会社に勤めている上で
「自分の働いている業界は、将来どうなるんだろう」
と考えたことはありませんか。
新型コロナウイルスの大流行もあり、社会はこれから大きく変わろうとしています。
では、電気工事士の仕事は一体どうなるのでしょうか。
今回は電気工事士の将来性について詳しく説明していきます。
電気工事士の現状
現在、電気工事士はどのような現状なのでしょうか。
1 日本の電気消費量の実態
近年、テクノロジーの発展に伴い、電気を使う量が年々増えています。
こちらのグラフをみてください。
日本の電力使用量が世界平均の2.5倍を超えているのです。
1965年と比べると、実に5.5倍の電力を消費しています。
また、近年では2011年の東日本大震災などの自然災害後の復興工事や、都市開発、老朽化した設備の改修工事や再生可能エネルギーの台頭など、ますます電気に対しての注目度は上がっています。
つまり、電力の消費量だけでなく、新しい電気設備の工事など、より多くの電気に関する仕事がある状態なのです。
2 電気工事士の実態
電気工事士は、全体で大きな問題を抱えています。
それは、人手不足です。
高齢者層の退職により第一種電気工事士が2020年前半に想定需要約20.4万人に対して2万人程度不足する見込みとなっています。
また、入職者の減少等により第二種電気工事士が2045年に想定需要約8.6万人に対して0.3万人程度不足する見込みです。(経済産業省の資料参照)
つまり今起こりうる事態としては、企業間で電気工事士の資格を取得している人材を確保するための競争が起こる可能性があるのです。
現在、非常に電気工事士の求人募集が多い傾向にあります。
これも企業がより優秀な人材を人手不足になる前に欲しいという傾向なのです。
2 電気工事士の将来性は?〜未来を予想する〜
では、ここから電気工事士の将来性について予想していきます。
1 人手不足
電気工事士の人手不足は確実に起こります。
高齢化が進み、労働人口が急激に減少することが予想される日本社会において、電気工事士の人手も年々減少していきます。
しかし、一方で電気設備や電気工事はほとんど減少しないのです。
都市開発や東京オリンピックの際に建設された設備の保守や災害からの復興工事、各家庭の電気使用量はほとんど変化しないということが予想されます。
労働人口は、実際には25%近く減少することが予想されているため、電気工事士も同じくらい減少した場合、多くの電気設備の会社は潰れてしまうでしょう。
つまり、それほどに各企業は、電気工事士の資格を取得している人を欲しているのです。
2 給与の増加
人手不足が起こり、各企業で、電気工事士の資格を有している人の争奪戦が起こります。
そのため、当然給与は上がります。
新型コロナウイルスの影響もあり、失業率が上昇し、景気も悪化する中で電気工事士の仕事は給与が上がるのです。
それに加えて電気工事士の仕事は、経験に応じて市場価値も上がっていくため、経験を積むほど給与が上がります。
3 職を失わない
これは、現在もそうですが、電気工事士の仕事をしている上で職を失うことはほとんどありません。
電気工事士は専門職なので、一度技術を身につけたり資格を取得することができれば、失業することはないでしょう。
家庭用電気機器や配線の修繕、変電所や発電所で使用されている変圧器などの操作から保守管理まで、電気工事士の仕事は多岐に渡ります。
電気自体は、社会にとって重要なインフラであるため、電気の需要がなくなることはないでしょう。
電気工事士の資格をとり、技術を経験を積み、キャリアを積み重ねていくことで、より優秀な電気工事士として成長していきましょう。
4 電気業界全体の成長に伴う電気工事士の仕事の増加
最近、電気業界は拡大の一途を辿っています。それはなぜでしょうか。
そうです。ITです。
最近5GやIoT、AIやブロックチェーンなどのシステム系や、パソコンやタブレット、スマートフォンなどのハードウェア系などの多くのIT技術が使われていますね。
さらに追い討ちをかけるように新型コロナウイルスの影響もあり、多くの企業でリモートシステムや、多くの学校でタブレット等のハードウェアを導入し始めるなど、IT技術の進歩は加速し続けています。
これまで使わなかった場所にIT技術が使われることで、より多くの電気が必要になります。
さらに冒頭でも触れましたが、再生エネルギーも近年注目されています。
東日本大震災での原子力発電に対しての懸念や、日本の大部分の電気を担う火力発電の環境に対しての問題意識などから、太陽光発電や風力発電などが、近年非常に注目を浴びているのです。
それにより、電気工事士の仕事は増加すると考えられています。
人口の減少や省エネの影響で電気の使用量が減少すると思われがちですが、実はそんなことはないのです。
それぞれの電気工事士の仕事の将来性はどうなのか
では具体的に電気工事士は、どんな仕事があり、将来どうなるのでしょうか。
建設現場
建設現場には建設と解体の二種類があります。
建設時には主にコンセントなどの配線作業があり、解体時には電気機器の取り外しの作業があります。
どちらも電気工事士の資格所有者が必須の作業になります。
ビルメンテナンス
主に電気設備の保守、維持、点検がメイン作業となります。具体的な作業場としては、オフィスビル、マンション、商業施設などです。
鉄道
主に電車に電気を供給する架線や、踏切や信号システムなどの工事、点検を行う作業になります。
もし、もし信号システムや踏切などが壊れてしまったら、日本の交通インフラは大変なことになってしまいます。
それを守る非常に重要な任務に、電気工事士の仕事の知識や技術、経験が必須なのです。
情報通信
情報通信は近年で、最も新しい分野です。
通信回線やインターネット回線などの工事から、基地局内やデータセンターの仕事など多岐に渡ります。
今後もさらに注目される分野の1つです。
メーカー
主に商品を生産する分野での仕事になります。
工場の生産ラインが停止してしまうと、会社にとって大きな損害です。
そのため、主に保守部門として電気工事士の資格を所有している方が常駐することが多いです。
防犯会社
主に防犯機器を設置する仕事です。
近年、防犯意識が高まっています。そのため、個人法人共に依頼の量が増加している傾向にあります。
では、どの仕事が将来どれほど需要があるのかを表にまとめました。
こちらをご覧ください。
IT技術が進むにつれて、情報通信の分野は今後さらに伸びる分野です。
防犯システムに関しても、新型コロナウイルスの影響や延期後の東京オリンピックに向けて更に高度化が進み、今後需要が伸びると予想されます。
その他に関しても、鉄道の保全業務に関しては鉄道の数が減らない限り、規模縮小にはならないですし、建設現場に関しても、新型コロナウイルスの影響で一時的に仕事が減少してはいますが、今後回復すると思われます。
Q&A
さて、ここからは電気工事士の将来性についてのQ&Aです。
Q 電気工事士の仕事は、AIに取って代わられてしまうのか?
A AIに取って代わられてしまうことはないです。
電気設備系の事故は一歩間違えてしまうと、大事故に繋がってしまうため、いくらAIが進歩しても人の手は必要になります。
それに加えて電気工事士は国家資格であり、規定の電気量や設備を扱う場合は電気工事士の資格の免状交付が必要になります。
なので、法律上も安全上もそう簡単にAIに取って代わられてしまうことはないのです。
Q 電気工事士の需要は将来どうなるの?
A 需要の数自体はあまり変わりませんが、人手不足になることが予想されるため、電気工事士の価値自体は上がります。
人口が減るので、電気を使う量は多少減少はします。
しかし一方で、電気工事士自体の減少も深刻です。
そのため、少しでも周りより経験を積み、技術を身につけることで、より市場価値の高い人材を目指しましょう。
Q 電気工事士の仕事内容は変わるの?
A 少しずつ変化することはありますが、急に変わることはありません。
今まで、情報通信や再生可能エネルギーなど、電気を作る側、そして電気を使う側が少しずつ変化しています。
しかし、急激に仕事内容が変化するということはないです。
まとめ
今回は電気工事士の将来性の記事でした。
今回書いたことが、全てあっているとは限りません。
将来は不確かではありますが、是非参考にして、今後の電気工事士のキャリアについて考えてください。