電気設備の安全管理は、万が一の事故を未然に防ぐために極めて重要です。近年、再生可能エネルギー設備の普及や技術の進化に伴い、『常駐』の定義も大きく変わりつつあります。本記事では、従来の現場常駐から最新の遠隔監視技術を活用した柔軟な運用まで、電気主任技術者の常駐がどのように規定され、求人市場でどのように求められているのかを詳しく解説します。

▼転職をお考えの方はこちらもどうぞ
電気主任技術者の高年収求人情報を検索
電気業界最大級の転職・求人情報サイトで、ピッタリの求人を見つけましょう。

建職バンクのバナー

電気主任技術者の常駐とは?常駐の定義とは?

電気主任技術者の常駐の従来の定義

まず、「常駐」とは、基本的に「いつも駐在している」ことを意味します。従来は、電気主任技術者が現場に常時配置され、電気設備の保安監督業務や法定点検を実施することで、異常の早期発見・迅速な対応を行う体制が「常駐」とされてきました。

電気主任技術者の常駐の最新の定義

最新の運用では、従来の現場常駐に加え、遠隔監視技術やデジタルシステムの活用が進んでいます。これにより、必要時に「2時間以内に現場へ到達可能な体制」を整えることも常駐の一部とみなされるようになりました。

専任とは?常駐は義務?

電気事業法38条第4項で定める自家用電気工作物の設置者は、電気事業法および関連省令に基づき、電気主任技術者を常駐または外部選任の方法で選任する義務があります。選任義務はあるものの、選任の方法については例外を除き、義務はありません。なお、最新の行政指導・改正案では、外部選任の場合でも担当技術者が一定の資格(例:第三種電気主任技術者や電気工事士、認定校卒業者など)を有し、統括技術者の指揮下で2時間以内に現場へ到達可能な体制を整えることが求められています。

 

電気主任技術者の選任の形態にはいくつか種類があります。それは、「専任」、「兼任」、「兼務」というものです。電気主任技術者の専任とは、選任された事業場に常時勤務(常駐)する勤務形態です。これらの違いは以下のような表になります。

選任内容
専任選任された事業場に常時勤務し、主任技術者としての職務を行う形態
兼任既に選任されている事業場に加え、別の事業場の主任技術者の職務を行う形態
兼務既に選任されている事業場は無いが、常時勤務する事業場とは別の事業場の主任技術者として選任される形態

電気主任技術者の求人を見てみる →

電気主任技術者はどんな場所、条件で常駐の義務がある?

特別高圧、メガソーラーの設備で電気主任技術者は常駐で選任される

出展:west-group株式会社http://www.west-gr.co.jp/business/highpressure_solar/より引用

出展:west-group株式会社http://www.west-gr.co.jp/business/highpressure_solar/より引用

外部選任ができず、常駐のみとなっている場合があります。それは自家用電気工作物の電圧が22kV以上の特別高圧の場合です。特別高圧の受変電設備やメガソーラーなどでは電気主任技術者を外部選任するのではなく、常駐させる必要があるのです。特別高圧のメガソーラー等での電気保安の専任は電気主任技術者の資格の中でも第二種電気主任技術者と第一種電気主任技術者のみとなっており、第三種電気主任技術者は選任されてきました。

しかし、近年の特別高圧のメガソーラー建設件数の増加等や再生可能エネルギー設備の普及により、第三種電気主任技術者の保安監督範囲を引き上げようという動きがあるようです。従来は第一種・第二種が常駐で監督する対象でしたが、最新の制度改正案では、統括電気主任技術者の指揮下において、第三種電気主任技術者や電気工事士が一定の研修・実務経験を有する場合に監督に参加できる可能性が検討されているとのことです。

 

電圧17万V未満で連携等する再エネ設備での電気主任技術者の常駐:2時間以内の規定とは?

事業用電気工作物の例(電気事業の用に供する電気工作物)

事業用電気工作物の例(電気事業の用に供する電気工作物)

発電所や変電所、需要設備、送電線網、配電線路を管理する事業場を直接統括する事業場のことを「統括事業場」といいます。この統括事業場のうち、電圧17万V未満で連携するような太陽光発電所、風力発電所、水力発電所、これらと連系する設備では、「原則として統括事業場に電気主任技術者を常駐で選任しなければなりません」。

ここでの統括事業場の電気主任技術者の選任は第1種電気主任技術者、第2種電気主任技術者、第3種電気主任技術者の免状交付者であればいずれでも大丈夫なようです。この電気主任技術者のことを統括電気主任技術者と呼ぶそうです。統括電気主任技術者には、先ほどの常駐での選任に加えて、「被統括事業場は統括事業場から2時間以内に到達できる場所であること」、「統括電気主任技術者が病気などで勤務できないときは、事前に統括電気主任技術者と同等の知識と経験を有する代理人を確保すること」が求められています。 

統括電気主任技術者として指名された電気主任技術者は、被統括事業場に常駐して選任されるのではなく、それと2時間以内に到達できる距離にある統括事業場に常駐するのです。2時間以内の規定がどのように決定されたのかは定かではありませんが、2時間以内というのはおそらく、被統括事業場に異常が検知された際にすみやかにこれを解決することができる距離なのでしょう。

▼転職をお考えの方はこちらもどうぞ
電気主任技術者の高年収求人情報を検索
電気業界最大級の転職・求人情報サイトで、ピッタリの求人を見つけましょう。

電気主任技術者で常駐できる求人とは?

では、実際に電気主任技術者として常駐勤務を求めている求人情報がどのような職種で、どのような仕事内容なのかということを常駐で募集している電気主任技術者を対象とした求人情報から見てみます。

公共施設の設備管理における常駐の求人

社会のインフラとして公共施設はなくてはならない存在です。その公共施設にも当然電気設備が備えてあります。その公共施設の電気設備にも保守管理の必要はあり、電気主任技術者はそこでの勤務も可能です。公共施設の設備管理業務における電気主任技術者の役割は「所長」等マネジメント層での募集になっているようです。

実際の常駐を求める電気主任技術者の求人は以下のようなものがあります。

電気主任技術者の常駐求人

電気主任技術者の常駐求人

常駐の求人ではよくみられる傾向ですが、他の常駐社員の安全衛生管理業務や、マネジメントなどの幅広い仕事内容を任されることが多くあります。常駐だからこそなしえる仕事ですし、設備管理を効率的に行うためのチームマネジメントを行える場合もあります。

※掲載終了済みの求人を例として表示

ビルメンテナンスにおける電気主任技術者の常駐求人

電気主任技術者はしばしばビルメンテナンスにおいても常駐を求められることがあります。例えば以下のような求人です。

電気主任技術者常駐求人その②

電気主任技術者常駐求人その②

常駐の電気主任技術者の求人での、電気主任技術者の仕事はトータルマネジメントと幅広い仕事内容になっています。電機に関する知識や経験のみならず、ビジネス的なスキルも身につきます。

※掲載終了済みの求人を例として表示

電気主任技術者の求人情報を見てみる →

まとめ

以上のように、電気主任技術者の常駐に関する義務や定義、条件や求人などについてを紹介してきました。電気主任技術者の常駐は電気工作物の安全を確保するうえで大事なことですし、何か有事の際にはその力を発揮します。常駐だからこそできることです。また、近年推進が進んでいる太陽光発電や水力発電、風力発電での統括電気主任技術者として選任という道があります。常駐の電気主任技術者の道は広いといえます。