電気工事の仕事を行なっている中で、ある程度年数をこなすと独立を考えるひとも多いのではないでしょうか?
「給料をあげたい」や「自由に時間を組みたい」など独立には様々な理由があります。
果たして独立によって年収は上がるのでしょうか?
独立することによって大きく変わることを紹介、解説していきたいと思います。
独立で変化すること
1-1 時間の自由度が上がる
1人でやるため、やはり最終的には自分の好きなようにスケジュールを組むことができます。
自分で、全て仕事を選ぶことになります。働くことよりも、プライベートの時間に重きを置きたいと考えているのなら、仕事の量を抑えることもできます。
しかし、独立して初めの時期はとても多忙です。
後述しますが、道具を揃えたり、役所に届けるものがあったり、慣れていない業務を行う必要があるからです。
また、独立をした皆さんは口を揃えて、営業が1番大変だと言います。
独立前までは、会社が請けた工事を行います。
しかし、独立後は、ただ待っていても仕事は舞い込んできません。自分の力で仕事を取ってこなければならないのです。
この営業は独立してから初めて経験をする人が多いので、苦労する人がとても多いです。
初期設備を整えて、営業をして仕事をもらい、納期までに丁寧に工事を行い、人脈と信頼をある程度築いたら、自分で好きなように仕事の量と時間を調整できるでしょう。
1-2 年収は自分次第
結論から言うと、独立後は”その人次第“で年収は大きく変わります。
人によっては年収600万円〜700万円など稼ぐ人もいれば、会社員時代より年収が落ちてしまう人もいます。
皆さんご存知の通り、基本的に会社員の時と比べて一つの案件から給料として貰える額は、上がります。しかし、仕事を取ってこれなければ、それも意味がありません。
先ほども言った通り、独立後で1番大切なのは営業です。
仕事をたくさんもらうために、低単価で受注をもらい続けても、働く時間が減るだけで、会社員時代と年収はあまり変わりません。
やはり、年収においても、安定した「仕事量」を、安定した「単価」で貰える営業力が大事です。
1-3 道具の購入
独立したら、今まで会社が当たり前のように用意してくれていた「工事道具」も揃えなくてはいけません。
前にいた会社から借りることもできるかもしれませんが、いつかは自分で買うことになるでしょう。
使い続けたら、必ず故障する消耗品でもあるので、定期的に費用がかかる部分でもあります。
①車を購入または、リースする
まず、独立開業で最も費用が掛かるのは車です。電気工事の請負いをするなら軽バン位は必要です。新車、中古車、カーリースの選択があります。
家に駐車場がない場合は、新しい駐車場を借りなければなりません。
また、車は車検など維持費がかかるため、もっとも費用がかかるものです。
②道具置き場(倉庫)の確保
工事に使用する大小様々な道具を保管する場所が必要になります。
戸建てに住んでいる方は、道具を置くスペースがあるかもしれませんが、そのほかの方は、倉庫を借りるか、コンテナを借りるなどして対応する必要があります。
③工事道具を揃える
何よりも大事な「工事道具」です。
脚立、充電ドリル、バンドソー、掃除機、圧着器など工事内容により異なりますが、数万円かかるものばかりです。
独立を意識したら少しずつ揃えておいた方が良いかも知れません。
せっかくの自分専用の道具なので少しお金をかけてもいいではないでしょうか。
1-4「営業」を行う
何度も言うようですが、独立した後に最も大切で大変なのが営業です。
これを自分の力で行うことが、1番の変化でしょう。
経験者の中で
「電気工事業をして1年半になります。得意先は、1件だけです。得意先を増やすために営業をしようと思いますがイマイチどうしていいか分かりません。」
という声も見かけるほど、やはり独立した人にとって営業は大変なものであると言えます。
なので「コミュニケーション能力」や「継続的に営業を続けられる根気」は独立を考えている人に求められる能力であると言えます。
1-5 経理などの業務を行う
独立した後は、様々な書類作成や手続きをする必要があります。
各種書類の作成や管理、 国・都道府県向けの届け出書類や税金対応、入金・出勤に関連する記録や書類作成などの経理業務といったようなものになります。これも自分で対応しなければなりません。
独立の資金・手続き
2-1 独立にかかる資金
独立に関する資金も、結論から言うと”その人次第”になります。
人によって、工具を全て買わなければならない人、買う必要がない人がいます。
また、移動用の車を、新車で買う人もいれば、カーリースを利用する人もいます。
そのため、主にかかる初期費用と内訳を紹介します。
・物件費
電気工事士として開業するときには事務所が必要です。
賃貸だと、月々の支払いなども継続的にあります。
・内装工事費
飲食店と違い、水回りの大きな工事が必要ないので費用は抑えられます。
物件の大きさなどにもよりますが70万ほどで見積もってると良いでしょう。
・電気工事の道具
仕事をするにあたって1番必要な「工具の購入」です。
先ほども説明した通り、人によって前にいた会社から借りられる人もいれば、全て自分で揃えなければいけない人もいます。
使う工具を全て揃えるためには、150万円ほどを見積もっておきましょう。
・車両費
先ほども説明した通り、独立した後には車が必要になります。
新車を購入する方、中古車を購入する方、カーリースする方など、人によって車両費は大きく変わります。
・事務用品
電気工事士の会社として経営をする場合には、筆記用具やパソコンなどの事務用品をそろえておく必要があります。
仕入先によっても異なりますが80万円を見込んでおきましょう。
独立するにあたって、かかる費用は人様々ですが、法人として電気工事士としての開業をした場合に受けられる公的な助成金である「受給資格者創業支援助成金」の需給条件は、「事業資金が口座に500万円以上あること」となっています。
そのため、500万円以上ためておくことが無難であると言えます。
2-2 手続きについて
電気工事士として、独立して事務所を開いて開業するための条件を説明します。
皆さんご存知の通り、独立開業は電気工事士の免許を持っているだけでできるわけではありません。
いくつかの条件をクリアする必要があります。
まず第1の条件は、「第2種電気工事士の資格を取得し、免許交付後に3年以上の実務経験を積むこと」です。
独立開業する場合には勤務していた会社から勤務記録の証明書を発行してもらう必要があります。
そして2つ目の条件は「登録電気工事業者として県知事登録申請をする」ということです。
営業所を設置する都道府県の数などによって、提出先が異なりますが、まずはじめは、1つの都道府県内にのみ営業所を設ける場合は、各都道府県知事の電気担当窓口に対して行うことを覚えておきましょう。
登録は5年が有効期限なので、5年ごとに更新手続きを行うことになります。
失敗する人ももちろんいる
世の中には、独立をして年収1,000万円を超える人もいらっしゃいます。
しかし、失敗して破産してしまう方も、もちろんいらっしゃいます。
独立は責任を今まで以上に伴うことでもあります。
「夜に大きい取引先のエアコンが営業中に故障を起こしたが、私は寝ていて、電話にも気付かず、駆けつけられなかった。取引先の不信を募らせてしまい、その業界では大きな会社であった為に他の取引先にも契約を切られてしまい、会社を畳むざるを得なくなった」
という独立経験者の声もあります。
会社員時代は他の人がカバーしていてくれた部分も、自分で対応しなければなりません。
独立への強い意思と責任感が大切です。
まとめ
電気工事士の独立にあたって、独立前と変化することや準備に関することを紹介しました。
独立を考えている理由は、人それぞれあると思います。
「高い技術を持っていても、会社に属していると貰える額に上限があるため、もっと稼ぎたい」という理由や、「子供ができて、子育てなど家族との時間を増やすために、スケジュールに幅をきかせたい」などの理由があります。
しかし、このコラムを読んで、「独立ってやっぱり大変だな」と感じた方も多いのではないのでしょうか?
ここで「独立はやっぱり難しいけど給料はあげたいな…。」「自分の時間をもう少し持てるようになりたいな…。」という方もいらっしゃると思います。
そのような方は転職をオススメします。
同じ仕事内容でも会社によって、給料の上限幅は変わります。
そして、自分のことを今の職場よりさらに評価してくれる会社は必ずあります。
自分の希望に沿った形で働くことのできる会社も必ず見つかるでしょう。
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