近年電験2種=第2種電気主任技術者の企業側からの需要は高まっています。理由としては、太陽光発電などの再生可能エネルギー分野が盛んになるにつれて発電所の設備の保守運用をする電験2種に対する期待が高まっているからです。
この記事では電験2種の業務特性(1、3種でできないこと)を紹介するとともに、どうやったら電験2種は取得できるのかを解説します。
電験2種の仕事内容
電験2種は電験1、3種と違って何ができるのでしょうか。
電気主任技術者には第1種、2種、3種と区分されており、その免状の区分によって以下のように電気工作物について選任を受ける範囲に制約があり、主に電気主任技術者はその範囲において選任を受け、電気的設備の工事、維持及び運用に関する保安監督を行います。
設備の安全を守る仕事であるといえるでしょう。
電験1,2,3種の仕事内容の違い
資格 | 対象設備 | 対応可能設備 | 配置業務規定 | 有資格者数 |
電験1種 | 事業用電気工作物 | 全て | 約9,000人 | |
電験2種 | ・発電所 ・受電設備 |
17万V未満5万V以上 | 電気事業法 | 約34,000人 |
電験3種 | ・送配電線設備 |
5万V未満かつ5,000kW未満
|
約230,000人 |
事業用電気工作物とは、電気工作物のうちの一般用電気工作物以外のことを指し、一般用電気工作物とは主に一般住宅や小規模な店舗、事業所などのように、他者から低圧(600 ボルト以下)の電圧で受電している場所等の電気工作物をいいます。
電気工作物 | ||
事業用電気工作物 | 一般用電気工作物 | |
事業の用に供する電気工作物 | 自家用電気工作物 |
電験2種の扱う電気設備である電圧5万ボルトの事業用電気工作物とは具体的にどのような設備なのでしょうか?
電圧5万V以上の事業用工作物代表例
電験3種の資格が活きる現場の代表例ですと、ビルや公共施設、商業施設等での業務があげられますが、
電験2種で取り扱うことができる5万V以上の事業用電気工作物といえばプラント関係の設備や、大規模発電所などかなり幅が広がります。
1⃣化学プラント
2⃣メガソーラー
3⃣データセンター
4⃣大型商業施設
電験2種で活躍できる施設は他には大型商業施設や大規模データセンターなどがあります。
この記事で実際にメガソーラーで働く人のインタビューが載っています。→[電気主任技術者]実務未経験でも転職成功し天職へ
上でみたような大型の施設は年々増えてきていますし、オリンピックもあります。ますます電験2種に対する需要は高まりそうな予感です。
需要は高いものの供給面ではいささかギャップがあるようです。いわゆる需給ギャップです。
電験2種の需給ギャップ~電験2種の不足~
電験2種の有資格者数はおよそ34,000人と言われており、年々高齢化とともに資格保有者の数は減少傾向にある中、再生可能発電エネルギー設備は平均年成長率1%で増加しているため、各企業が求めるような有資格者人材は不足していく傾向にあります。
最近では再エネ発電設備以外にも、様々な用途で用いられる化学プラントや大規模生産工場設備、商業施設等電験2種を必要とする案件は増加傾向にあると言えますので、電験2種の需要は年々上がっていくことは間違いないでしょう。高齢化の面も考慮すると、若い方なんかは特に重宝されるでしょう。
やはり電験2種は今後特に発電所を運営する企業からすると重宝されるのは間違いなさそうです。このようなマクロ状況もあってか、年々電験2種の資格を取ろうとする技術者や学生が増えてきているようです。
では、どのようにして電験2種を取得するのでしょうか。
電験2種の取得方法
そんな電験2種を取得するには、主に試験と実務経験による認定の2つの方法があります。
電験二種の合格点の推移や予想が知りたい方はこちらをチェック!
電気主任技術者試験
まず1つ目の試験ですが、一般財団法人電気技術者試験センターが電気主任技術者試験を全国で年に1度実施しており、各区分に応じた試験に合格することで電気主任技術者免状を取得することができます。
(更新:令和2年10月)
電験3種の合格率は8%とかなり低めの数値でしたが一次試験受験者の電験2種の合格率は約4%とさらに低く、その難易度が伺えます。
科目合格制度で、不合格でも一部科目合格していればOK
電験3種の試験と違うところは一次試験の結果は理論、電力、機械、法規の4科目ごとに合否が決まり、各科目すべてに合格すれば電験2種試験の一次試験に合格となります。一部の科目のみ合格した場合には科目合格となって、翌年度及び翌々年度の試験では申請によりその科目の試験が免除されます。つまり、3年間で4科目それぞれの試験に合格すれば二次試験の受験資格を得ることができます。
なお、この制度は一次試験だけで二次試験には科目別合格の制度はありませんが、一次試験に合格した年度の二次試験に不合格となった場合は、翌年度の一次試験が免除されます。
ですので、ただ試験の難易度が高いと言ってもチャンスの数も多いわけです。
ちなみにですが、電験2種と電験3種は試験日が別なので併願で受験することも可能です!
ですので、電験3種を受験しつつ、一次試験の科目合格も見込めるわけです!
実務経験による認定申請
電気主任技術者免状を取得するもう一つの方法が認定申請なるものです。
この方法で資格を取得したとしても、その資格自体に違いは全くありません。唯一上げるとすれば資格番号の表記が多少変わるということくらいです。
ではどのような条件をクリアすれば上記の通りかなりの難関資格電験2種の資格を取得することができるのでしょうか?
条件①学歴
- 学校教育法による大学若しくはこれと同等以上の教育施設であって、経済産業大臣の認定を受けたものの電気工学に関する学科において、第7条第1項各号の科目を修めて卒業した者
- 学校教育法による短期大学若しくは高等専門学校又はこれらと同等以上の教育施設であって、経済産業大臣の認定を受けたものの電気工学に関する学科において、第7条第1項各号の科目を修めて卒業した者
- 2に掲げる者以外の者であって第3種電気主任技術者免状の交付を受けている者
条件②実務経験の範囲
電圧1万ボルト以上の電気工作物の工事、維持又は運用の実務経験を必要とし、学歴取得の場合は卒業前の経験年数の2分の1と卒業後の経験年数との和が上記1の場合は3年・上記2の場合は5年以上の、第3種電気主任技術者免状による取得は交付を受けた後5年以上実務経験を必要とする。
実務経験として認められる職種は次のとおりです。
(1)1万V以上の電気工作物(一般用電気工作物を除く)である発電設備(除:ダム、水路設備)、変電設備、送電設備、配電設備、給電・遠隔制御等の設備(除:電力保安通信設備)、需要設備に関する次の①②③の業務及びこれらの業務を監督指導する業務。
①工事
ア)新設、増設、改造、取り換え等の工事における電気設備、各種電気機械器具、付帯設備の設計(除 基礎工事) イ)機器・材料の据え付け、組立工事(除 土木工事、製造工場での材料加工・組立・調整) ウ)配線工事 エ)機器調整及び性能検査
②維持
巡視点検、定期点検、修理、試験、測定などの設備の機能を維持するための保守管理業務等。
③運用
設備を安定的、経済的に運転するための業務
ア)運転状態の監視 イ)周波数及び電圧・電流の調整 ウ)電力需給の調整 エ)系統の変更 オ)事故の復旧等における運転、切り換え操作、給電指令、運用(事故の原因究明、報告等)
(2)上記(1)に直接関係し、現場に常駐または定期的に出向く必要がある次の業務又は保安管理的業務(工事計画の認可申請書等の作成、電気事故防止対策業務等)
以上の実務を証明する際に提出が必要な実務経験証明書の職務内容には主に
項目 | 内容 |
1⃣概要 | いつから、誰のもとで、何に基づき、どのような場所で、電気工作物で、、、 |
2⃣業務の実施方法 | 組織図や勤務体制 |
3⃣維持・運尿に関する日常業務 | 自社で行った業務の詳細 |
4⃣維持・運用に関する定期業務 | 自社で行ったのか、請負業者に依頼したのか |
5⃣維持・運用に関する不定期業務 | 機器の事故処理や特別巡視業務について |
の5つで構成され、その事業所の任命権者(ただし、その事業場が法人組織の場合は代表者)を証明人とし、証明印はその公印としなければなりません。会社の場合は取締役社長又は代表取締役、官庁の場合は任命権を委譲されている局長、県営の事業場については県知事などを証明人とします。
まとめ
電験2種を取得することで、扱うことのできる事業用電気工作物の範囲が広がり、資格を活かした現場や役割を担うことが可能になります。つまり、自分の求める経験ができるようになったり、条件面が良くなる可能性がうんと広がると言えるでしょう。
先述の通り、これからの日本では高齢化が進むにつれこの業界の年齢層も段々と高くなっています。そのような状況と現在の自分を照らし合わせ、電験2種をどのように取得するべきなのか、どのような現場で経験を積むことが重要なのか、改めて考えてみるといいかもしれません。
20代、30代の方ですと、5年後10年後もまだまだバリバリの若手で活躍できる年齢でしょう。そのような方には是非、電験2種を早いうちに試験で取得していただきたいです!
やはり若い方ですと認定の条件にあった実務経験がなかなか積みづらいと思いますし、何より時間がかかってしまうのが一番です。
また、あまりに若い方ですと面接にて認定が降りないこともあるようです。
ですので、若い内に試験で電験2種を取得してから実務での経験をどんどん積んでいくべきですし、実務経験だけでは得られないような知識もより深く蓄積することができると思います。
そして何より、5年後10年後には先述の通り、資格保有者の減少と特高受電設備の増加による電験2種の需給ギャップや、高齢化による組織の見直しがより強化されることが見込まれるので、若いうちに電験2種を取得しておくことで将来の選択肢にかなり幅が出るかと思います。
そして、50代60代の高齢の方に関しては是非、可能である限り認定申請で電験2種を取得するような選択して頂きたいです。
というのも、やはりなんと言っても各企業の案件に対して電験2種の人材が年齢関係なく不足している傾向にあります。
最近では最エネ発電設備以外にもメーカーや化学プラントの電気設備の案件もかなり増えてきたので、幅広く電験2種の人材が求められています。中には定年を越えた方で、週3日4日の勤務で、生活に不自由のない年収をもらいながら働いている方も少なくはありません。
また、認定による資格取得にも良い点があり、実務経験をしっかり認められた上資格になるので、転職の際にはどのような経験をしてきたのかのアピールや裏付けになるという強みもあります。
こういった背景からも、年齢や自身で描いているキャリアプランから逆算してこれから取得するべき資格について是非考えてみて下さい。
とは言っても、業界の流れと絡めて自身のキャリアを判断したり、転職を考えるのはかなり難しいことだと思います。そんなときには是非キャリア支援サービスを利用し、気軽にご相談頂ければと思います。
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