太陽光発電は個人宅にも設置可能で、「発電した電気を売ることができる」、「環境に優しいクリーンな発電である」などの理由から注目を集めています。しかし、そんな太陽光発電もまだまだメリットばかりではありません。この記事では太陽光発電の導入を検討している方に向け、導入前に知っておきたい課題についてご紹介していきます。
太陽光発電を取り巻く3つの課題
太陽光発電は、発電時のエネルギーロスが少なく、環境にもやさしいことで知られていますが、一方で課題もまだ多くあります。ここでは太陽光発電を取り巻く課題を3つご紹介します。
課題①導入コストが高い
一つ目の課題はコストです。海外と比べると日本の太陽光発電の導入コストはかなり高額です。なぜ日本の太陽光発電の導入コストは、これほど高いのでしょうか?それは、モジュールコストと建設工事費の両方が、海外と比べて高額なためです。日本国内では、国産品のモジュールを使用する傾向があるため、モジュールコストは高額になります。
また、建設工事費に関しても、工法の違いなどが原因で、海外に比べても工期が長く、費用もそれなりにかかってしまうようなのです。
課題②どうしても天候や季節に左右されてしまう。
次に、発電効率が天候に左右されてしまうという課題です。
太陽光発電は、太陽光で発電をするクリーンな発電方法ですが、その分、日射量の関係上、日があたっている時間帯しか効率よく発電できません。そうなると、ある日は太陽光だけで家庭の電力を賄えても、ある日は賄えないといった問題が出てくるわけです。
課題③今後増える可能性があるダックカーブ現象
続いて、環境に負荷を与えにくい印象の太陽光発電ですが、大規模展開に伴ってダックカーブ現象という問題が発生しています。ダックカーブ現象とは、太陽光発電導入の拡大に伴い、日中には電力供給が過剰となる一方、夕方の需要ピーク時には電力供給が不足する、という問題です。
そのため、太陽光で発電のできない夕方からは、調整電源として電力会社が火力発電設備などの出力を急激に上げる必要があり、発電所に大きな負担をかけることになります。この問題はアメリカのカリフォルニア州ですでに起きており、太陽光発電を巡る大きな社会問題となっています。
太陽光発電の課題の解決策
太陽光発電の課題を見てきましたが、どのような解決策があるのでしょうか。現在提案されている解決策をご紹介します。
解決策①国家目標として導入コストは下げる方針を示している
一つ目の太陽光発電の導入コストの問題ですが、コストを下げるには、技術開発だけではなく、政府が主導して市場規模を拡大することも重要です。市場規模が拡大することで、市場に競争が起こり、企業のコスト効率が上がることも期待されるからです。
また、政府は、固定価格買取制度等を利用した普及政策を行っており、入札制度を緩和するなどの政策で市場規模の拡大と併せて、導入コストの削減も目指しています。固定価格買取制度についてはこちら
解決策②発電効率の良い追尾式太陽光発電の推進を
太陽光発電において発電効率が高いとされているものに、追尾式タイプがあります。この追尾式タイプは、従来の固定式に比べて発電効率がよく、なおかつ省スペースな点が特徴です。追尾式架台太陽光発電についてはこちら
追尾式太陽光発電は、なんと太陽の動きを追いかけることができる発電方法です。太陽の位置は時間帯や季節によって異なるため、太陽光の注がれてくる方角は常に変化しています。そのため、向いている方角が一定の固定式の太陽光発電では、受けとめられる太陽光の量に、どうしてもムラが出てしまいます。それに対して、追尾式の太陽光発電では常に太陽を追いかけるので、固定式と比べて約1.4倍~1.5倍の量を発電できるのです。
解決策③デマンドレスポンスの普及
太陽光発電が大規模に設置されているアメリカのカリフォルニア州で、ダックカーブ現象という問題が起きていることは、ご紹介しました。このダックカーブ現象対策として注目されているのが、デマンドレスポンスという対応策です。デマンドレスポンスについてはこちら
デマンドレスポンスとは、消費者が利用量を変動させて、電力需給のバランスを一致させることです。具体的には、ピーク価格や時間帯別料金といった形で、需要ピーク時に電力料金を高くし、消費者が料金の安い時間帯に電気を使うように促すといった方法や、ピーク時に使用を控えた消費者に対し、対価を支払うなどの方法で使用抑制を促す方法があります。
まとめ
いかがでしたか。太陽光発電導入を検討する際に知っておきたい課題と解決策についてご紹介しました。太陽光発電は、輸入に頼らない国産エネルギーで、しかも発電時にCO2を出しません。環境問題が深刻化している今日、クリーンな発電である太陽光発電は注目を浴びています。一方で、太陽光発電には、まだまだ課題があるのも事実でしたね。太陽光発電をこれから導入しようと考えている方は、まだいくつかの課題があるということを、念頭に置いたうえで検討してみてくださいね。