以前の記事でエネルギー管理士の熱分野の勉強方法についてを紹介しました。熱分野の勉強方法、資格概要、必須共通問題に関しては☞「エネルギー管理士・熱分野の勉強方法」をご参考ください。

エネルギー管理士電気分野はまさに電験3種と電験2種の中間くらいの難易度を誇る電験2.5種ともされる難関資格です。参考記事(電験3種とは?)

そんなエネルギー管理士電気分野を合格するにはそれなりの勉強時間と効率的な勉強方法を築くことが重要です。そこで、今回の記事では今回の記事では電気分野の勉強方法を以前と同様に合格者の声等から紹介します。

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エネルギー管理士・電気分野の勉強時間はどのくらい?

アドバンテージで勉強時間を削減

エネルギー管理士を電気分野で選択する受験生は大きく電験3種に合格、もしくはそのレベルに達しているかどうかで勉強時間が変わってくるでしょう。というのも電気分野の課目は以下に見るように電験3種の問題と被る部分があるからです。

課目
試験内容
必須基礎課目
1 エネルギー総合管理及び法規(エネルギーの使用の合理化等に関する法律及び命令、エネルギー総合管理)
選択課専門目:熱
2熱と流体の流れの基礎(熱力学の基礎、流体工学の基礎、伝熱工学の基礎)
3燃料と燃焼(燃料及び燃焼管理、燃焼計算)
4熱利用設備及びその管理(計測及び制御、熱利用設備)
選択専門課目:電気
2電気の基礎(電気及び電子理論、自動制御及び情報処理、電気計測)
3電気設備及び機器(工場配電、電気機器)
4電力応用(電動力応用、電気加熱、電気化学、照明、空気調和)

エネルギー管理士においてアドバンテージになるものは以下のようになります。

  • 電験3種、電験2種、電験1種いづれかを勉強・合格
  • 第2種電気工事士、第1種電気工事士のいづれかを勉強・合格
  • 電気工学・電子工学を大学で修める
  • 電気設備の保安業務をこなしている
  • 高校時代、数学が得意、物理が得意

などがアドバンテージとなるでしょう。この中でも特に電気分野課目Ⅱの「電気の基礎」に関しては電験3種の勉強をする際に通る道です。そうした背景があるため学習コストを最初から勉強することと比べて削減できます。

そもそもエネルギー管理士の資格自体が電験3種がベースに合って省エネの手法と知識についての検定試験のような位置づけにあるので、電験3種取得後にエネルギー管理士を目指す受験生は多くいます。さらなる発展として電験3種⇒エネルギー管理士⇒電験2種という流れで電験2種を射程に入れた受験生も多くいらっしゃるそうです。

勉強時間・計画の一例

電験3種~電験2種の電気の基礎に関する知識や応用理論を勉強しておくと、最低限の勉強時間で合格を目指せるでしょう。とはいっても仕事をしながらエネルギー管理士の資格を目指す人がほとんどなので、仕事をしながらエネルギー管理士に合格した人の勉強時間の例を挙げると、

流れ勉強時間
朝の出勤前電車内1時間
テキスト熟読
出勤から始業までコーヒー片手に
30分勉強
お昼休み30分勉強
しない日もあった
終業後カフェで1時間勉強
終業後~帰宅1時間勉強
帰宅後一日の勉強時間が4時間に満たなければ勉強。
達していればしない

のような勉強計画を立てて勉強していた方もいらっしゃいます。この方は電験3種は会社から取得を推奨されていたので取得していたようですが、一年目は勉強時間が確保できず科目合格なしで不合格となってしまいました。

二年目に上のような勉強計画を立てて勉強を進めていました。これは平日の計画ですが、休日はだらけてしまうとのことで平日に勉強時間を確保することで休日に家族との時間や趣味の時間を取るという時間をつくっていました。オンオフがきっちりとしていることが合格の秘訣だったのでしょう。

やはりエネルギー管理士は難易度が高い資格ですし、仕事がある方にとっては勉強時間の確保が大変ですので年スパンで勉強計画を練るのが良いのではないでしょうか。

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エネルギー管理士・電気分野の勉強方法

電気分野の課目は共通必須課目ⅠとⅡ~Ⅳとあります。これらのすべてで合格基準60%を取ることができれば合格となります。各科目で60%を超えると課目合格で向こう3年間その課目が免除される仕組みとなっています。

Ⅰエネルギー総合管理及び法規

この必須基礎課目の勉強方法・対策方法については前回の記事「エネルギー管理士・熱分野の勉強方法・突破方法」の記事をご参考ください。

Ⅱ電気の基礎

エネルギー管理士の電気分野の問題構成と配点は以下のようになっています。

  • 問題4:電気及び電子理論(50)
  • 問題5:自動制御及び情報処理(50)
  • 問題6:電気計測(50)

勉強方法

問題4:電気及び電子理論

エネルギー管理士の電気分野課目Ⅱの問題は電験3種の出題課目である「理論」の勉強をすることで得点の可能性を高めるでしょう。また電気計算の知識も必要になるので電気計算の演習も欠かせないです。

キルヒホッフの法則やクーロンの法則などまさに電気の基礎として抑えておくべきことをマスターしている必要があります。課目Ⅱ問題4で頻出なのは不平衡に関する問題です。これを解答するにはベクトル図と複素数計算を勉強しないといけません。

エネルギー管理士の電気分野自体の参考書はあまり多くないので電気の基礎の対策テキストとしては電験3種のものを利用するのがいいでしょう。電験3種の理論の勉強方法としてはテキストを用意しておき、無料で動画視聴をすることで理解と記憶を確かなものにできるでしょう。

とはいっても電験3種の理論は知識のベースになるので、電験3種のみの知識だけでは解答が難しく、電験2種で出題されるようなラプラス変換や複素数計算などの計算知識が必要になる問題もありますので、電験3種で基礎知識を蓄えて電験2種の出題内容を把握しておくことも重要でしょう。

問題5:自動制御及び情報処理
自動制御

自動制御については課目Ⅰの中では難しい部類にはいります。自動制御は制御信号の流れからフィードバック制御とシーケンス制御に分類されますが、いづれも範囲になってきます。また、要素と伝達関数の知識をインプットしておく必要があります。他には最終値の定理1(t)とt(t)のラプラス変換i(t)とdi/dt(t)のラプラス変換二次遅れ・一次遅れの区別などが範囲となっています。

電験2種を射程に入れている方は理論の過渡現象の対策にもつながるので十分に対策しておくといいでしょう。自動制御に関する問題はパターンが決まっている問題が多く、過去問演習によって解法を身に着けておくことが重要です。

情報処理

情報処理は他の資格でいうと基本情報技術者で出題されるようなコンピューターの仕組み等です。ネットワーク構成などの知識を問うような問題が穴埋めで出題されます。

自動制御と情報処理では、自動制御に時間を割いた方が得策です。それは情報処理の配点があまり高くないのと、情報処理の問題は何が出題されるかが読みにくいからです。対策方法としては「目指せ!エネルギー管理士 電気分野」というブログで丁寧に解説されていますし、参考書を手に取り対策するのがいいでしょう。

問題6:電気計測

こちらは語句問題と計算問題で構成されています。語句問題も計算問題も過去問から出題された内容であったりと過去問を解くことが有効な対策となっています。単純過去問暗記というわけではないですが、電験3種の基礎知識を兼ね備えた理解が重要でしょう。計算問題に関しては電圧計法などお計法の公式を頭に入れておくことが重要です。

Ⅲ電気設備及びその管理

課目Ⅲの電気設備及びその管理は以下の問題と配点で構成されています。

  • 問題7,8:工場配電(50,50)
  • 問題9,10:電気機器(50,50)

こちらの課目Ⅲ全体に言えることですが、電験3種の電力と機械の問題と重なる部分がたくさんありますし、計算問題についても電験3種と似た問題となっています。

問題7,8:工場配電

工場配電の問題は工場配電を実際に仕事で行っている方ならば聞きなれた用語、現象の名前が出てくる問題となっています。配電線路の線路損失・電圧降下、需要率・負荷率を計算する問題は頻出です。

工場配電の対策としては、過去問とパターンが似た問題が出題されやすいことから過去問を沢山解くに越したことはないでしょう。この辺りの計算問題は電験3種の対策の範囲でもあります。

問題9,10:電気機器

電気機器の問題は電験3種の気秋の問題と非常に近いです。電気機器の問題は電験3種の勉強でカバーできる内容となっております。

頻出問題としては、特殊かご形誘導機に関する問題や、インバータによる速度制御に関する問題です。感覚的には電験3種のより少し難しい内容が問われるような問題です。電験3種の機械が得意であればこの問題は十分に得点源になるでしょう。

Ⅳ電力応用

課目Ⅳの電力応用の問題と配点は以下の用になります。

  • 必須問題11,12:電動力応用(50,50)
  • 選択問題2題選択(50,50)
    • 問題13:電気加熱
    • 問題14:電気化学
    • 問題15:照明
    • 問題16:空調調和

課目Ⅳがエネルギー管理士の試験の中では最も難易度が高い課目となっています。それはまさに応用的な問題が多く出題され電験3種で勉強した範囲では対応できないような問題が出題されるらです。

必須問題11,12

基本的には高校物理を学習しておけば理解できる問題が多く出題されます。物理が得意な方にとっては頻出である加速度・速度・距離の関係性やpu法を使用した逆風機の効率、風圧、回転速度の計算問題が解答できるでしょう。電動力応用の問題は過去問を通し、計算式にあてはめられるパターンを身に着けて解ける問題が出題されることもあります。

力学の知識、電験で勉強することのないポンプや送風機、誘導機制御の知識が必要になってきます。この辺の問題は電験の参考書ではなくエネルギー管理士の参考書で徹底して勉強することが重要でしょう。

選択問題13,14,15,16

課目Ⅳの電力応用問題は電気加熱、電気化学、照明、空調調和の4つの問題からうち2題を選択します。得点をしやすい問題を選択をするのがベストですが、電験3種の機械をしっかり勉強している方ならば電気加熱と照明を選択するのがいいでしょう。なぜなら電験3種の機械の知識が活きるからです。そうはいってもエネルギー管理士の試験ですので、電験3種で学んだこと以上の知識が問われます。

電気加熱

電気加熱、誘導加熱、内部加熱方式、レーザ加熱、電気加熱における省エネルギー対策、抵抗炉による加熱の問題が出題されます。抵抗炉による加熱の問題では計算問題が頻出ですし、全体を通して原理や特徴を問うような問題が出題されます。暗記が通じる問題が語句問題で出題されますし、計算問題についても過去問からパターンを掴むことで対策できるはずです。

電気化学

電気化学の問題では、ファラデーの法則が頻出です。ファラデーの法則は、化学反応を行わせる場合に,通じた電気量と反応生成物の量の関係を示す法則です。ファラデーの法則を理解しておくと、理解が進みます。他には電気化学システムの基礎知識、二次電池の科学反応式の問題、電気分解の応用問題等が出題されます。

照明

各種光源(白熱、ハロゲンランプ、キセノンランプ、蛍光ランプ等)の種類、特徴、発光原理、寿命の問題、照度計算、可視光線などが出題されます。照明の語句問題においては非常に細かな知識を問うような問題が出題されます。

空調調和

電気分野の空調調和問題は吸収冷凍サイクル、冷媒、湿り空気線図、などの知識をとうような語句問題、計算問題が出題されます。こちらに関してはエネルギー管理士・電気分野の参考書テキスト、過去問で対策するのがベストでしょう。空調設備の設備管理を仕事で行っている人ならば業務上必要となる知識を問うような問題が多く出題されます。

まとめ

以上エネルギー管理士・電気分野の勉強時間、勉強方法、各種課目、問題のポイントについてを紹介してきました。エネルギー管理士の電気分野は非常に電験3種で勉強したことが活きる試験です。受験者にも電験3種の資格を保持している人が多くいます。それだけ電験3種の知識をベースに試験が設計されているといえるでしょう。まさに電験2.5種といわれるだけの試験内容の難易度を誇っています。