1級電気工事施工管理技士と2級では難易度が違うことはもちろんのこと、仕事内容にも違いが出ます。

前回の記事で2級電気工事施工管理技士の資格情報をお届けしましたが、今回の記事では1級電気工事施工管理技士の資格情報をお届けします。

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1級電気工事施工管理技士とは?どんな資格?

電気工事施工管理技士というのは、建設業法により規定される国家資格です。建設業法のなかでも、建設業法第27条により規定された資格なのです。建設業法に基づいて建設業を営もうとする場合には、営業所毎に選任の技術者を置かなければならないという規定があります。

このような規定がある以上、電気工事施工管理技士の資格というのは尽きないニーズがあります。ですので電気工事施工管理技士の資格は1級2級問わずに人気の高い資格となっています。ただ、建設業界ではただ資格があるだけではだめで、必ず「実務経験」が求められます。実務経験は就職の際だけでなく資格を取得する際の受験資格にも実務経験が必要なのです。

今回の記事では電気工事施工管理技士を受験するにあたっての条件となる「受験資格」、「実務経験」についてを紹介します。

1級電気工事施工管理技士の受験資格

1級電気工事施工管理技士の学科試験の受験資格

1級電気工事施工管理技士受験資格:出典:

1級電気工事施工管理技士受験資格:出典:施工管理技術検定

上記イ、ロ、ハ、ニ、ホのうちいずれかを満たしていれば1級電気工事施工管理技士受験資格を満たします。学歴+実務経験年数で1級電気工事施工管理技士を受験することができるのです。

上記の受験資格を取得していれば2級電気工事施工管理技士の資格を取得していなくてもいきなり1級電気工事施工管理技士を受験できますので、電気系の学校を卒業し、数年の実務経験がある人は1級電気工事施工管理技士からチャレンジすることができます。

指定学科、指定学科とは?

1級電気工事施工管理技士の受験資格で定められた「指定学科」というのは大まかなくくりでいうと国土交通省令で指定された「理系」の学科です。この指定学科に当てはまるものは☞の建設業振興基金で確認できます。大学でいう工学部や理工学部などが該当します。「指定学科以外」というのはその逆で法学部や文学部などの「文系」の学部学科が該当します。

1級電気工事施工管理技士の実地試験受験資格

区分内容
(1)当年度学科試験合格者および前年度の学科試験合格者
(2)技術士法による技術士の第二次試験のうちで技術部門を電気電子部門、建設部門又は総合技術監理部門(選択科目が電気電子部門又は建設部門)に合格した者で、なおかつ1級電気工事施工管理技術検定学科試験の受検資格を有する者

(1)(2)のいづれかに該当していれば1級電気工事施工管理技士の実地試験受験資格を取得することができます。(1)の要件に関しては学科試験合格が要件になることは明白なことですが、(2)の要件に関しては学科試験を合格していなくてもよいということでハードルが低いようにも見受けられます。

この(2)で登場する技術士の第二次試験というのは公益社団法人日本技術士会が運営する技術士の素養の試験です。詳しくはこちら

では、1級電気工事施工管理技士の受験資格である「実務経験」とはいったい何を指すのでしょうか。

1級電気工事施工管理技士の実務経験とは❓

1級電気工事施工管理技士で求められる実務経験というのは「電気工事の施工に直接的に関わる技術上の全ての職務経験」と定義されています。具体的には以下のような実務経験を指します。

区分内容
受注者(請負人)として施工を管理(工程管理、安全管理を含む)をした経験
設計者等による工事監理の経験(補助者としての経験も含む)
発注者側における現場監督技術者等としての経験(補助者も含む)

なお、この実務経験は連続している必要はなく、実務経験年数は合算のものとなります。実務経験に該当するには☝のような役割を担っている必要があり、なんらかの「工事」を行っている必要があるのです。どんな工事が1級電気工事施工管理技士の実務経験として認められるかというと、以下のような工事が該当します。

1級電気工事施工管理技士の実務経験の実務経験として認められる工事とは?

工事種別主な工事内容
構内電気設備工事受変電設備工事、自家発電設備工事、動力電源工事、
計装工事、航空灯設備工事、避雷針工事、
「○○電気設備工事」等
発電設備工事発電設備工事、発電機の据付後の試運転、調整等
変電設備工事変電設備工事、変電設備の据付後の試運転、調整など
送配電線工事架空送電線工事、架線工事、地中送電線工事、
電力ケーブル布設・接続工事等
引込線工事引込線工事等
照明設備工事屋内照明設備工事、街路灯工事、道路照明工事等
信号設備工事交通信号工事、交通情報・制御・表示装置工事等
電車線工事(鉄道に伴う)変電所工事、発電機工事、き電線工事、
電車線工事、鉄道信号・制御装置工事、鉄道用高圧線工事等
ネオン装置工事ネオン装置工事等

このような工事種別が1級電気工事施工管理技士の実務絵経験として認められます。なお、これらの工事種別の増改設工事も含まれるようです。これらの工事種別で「請負の立場での現場管理業務」、「設計者の立場での工事監理業務」、「発注者の立場での工事監理業務」を行っていると1級電気工事施工管理技士の実務経験として認定されます。

基本的にこれらの工事以外を実務経験として認めることはありませんが、まれに申込書に消防設備工事経験等を記載する方がいます。☝の表の工事以外は実務経験として認められないので、自分が従事した工事の確認が必要です。こちらで該当外の工事を確認できます。

1級電気工事施工管理技士を受験するには、このような工事での実務経験が求められるのです。1級電気工事施工管理技士の実地試験では「施工管理経験記述」という問題があります。実務経験の内容(工程管理、品質管理、安全管理等)が反映されやすい試験となっているので、しっかりと実務経験を把握しておく必要があるでしょう。

では、1級電気工事施工管理技士の受験資格のような実務経験を積むには?

そもそもの前提となる一級電気工事施工管理技士の実務経験ですが、実務経験を積む場所がないと受験資格が認められません。

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そうしたときに該当工事経験がないが受験を考えている人にとってどのようにして1級電気工事施工管理技士の実務経験を積むのかというと、「求人サイト」「紹介エージェント」を使用し、就職や転職活動をすることが挙げられるかと思われます。

電気工事は工事規模や設備の電圧により資格が必要かどうかが変わりますが、資格はなくても携わることができる工事もあります。

特に「設計者の立場での工事監理業務」でしたら資格は必要ありません。電気設計には資格は必要ありません。

1級電気工事施工管理技士の受験資格には基本的には実務経験が必要なことがわかりましたが、実は受験資格として実務経験なしでも受験できる場合があるのです。次にそれについてみていきましょう。

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1級電気工事施工管理技士を実務経験なしで受験する方法

1級電気工事施工管理技士の受験資格を☝で紹介してきましたが、受験資格に実務経験が必要なことがわかりました。しかし、受験資格区分の中に実務経験なしで受験できるものがあります。それは☟のように「第1種電気工事士」免状を保有していることです。第1種電気工事士の免状を持っていると、実務経験なしで受験することができるのです。

第一種電気工事士の受験資格で、実務経験なしで受験することも可能

第一種電気工事士の受験資格で、実務経験なしで受験することも可能

第1種電気工事士の試験がどういう試験かについては☞の記事をご参考ください「2分でわかる第1種電気工事士の資格情報」。

ただ、この1級電気工事施工管理技士の受験者の約8割は建設業(電気)従事者ですので、実務経験をもって受験することがほとんどかと推測できます。実務経験なしで受験する場合は、自分の実務経験が受験資格に該当するか不安でなおかつ第1種電気工事士の免状を持っている場合でしょう。

1級電気工事施工管理技士の受験日等

受験料、試験場、試験日、申込期間

受験料 学科試験:11,800円
実地試験:11,800円
試験場 札幌・仙台・東京・新潟・名古屋・大阪・広島・高松・福岡・沖縄(増設あり)
試験日

学科試験:6月中旬(今年度はH30.6月10日)
実地試験:10月中旬(今年度はH30.10月14日)

申込期間 書面申込、インターネット申込:2月初週~中旬(今年度はH30.2月2~2月16日)

1級電気工事施工管理技士に合格するには最短でも丸1年必要になります。2月に申込が始まり、6月に学科試験を受験します。学科試験の合格発表は7月に行われ、10月に実地試験が行われます。実地試験の合格発表は翌年の2月になっています。ですので、本当に丸々一年間をかけて1級電気工事施工管理技士の資格に挑戦します。

丸一年間かけて1級電気工事施工管理技士の資格を取得しますから、1級電気工事施工管理技士の資格は対策をしっかりと立てて1年間の成果を発揮しなければなりません。

1級電気工事施工管理技士の試験科目

学科試験

午前の部
  • 電気工学(電気工学、電気設備、関連分野(建築、土木)
午後の部
  • 関連分野(設計・契約))
  • 施工管理法(工事施工、施工計画、工程管理、品質管理、安全管理)
  • 法規(建設業法、電気事業法、建築基準法、消防法、労働安全衛生法、労働基準法、その他関連法規)

試験科目を見ると非常に幅広い試験科目ですが、どれも実際の施工現場で必要になる基礎的な知識になりますので網羅的に十分な対策を練る必要があるでしょう。

実地試験

施工管理法に関する記述試験

施工管理経験を正しく記述できていないとその時点で合格の望みが薄れてしまう可能性があるので、実地試験に関しては十分な対策を練る必要性があります。

1級電気工事施工管理技士の合格率

1級電気工事施工管理技士の合格率の推移

1級電気工事施工管理技士の合格率の推移

1級電気工事施工管理技士の合格率は学科試験ではこれまでの平均値で39.8%、実地試験ではこれまでの平均値で66.9%となっています。学科試験を乗り越えると合格の可能性が高まるでしょう。

前年度での合格率は、学科試験で48.0%、実地試験では62.5%となりました。ここ3年ほどは安定的に合格率が推移しています。

2級電気工事施工管理技士の合格率は、前年度学科試験で62.8%、実地試験で40.0%となっていますので、学科試験だけを切り取れば1級のほうが難易度が高く、実地試験では1級のほうが合格しやすいという傾向があります。

 

1級電気工事施工管理技士の勉強法

合格率でみても学科試験のほうが難易度が高いですし、学科試験に合格しなければ実地試験を受けられないので、丸一年をかけて受験する以上は学科試験対策が先決です。

1級電気工事施工管理技士に限らず、施工管理の資格対策として一般財団法人地域開発研究所の受験講習会に参加することが合格の可能性を高めるでしょう。

一般財団法人地域開発研究所

一般財団法人地域研究所は、建築工事に従事する技術者の養成と技術力の向上を支援しています。一般財団法人地域研究所のサイトでは施工管理技士を目指す方へ受験講習会の開催申込み、参考図書の販売を行っています。

このような電気工事施工管理技士の講習会は何社か行っていますが、それぞれの講習会に良さがありますので実際に説明会に足を運び比較検討することで、自分に合った講習会を選択することが重要です。

この試験自体は、「電気」と名がついていますが、施工管理の試験なので、「施工方法」や「法規」の試験は受験者の中にも特に大事だということがあります。実際に配点的にもこのに科目は比率が高いですし、この2科目から対策を着手することはおすすめです。

実際の学科試験の試験問題をみると、12問が施工方法の科目で必須問題として出題されています。ですので、施工方法の対策を十分にすることで合格の可能性を高められるでしょう。施工方法の対策はのちの実地試験対策にもつながりますので、なおさら重要です。

 

1級電気工事施工管理技士を取得するメリット

1級電気工事施工管理技士を取得するメリットは2級とも似通うのですが、個人のキャリアアップにつながります。どういうことかというと、施工管理の資格である電気工事施工管理技士を取得しているだけで応募が可能な求人が格段に広がります。電気工事施工管理技士は工事現場における設置義務があるのでニーズは尽きないです。それゆえ電気工事施工管理技士は引く手あまたな資格職といえるでしょう。

1級電気工事施工管理技士の中には工事規模の大きいゼネコン、スーパーゼネコンでの就職活動を成功される方もいらっしゃいます。

年収に関しても上げることが可能になりますので、1級電気工事施工管理技士の資格を取得することはメリットだらけといえるでしょう。デメリットとしてしいていうならば、大変ということでしょうか。笑