サブコンという言葉を聞いたことがあるでしょうか?ゼネコンという言葉は知っている方は多いかもしれませんが、いまいちこの「サブコン」という言葉は知られていないのではないでしょうか?
この記事ではそんなサブコンとは何なのか、ゼネコンとの関係はどうなっているのか?、サブコンで勤務すると年収はいくらくらいもらえるのか?サブコンはどんな役割を果たしているのか?といった観点から解説します。
サブコンとは?
サブコンとは英語でいうsub contractorなのですが直訳すると、「下請け業者」という意味になります。ちなみにゼネコンはGeneral contractorsで、「総合建設工事業」や「元請業者」と訳されます。
ゼネコンとサブコンの関係性を理解することでよりサブコンに対する理解が進みます。
ゼネコンとサブコンの関係性
重層下請け構造
日本の建設業界はしばしば’重層下請け構造’と称されるように、発注者を頂点に元請➡下請け➡孫請けなどと工事が進んでいく構造が存在しています。このような構造の中で、サブコンはゼネコン(元請)に対する下請であるのです。以下のような構造のことを重曹下請け構造と呼びます
ゼネコンの役割
ゼネコンの大まかな役割は、設計・施工・研究開発です。これらの役割には莫大なお金が必要になるので、資産力の強いものをゼネコンと指すこともあります。ゼネコンの中でも、単独で売り上げが1兆円ある会社群のことをスーパーゼネコンと呼びます。
以下のような会社がスーパーゼネコンと呼ばれています。誰しもが一度は聞いたことがあるような会社ばかりなのではないでしょうか?
会社名 | 売上(連結・推定) |
大林組 | 約1兆9006億円 |
鹿島建設 | 約1兆8306億円 |
大成建設 | 約1兆5854億円 |
清水建設 | 約1兆5194億円 |
竹中工務店 | 約1兆2959億円 |
ゼネコンの役割は以下のようなものになります
- 現場の安全管理
- 元方事業者による建設現場安全管理指針に基づいた安全管理
- 工程管理
- 工事全体のスケジュールのことを指します。現場には必ず工程表というものがあり、「横線式工程表」「ネットワーク工程表」の2つの形式があります。
- 品質管理
- 各地方自治体による「品質管理基準」に従った建造物などの品質の監理を指します。
- 原価管理
- 「工事日報」なるものを使用し、収支の管理をします。
*場合によっては環境管理なども含むことがあります。
サブコンの役割
サブコンは元請から渡される工事のうち、以下のような工事を担当します。
- 電気設備工事
- 電気供給の申請、使用量メーター、分電盤の設置から配線、コンセントなどの末端処理までを行う電気関係の工事の総称を指します。
- 空調設備工事
- 建物内の空気の温度・湿度・清浄度・気流を調節し、 室内空気と外気を入れ換えるために、換気扇などを設置する工事のことです。
- 衛生設備工事
- 衛生設備工事 洗面化粧台・洗面器・手洗い器・大小便器・浴槽などの衛生器具や水まわりの小物(タオル掛け・化粧鏡・手すりなど)などの取り付け工事を指します。
- 消防設備工事
- 消防施設工事(しょうほうしせつこうじ)とは、消防用設備として、火災警報設備、消火設備、避難設備若しくは消火活動に必要な設備を設置し、又は工作物に取付ける工事を指します。
要はサブコンとはゼネコンの下請けとして現場で仕事をし、施工管理を行うということになります。そして例えば電気設備であれば何かしらの電気系の資格をもった専門家が現場監督を行うのです。
サブコンの特徴としては、親であるゼネコンがこけてしまうとサブコンの売り上げに打撃を与えてしまうので複数の業者と関係性を構築し仕事を受注するシステムを構築しているようです。
このようにサブコンの役割をゼネコンとの関係性について触れてきました。次にサブコンにおける市場環境についてみていきましょう。
サブコンのランキング、収益性、市場規模
どんな業界にもマーケットリーダー、リーディングカンパニーと呼ばれるような会社は存在しています。では、サブコン業界では、どのような競争環境が構築されているのかを見てみましょう。
サブコン業界ランキング
サブコン業界において売上高ランキングtop5の企業を見てみましょう。
順位 | 企業名 |
売上高(2018-03-31)
|
1位 | 高砂熱学工業 | 2899億3300万 |
2位 | 大気社 | 2318億9800万 |
3位 | ユアテック | 2132億5100万 |
4位 | サーラコーポレーション | 2033億635万 |
5位 | 三機工業 | 1701億5700万 |
*当ランキングの引用元:☞http://suik.jp/greport?code=SM000011
サブコン業界の収益性
収益性を知ることはその業界がどのくりい儲かっている業界なのかをしるための指標になります。ここでいう収益性とは営業利益率を指しています。営業利益率とは、売上高から売上原価と販売費及び一般管理費を差し引いた営業利益の売上高に対する割合をいいます。
設備工事業における収益性は電気通信・信号工事、ビルメンを除けば1%を超えたものになっているので、収益性は高いとまではいかないものの、ややあるといえるでしょう。
サブコン業界の市場規模
次にサブコン業界の市場規模についてみていきましょう。市場規模とは業界や商品の総額のことを指します。建設業界においては市場規模として完成工事高(営業売上高)が示されることもありますのでそれに準拠した数値となっています。
年度/区分 | 電気工事完成工事高 | 設備工事業全体完成工事高 | 建設業全体での完成工事高 |
平成26年度 | 88,442 | 211,596 | 854,226 |
平成27年度 | 88,553 | 216,586 | 882,447 |
前年度比 | +0.1 | +2.4 | +3.3 |
電気工事業、設備工事業の完成工事高は前年比でみても増加しています。建設業界の中で電気工事業、設備工事業の完成工事高は上位に位置づけられています。
電気工事業、設備工事業のうちの元請比率(元請と下請けの売り上げ比率)はについては次のようになります。
元請(ゼネコン):下請け(サブコン)=55:45
となっているようです。☞日本電設協会より参照
以上のように、サブコン業界のランキング、収益性、市場規模を見てきました。サブコン業界のトレンドとして近年の再エネシステム需要増加があげられます。これを受け電気工事業の許可業者数は増加傾向にあります。ですので、サブコン業界の収益性が数年で著しく低くなるということはないでしょう。
次にサブコンにおける産業従事者の働き方、年収や業務についてみていきましょう。
サブコンの年収、働き方など
サブコンにおける年収はどのくらいもらえるのか、どういう働き方をするのかをみていきましょう。
サブコンの年収
サブコンにおける年収をインターネット上に公開された求人情報や、口コミ、などから調査しました。年収の下限値と上限値をそれぞれ示したものが以下になります。
サブコンの年収(下限)
サブコンにおける年収の下限値は最も多いもので約315万円からとなりました。サブコンの年収の下限値の年収平均値は366万円となっています。企業の規模や、募集している人材によって年収の下限値は変動するようです。
サブコンの年収(上限)
次にサブコンの年収の上限値についてみていきましょう。
サブコンの年収の上限値で最も多かったのは約年収480万円帯でした。サブコンの上限値の平均年収としては566万円となりました。年収の中には900万円の求人もありました。
サブコンの平均年収
サブコンの平均年収はおおよそ466万円となりました。設備工事業の平均年収は370万円といわれていることから、設備工事業の平均値より約100万円高くなっているようです。
ただ、平均年収はあてにならないこともあるので参考程度でよいかと思われます。
▼関連記事 施工管理の業務内容・年収事情 現場で働く電気工事士の年収事情
サブコンの仕事、働き方
まず、ゼネコンの現場監督は1人1物件が原則となっています。一人で何物件も担当することはないということです。あくまで原則なので、例外はある可能性がありますが。。
それに対し、サブコンでは1人で複数の物件を担当することがあります。サブコンの現場はゼネコンより管理する範囲が狭い分複数の物件を担当するようです。
サブコンの仕事はゼネコンと協業してなしえる仕事といえるでしょう。
まとめ
以上、サブコンとゼネコンとの関係や、サブコンの市場環境、サブコンの年収や仕事についてを見てきました。
サブコン業界は現在、そして今後人手不足が進行していくとの見込みがあるようです。サブコンの業績は人で成り立っているような面もあるので、今現在採用に力を入れているのでしょうか。