあります。電気主任技術者も最近ではメガソーラーでの勤務も増えてきましたし、特別高圧太陽光発電の需要は高まってきているようです。そうした中膨大な太陽光パネルの異常・破損などのトラブルによって発電が滞ることがあります。

そうした事態をいち早く検知するために遠隔監視システムが導入等されていますが、これをドローンによる空撮でオルソ図写真を用いた異常・トラブルの発見を自動で解析することが可能なのです。2018年8月30日にソフトバンク・テクノロジー等がドローンを使用した赤外線自動解析ツールを開発したとの報道がありました。(詳細)このツールを用いて赤外線検査をAIを用いて人力でこれまで数時間かかっていた異常検知を数分で可能にすることができるとのことです。

AI(深層学習)の得意なこととして画像解析があります。画像解析は数万枚以上の画像をエッジ値などで数値データとして捉えることでAIに学習させニューラルネットワークを構築することができるのです。

もちろん学習率の設定等細かい設定等でAIによる画像認識の制度は変わってきますが、学習を重ねることでその未知の値の推測精度を向上することができます。この記事の執筆者もペット画像を解析する仕事をしていましたが、とにかくAIによる画像解析はやりようによってなんでも判別できるようになります。ドローンによる空撮で撮影した画像も画像解析をすることが可能で、異常があるパネルを発見することができるのです。メガソーラーで常駐する電気主任技術者にとっての業務を効率化するという点でAIの活用は手助けになるものでしょう。

AIを活用した鉄道電気設備の保守管理

鉄道の電気設備の故障による鉄道運行のストップもしばしばある事態です。そうした事態を人力を使わずに解決するAIが実証実験段階で着手したとのニュースがありました。(詳細)これは鉄道の電気設備の電圧・電流値についてこれまで統計データを採ってきた鉄道会社のデータをもとに機械学習によるルールエンジンを用いた検査・更新周期を適正化し、予測することができるアルゴリズムを開発しているようです。

鉄道の電気設備の障害を発見することが可能になるようです。鉄道会社で電気主任技術者として勤務する方にとっては、異常検知を自動化してくれるAIは非常に業務を助けるものなのではないでしょうか。

AIで受変電設備の故障を発見

受変電設備の保守点検を行う電気主任技術者にとってこれはまさに業務を手助けするものでしょう。日新電機が開発した「電気設備DOCTER」はAIを用いた保守点検の効率化が可能になるとのことです。やはり検査データを入力値として捉えて説明変数としての機器劣化状態を検知することが可能になるのです。これには数々のセンサーを用いた電気設備のデータ収集を行うようです。

まとめ

以上のように電気主任技術者とAIにまつわる事柄についてを紹介してきました。電気主任技術者の仕事は法律がある以上はAIにとって代わられることはないでしょう。しかし、AIを完全に敵と捉えるのではなく、業務を効率化するための道具として捉えることが重要です。

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