建設業法に基づく施工管理系の資格保有者に対する市場のニーズはとても高いです。というのも業界全体で人手不足が波及しているためだとされています。
施工系の資格の中でも、転職市場において特に管工事施工管理技士免許保有者があまりいないようで、採用しにくいようなのです。施工管理系の資格の中でも、特に法人からのニーズが高いように思えるのは「管工事施工管理技士」です。今回はそんな管工事施工管理技士とはどのような資格なのか?受験の際に知っておきたい合格率についてを紹介します。
管工事施工管理技士とは?1級と2級の違いや試験科目について
管工事施工管理技士は管工事の施工者
管工事施工管理技士という資格はその名の通りに、「管工事」に関する工程管理、安全管理、品質管理などの施工管理を行うための国家資格です。管工事というのは、いくつか種類があるのですが、建設業のうちで冷暖房設備工事、空調設備工事、給排水工事、ダクト工事などの工事を指すことがあります。
管工事は建設業許可業種29種のうちの一つの指定建設業の専門工事で、金属製の管を使用することで生活に欠かすことのできない「水」「ガス」「油」等を送配するための工事なのです。このような管工事を施工するための資格こそまさに「管工事施工管理技士」なのです。
管工事施工管理技士の資格は国家試験により取得できます。試験実施団体は「一般財団法人全国研修センター」で、年に一回試験は開催されています。この試験に合格し、免許を取得することができれば、無事に管工事施工管理技士として働くことができます。
1級管工事施工管理技士と2級管工事施工管理技士の違い
そんな管工事施工管理技士の資格には、そのほかの施工管理系の資格(電気、建築等)と同様に1級と2級の区分があり、それぞれ役割が異なります。1級と2級の違いをまとめると、以下の表のようになります。
区分 | 内容 |
---|---|
1級 | 建設業法により特定建設業の営業所に置かなければならない専任の技術者や、工事現場ごとに置かなければならない主任技術者および監理技術者になることができる。監理技術者であり続けるためには更新が必要である。 |
2級 | 建設業法による一般建設業の営業所の専任技術者や、工事現場における主任技術者となることができる。 |
1級管工事施工管理技士と2級の違いは特定建設業許可と一般建設業許可の違いや、監理技術者と主任技術者の違いを知っておかないといまいちよくわからないかと思われます。それぞれの違いなどについては一般社団法人建設業技術者センターのHPにて確認できますが、簡単にいうと、1級と2級では、携わることのできる工事の規模が1級の方が大きいのと、その仕事の役割も1級の方が広いということです。
管工事施工管理技士の試験科目
学科試験
管工事施工管理技士の試験科目は1級と2級で同一の試験科目が出題されます。管工事施工管理技士の試験科目は「学科試験」と「実地試験」の二つの試験区分になっており、双方に合格しなければ管工事施工管理技士の資格試験合格とはなりません。1級の問題は2級で出題されるような問題をさらに深堀るような内容が出題されます。管工事施工管理技士の試験科目は以下のようになります。
科目 | 試験内容 |
---|---|
機械工学 | 管工事に必要な機械工学、衛生工学、電気工学及び建築学に関する一般的な知識を有していること 冷暖房、空気調和、衛生などの設備に関する一般的な知識を有すること 設計図書に関する一般的な知識を有すること |
施工管理法 | 管工事の施工計画の作成及び工程管理、品質管理、安全管理等の施工の管理方法に関する一般的な知識を有すること |
法規 | 建設工事の施工に必要な法令に関する一般的な知識を有すること |
管工事施工管理技士の学科試験の合格基準は1級・2級ともに共通で60%以上の得点で通過することができます。問題形式は四肢択一の形式で穴埋め問題から計算問題まで幅広く出題され、合計73問中60問正当以上で合格することができます。
実地試験
実地試験の問題形式は記述式の問題で、全6問で、60%以上の得点で合格となります。出題される試験内容は「工程管理」「法規」「設備」「施工経験記述」という構成になっていることがあります。「施工管理法」に関する問題では設計図書の理解と作成や資材の配置等についてをとうような問題となっています。
管工事施工管理技士の合格率:1級と2級の合格率
1級管工事施工管理技士の合格率の推移
1級管工事施工管理技士学科試験
1級管工事施工管理技士の学科試験の合格率はH22年に29%と低くなっていましたが、それ以降合格率は上昇しており、過去4年を見ると30%代となることはなくなっています。H30年の受験者数、合格者数、合格率は以下のようになります。1級管工事施工管理技士の学科試験の合格率は平均して41.9%となっています。
受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
16,473 | 5,471 | 33.2% |
先ほど30%代になることは合格率の傾向上ないかと思いきや、今年度(H30)1級管工事施工管理技士学科試験では合格率が33.2%となり、低くなっているようです。
1級管工事施工管理技士の実地試験
この合格率は、学科試験免除者、学科試験通過者合算の試験結果となっています。1級管工事施工管理技士の実地試験の合格率はほとんどの年度で50%を超えるような結果になっています。合格率の平均は57.23%となっており、合格率は学科試験ほど低くはないものの一定数は不合格となるので注意が必要です。
2級管工事施工管理技士の合格率の推移
2級管工事施工管理技士の学科試験
2級管工事施工管理技士の受験者数は1級よりも少ないですが、合格率は1級よりも高く、47%~66%と高い合格率で推移しています。2級管工事施工管理技士の学科試験の合格率の平均は55.2%となっています。平成30年度の2級管工事施工管理技士の学科のみの学科試験結果は以下のようになっています。
受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
前期 | 2,559 | 1,580 | 61.70% |
後期 | 977 | 558 | 57.10% |
平成30年度の2級管工事施工管理技士の学科試験の合格率は例年通りの試験結果となっているようです。
2級管工事施工管理技士の実地試験
2級管工事施工管理技士の実地試験の合格率は1級の合格率よりも低くなっているようです。このことは電気工事施工管理技士の試験と似たような合格率の傾向です。32.4%~45.9%といづれの年度も50%を下回る試験となっています。2級管工事施工管理技士の実地試験の合格率の平均は39.03%となっていました。
管工事施工管理技士の合格率を見ると、1級では学科試験の勉強に力を入れる必要があり、2級では実地試験により勉強の時間を割く必要があることがわかります。
まとめ
以上のように管工事施工管理技士の合格率を1級と2級、学科と実地でそれぞれみてきましたが、管工事施工管理技士の合格率は高すぎるということもなく、低すぎるということもない資格試験です。しっかりと過去問を中心に勉強していくことで合格を射程に入れることができる試験です。
別の機会に勉強時間や勉強方法など、管工事施工管理技士に合格した方の例を参考に紹介したいと思います。