消火設備は、衛生設備に分類される言葉通りに消火のための設備です。そんな消火設備にはいくつか種類があり、その種類は消火原理によって用途が異なっています。そんな消火設備の種類を紹介するとともに、設置基準や点検義務についてを紹介します。消火設備はしばしば1級管工事施工管理技士の学科試験でも出題されるように、衛生設備の中でも重要度が高い設備です。

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消火設備の原理・仕組みとは?

消火設備は燃焼の要素に応じた原理・仕組みを持っている。

火災など有事の際に必ず消火設備は発動し、すぐさまに火を消します。これが簡単な消火設備の役割ですが、なぜ消火設備が火災を鎮火させることができるでしょうか。火災が生じる燃焼には4つの要素があります。その要素は「温度」、「酸素」、「可燃物」、「連鎖反応」で構成されています。連鎖反応というのは、可燃物と酸素がエネルギー次々と結びつく現象のことです。中学や高校では下のような火の三角形で燃焼の仕組みを説明していますが、この記事では燃焼の要素に連鎖反応を加えて4要素とします。

消火設備の「消火」は、火災を継続させるこれらの燃焼のうち1つを取り除くことで消火を果たすことができるのです。それゆえに、消火設備の消火原理・仕組みには、温度に対する「冷却効果」、酸素に対する「窒息効果」、連鎖反応に対する「抑制効果」があるのです。例えば、火災を消化する酸素濃度は、通常の大気中の酸素濃度は21%ですが、これを窒息効果で15%以下にすると、火災による燃焼が継続されずに消火されます。

消火設備の種類とは?

泡消火設備

泡消火設備は第三種消火設備に分類される消火設備で、燃焼物を泡の層で覆って酸素を遮断する窒息効果を使い、霧状の水滴によって熱を吸収する冷却効果によって消火することができる消火設備です。泡消火設備の用途は、駐車場やヘリポートなどの水での消化では効果が薄く、火災が拡大しそうな場所での使用に向いています。日常生活でよく目にするのはデパートに設置された泡消火設備の構成の一つのフォームヘッドというマイクを逆さまにしたような形状の設備です。

不活性ガス消火設備

不活性ガス消火設備とは、窒素やアルゴンなどのような不活性ガスを放出し、主に酸素の容積比率を下げることで窒息効果を発生させて消火する消火設備です。不活性ガスというのは、化学反応しにくい気体のことを指します。不活性ガス消火設備は、電気室や美術館、精密機械、電気通信機室で使用されることが多いです。消火剤による汚損が危惧されるような施設での使用が主な不活性ガス消火設備の用途となっています。

粉末消火設備

粉末消火設備とは、粉末状の消火剤を噴射ヘッドから放射することで、消火剤が燃焼反応の継続を制限する抑制効果によって消火をする消火設備です。熱分解によって発生した二酸化炭素や水蒸気による窒息効果・冷却効果によって消火をするのです。いわゆる負触媒効果を使用した消火設備です。粉末消火設備は、不活性ガス消火設備同様に、電気室や美術館などの施設で設置されることが多いです。

水噴霧消火設備

水噴霧消火設備とは、水を霧状に噴霧・散水し、燃焼面を覆うことで酸素を遮断する窒息効果を使用します。また、霧状の水滴を散水することによって熱を吸収する冷却効果によって消火する消火設備です。仕組みはスプリンクラー設備と同様ですが、水噴霧消火設備は先の説明の通り、霧状の水を散水することが可能で、冷却効果と窒息効果で消火します。水噴霧消火設備はビルなどで使用されることが多いです。

ハロゲン化物消火設備

ハロゲン化物消火設備とは、消火剤の主成分である臭素化合物の化学反応によって抑制効果を生み出し負触媒効果で消火する消火設備です。長い間ハロゲン化物消火設備は消火設備として使用されてきましたが、ハロンがオゾン層破壊につながるために1994年に生産撤廃されました。ただ、高い消火性能を持つハロンはリサイクルされ、既存設備で再利用されたり、必要最小限の仕様ならば許可されています。

屋内消火栓設備

屋内消火栓設備は、初期消火を目的として屋内に設置されています。建物内の火災を人が操作することで消火する設備で、水源、加圧式送水装置(消火ポンプ)、配管・弁類及び非常用電源などで構成された消火設備です。屋内消火栓には、豊水圧力、放水量及び操作性、対象設置物によって、1号消火栓、易操作性1号消火栓、2号消火栓、広範囲型2号消火栓と区分されています。例えば、1号消火栓は、①ポンプの起動ボタンを押して②ホースを伸ばし、③バルブを全開し消火活動を行います。ホースを使用し、消火活動をする人、パルプを開ける人で2人必要なのが特徴です。それぞれは以下のような違いを持っています。

形態1号消火栓易操作性1号消火栓2号消火栓広範囲型2号消火栓
操作人数2人1人1人1人
水平距離25m以内25m以内15m以内25m以内
ポンプの起動押しボタン弁・ホース弁・ホース弁・ホース

屋外消火設備

屋外消火設備は、屋内消火設備とは対照的にその名の通りに屋外に設置する消火設備です。基本的構造などは屋内消火栓設備と同様ですが、人が操作する設備になっています。屋外消火設備の構成は、水源、加圧送水装置、消火栓起動装置、屋外消火栓、ホース格納箱、屋外消火栓箱、配管・弁、非常用電源などで構成されています。建築物が火災時に屋内消火栓設備で消火すべき段階を経た後に中期火災及び近隣建築物への火災の波及を防ぐために屋外消火設備で中期火災を防ぎます。放水加圧が0.25Mpa、放水量が350L毎分と仕様が決まっています。

連結送水管

連結送水管は高層建築物、地下街などに設置する消火設備です。連結送水管は消火活動上必要不可欠な施設の一つですし、高層建築物などでは外部からの放水による消防活動に限界があり、ホースの延長が難しいので、建物内部に配管設備と放水口を設置するものが連結送水管という消火設備です。連結送水管はこれまで見てきた消火設備とは異なり消火活動必要な施設です。

連結散水設備

連結散水管は地階の床面積が700m²以上の防火対象物の地階部分及び、延べ面積が700m²以上の地下街に設けられます。ポンプ車で加圧した消火用水を送水して散水ヘッドから散水します。

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消火設備の点検に必要な資格とは?

消火設備の点検には消防設備士、消防点検資格者の資格が必要!

消防設備には安全に稼働できるように定期的な点検・メンテナンスが必要なのです。消防設備に含まれる消火設備の点検に必要な資格は、「消防設備士(甲種・乙種)」、「消防設備点検資格者」です。それぞれの資格の取得方法は試験と講習がありますが、その仕事内容はまさに消防設備の点検です。

消火設備の点検に必要になる資格の区分と点検期間は以下の表のようになります。

消火設備の種類点検資格点検期間
甲種・乙種消防設備点検資格者機器点検総合点検
消火器・簡易消火用具第6類第1種
6カ月ごと
-
屋内消火栓設備第1類
1年ごと
スプリンクラー設備
水噴霧消火設備
泡消火設備第2類
不活性ガス消火設備第3類
ハロゲン化物消火設備
粉末消火設備
屋外消火設備第1類
動力消防ポンプ設備第1類又は第2類
パッケージ型消火設備第1類又は第2類又は第3類
パッケージ型自動消火設備第1類又は第2類又は第3類
共同住宅用スプリンクラー設備第1類
特定駐車場泡消火設備第2類

消火設備の点検は必要なので、消防設備士の資格を保有していると業務の範囲が広がったりするので、ビルメンテナンス業界ではしばしば取得が推奨されています。消防設備士の資格事態の難易度はいづれも難関というわけではないので、目指すのもありでしょう。

まとめ

以上のように消火設備とはどんな設備なのか?消火設備の種類にはどのような設備があるのかについてを紹介してきました。消火設備は身の回りの火災の危険からいち早く消火原理を活かして消火を行うので、必要不可欠な設備です。消火設備が発動できるように消火設備の点検も欠かせない要素です。