今回の記事ではそんな電気主任技術者になるために知っておきたいことを紹介します。電気主任技術者になるために知っておきたいことの中の一つとして、電気主任技術者の国家試験の難易度はどのくらいなのかということです。敵を知って己を知るという言葉があるように資格を受験する際にはその資格の難易度を知っておくことは重要なことです。

今回の記事では電気主任技術者の難易度を電験1~3の難易度、その他電気の資格の難易度(電気工事士や電気通信主任技術者、電気工事施工管理技士)と比較した記事になります。ただ、試験内容の難易度を比較すると、有無をいわずに電気主任技術者の試験内容が難しいです。ですので、電気系の資格の難易度を試験内容ではなく、合格率で比較していきます。

電気主任技術者の難易度をしること、他の電気の資格の難易度を知ることによってこれから電気の世界で仕事をしていきたいと思う人にとってどんな順番で資格を取得していけばいいかが分かれば幸いです。

まずは、電気主任技術者の1~3種の難易度についてみていきましょう。

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電気主任技術者の難易度|1~3種

電気主任技術者試験の1種、2種、3種の合格率の推移

電気主任技術者の資格には1~3種がありますが、当然1種に上がるほど難易度は高くなっています。電気主任技術者には1種から3種がありますが、それぞれの合格率は以下のようになります。

第一種電気主任技術者試験合格率の推移

第一種電気主任技術者試験合格率の推移

第二種電気主任技術者合格率の推移

第二種電気主任技術者合格率の推移

第三種電気主任技術者合格率の推移

第三種電気主任技術者合格率の推移

電験1種の平均合格率は3.3%、電験2種の平均合格率は3.9%、電験3種の平均合格率は9.5%となっています。いずれにしても合格率10%を切るような難関資格となっています。それゆえ試験対策を入念にし、単年ではなく複数年での合格スケジュールを練るほうが合格の確率は高いのかもしれません。

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電気工事士と電気主任技術者の難易度比較|1,2種

電気工事士とは?一種と二種の違い

電気工事士は電気工作物のうち一般住宅や店舗などの一般用電気工作物を扱います。1種と2種の違いとしては以下のようになります。電気工事士の記事はこちら☛「電気工事士になるために知っておきたいこと」を参照

電気工事士には第一種電気工事士と第二種電気工事士がありますが、第二種電気工事士とは、一般住宅や店舗などの600V以下で受電する設備の工事に従事できる資格です。第一種電気工事士とは、第二種の工事範囲に加えて、最大電力500Kw未満の工場、ビルなどの工事ができる資格です。これらの業務は電気工事士法によって免状交付を受けた電気工事士にしかできない仕事ですので、その仕事は不況に強い需要の高い仕事であるといえるでしょう。

第一種電気工事士と第二種電気工事士の難易度

電気工事士の資格試験は合格率が高く、難易度は電気主任技術者の試験より低くなっています。第2種電気工事士の合格率は平均して53%、第1種電気工事士の合格率は平均して38.2%となっています。電気工事士の試験は電気系の資格の中でも入り口となるような資格試験ですので、それほど難易度が高い試験内容は出題されないようです。

電気工事士の資格は取得しておくと、ほかの試験における受験資格免除要件に該当していたりします。ですので、他のより難易度の高い試験のために電気工事士の取得を目指される方がいらっしゃいます。

年度 第2種電気工事士 第1種電気工事士
23 55.1% 49.6%
24 53.2% 29.1%
25 58.4% 41.4%
26 54.7% 29.4%
27 50.2% 40.8%
28 54.3% 37.4%
29 49.8% 40.0%

次に電気工事の施工管理を行う資格である「電気工事施工管理技士」の資格と比較してみましょう。

電気工事施工管理技士と電気主任技術者の難易度比較|1級,2級

電気工事施工管理技士とは

電気工事施工管理技士と電気主任技術者の違いとしては規定されている法律が異なるということが大きいでしょう。電気主任技術者は「電気事業法」、電気工事施工管理技士は「建設業法」によりそれぞれ定められています。

電気工事施工管理技士はこの建設業法27条に基づき、建設業法による建設業許可証をもち営業を行う事業者には電気工事施工管理技士の設置義務が定められています。電気工事施工管理技士には1級、2級が存在しています。1級と2級の違いとしては以下のようなものが挙げられます。

比較項目 1級 2級
電気工事業の選任技術者(一般建設業許可)
主任技術者
電気工事業の選任技術者(特定建設業許可)
主任技術者及び監理技術者

電気工事施工管理技士の違いについては☞の記事をご参照ください。「電気工事施工管理技士の仕事内容と年収について

電気主任術者と電気工事施工管理技士の比較

電気工事施工管理技士の試験は1級2級ともに学科試験と実地試験が存在します。両方の試験に合格して初めて電気工事施工管理技士の資格を取得できるのです。

1級電気工事施工管理の学科試験の平均合格率は48%、実地試験の平均合格率は66.9%となっています。2級電気工事施工管理技士の学科試験の平均合格率は57%、実地試験の平均合格率は59.2%となっています。電気工事施工管理技士の試験の特徴としては1級だと学科試験が難しく、実地試験のほうが難易度が低い、2級だと学科試験のが難易度が低く、実地試験だと難易度が高いという傾向にあります。

電気工事施工管理技士と電気主任技術者の難易度を比較すると、やはり電気主任技術者の試験のほうが難易度が高くなっています。

合格率 1級電気工事施工管理技士 2級電気工事施工管理技士
学科 実地 学科 実地
平成29年度 48.0% 62.5% 62.8% 39.9%
平成28年度 46.0% 69.1% 58.7% 41.6%
平成27年度 45.1% 63.4% 55.2% 40.4%
平成26年度 35.6% 63.1% 54.4% 39.0%
平成25年度 45.8% 58.4% 67.1% 44.9%
平成24年度 45.9% 62.6% 60.4% 41.6%
平成23年度 42.5% 64.6% 55.1% 47.9%
平成22年度 38.4% 66.3% 63.7% 61.8%
平成21年度 28.7% 73.1% 59.2% 71.6%
平成20年度 44.3% 61.6% 62.1% 65.5%
平成19年度 32.2% 78.1% 62.6% 71.2%
平成18年度 40.9% 60.7% 53.4% 72.9%
平成17年度 35.6% 67.8% 49.9% 83.0%
平成16年度 37.0% 74.2% 50.2% 67.4%
平成15年度 42.3% 71.7% 54.6% 77.6%
平成14年度 29.1% 73.4% 49.4% 82.1%

 

平成14年度~平成22年度合格率は、一般財団法人 地域開発研究所殿書籍より引用
平成23年度~平成28年度合格率は、一般財団法人 建設業振興基金殿サイトより引用
 

電気通信技術者と電気主任技術者の難易度比較

最後に同じ主任技術者と名の付く、電気通信技術者との比較になります。

電気通信技術者とは

事業用電気通信設備の工事、維持及び運用に関する事項を監督させるため、電気通信事業者によって選任された者である。 電気通信主任技術者は、原則として電気通信主任技術者資格者証の交付を受けた者のうちから、これを選任しなければならない(電気通信事業法第45条)。 総務省所管。昭和60年(1985年)電気通信事業法の施行と同時に制定された。

電気通信技術者は比較的新しい資格職です。ネットワークを構成するような設備において保守点検業務などをおこなう高度に専門性の高い資格職になっています。
電気通信技術者にも国家試験が存在し、この試験に合格すると電気通信技術者として以下のように資格者の証の種類に応じて仕事ができるようになります。
 
 
資格者証の種類 監督の範囲
伝送交換主任技術者資格者証

電気通信事業の用に供する伝送交換設備及びこれに附属する設備の工事、維持及び運用

線路主任技術者資格者証

電気通信事業の用に供する線路設備及びこれらに附属する設備の工事、維持及び運用

 

電気通信技術者と電気主任技術者の比較

区分 申請者(人) 受験者(人) 合格者(人) 合格率(%)
平成16年度第1回 5,136 4,079 905 22.2
平成16年度第2回 4,458 3,479 634 18.2
平成17年度第1回 3,298 2,672 549 20.5
平成17年度第2回 3,757 2,959 600 20.3
平成18年度第1回 2,925 2,355 226 9.6
平成18年度第2回 3,232 2,501 582 23.3
平成19年度第1回 2,776 2,271 487 21.4
平成19年度第2回 3,703 2,962 665 22.5
平成20年度第1回 3,452 2,872 611 21.3
平成20年度第2回 4,204 3,450 625 18.1
平成21年度第1回 4,078 3,474 804 23.1
平成21年度第2回 4,764 3,998 718 18
平成22年度第1回 4,374 3,687 629 17.1
平成22年度第2回 4,958 3,997 821 20.5
制度開始よりの累計 申請者386,964人 受験者292,672人 合格者61,395人 合格率21.0%

日本データ通信協会より引用

電気通信技術者の合格率は21%となっています。電気主任技術者のほうが難易度の高い試験ですが、今後電気主任技術者は政治面での変化や技術の革新に従い難易度が変わってくる可能性があります。ですが、現状では電気通信技術者より、電気主任技術者のほうが難易度が高い試験となっています。

 

まとめ

直近の電気系資格難易度比較表

電気主任技術者 電気工事士 電気工事施工管理技士 電気通信技術者
1種:4.2%
2種:6.1%
3種:8.5%
1種:38.2%
2種:53.7%
1級:53%
2級:58%
21%

やはり電気系の資格の中でも電気主任技術者の試験は最も難易度が高い資格試験となっているようです。電気主任技術者の試験に合格することは電験何種であっても名誉ある資格職であるといえるでしょう。経済産業省の報告資料にあるように、電気主任技術者、特に電験2種の需要は増加していく見込みがたっています。それに比べ、電験2種は合格率の低さから電験2種の供給が不足していくようです。

電気主任技術者は難易度の高い試験ですが、その分求人募集での引き合いが強かったり年収も向上したり、取得の際の資格手当があったりとメリットが大きいです。

ですので、電気主任技術者を目指すことには損はないでしょう。