ビルメンテナンス業界で働く人なら「ビル管理士(建築物環境衛生管理技術者)」の資格が気になる方は多いのではないでしょうか?というのも、ビル管理士の資格はビルメン三種の神器・上位資格(他「電験3種」、「エネ管」)の一つであり、取得すると年収、給料など待遇がアップするといわれているからです。

この記事ではそんな「ビル管理士」の資格情報をお届けします。

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建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)とは?仕事内容、選任要件とは?

ビル管理士は「建築物環境衛生管理技術者」という公式名称があり、ビル管理士という呼称はその通称になります。ビル管理士は建築物衛生法という法律により定められた国家資格です。

ビル管理士は3000平方メートル(学校施設の場合は8000平方メートル)以上の施設に置くことが義務づけられた資格職です。3000平方メートル!といってもピントこないかもしれません。3000平方メートルの例としては美術館や図書館、学校などが挙げられます。3000平方メートルの建築物においてビル管理士は選任されます。

例えば、スヌーピー美術館は3000平方メートルの建物です。ですので、この施設の中にビル管理士は必ずいることになります。

ビル管理士はビル管理において、「維持管理業務の計画立案維持管理業務を実施測定・検査の実施とその評価是正措置」という工程でビルを管理しています。

どのようにしてビルを管理するかを決定する維持管理計画を立てて、実際に計画を業務として実行し、業務に対する評価を環境衛生などの観点から評価し、問題点などがあればそれらを是正するという仕事をしています。かいつまんで言うと、大きな施設の環境衛生を整え、管理するお仕事になります。

そんなビル管理士になるには二つのルートが存在しています。その1つは「国家試験」に受かること、もう1つは「講習」を受けることです。以下でそれぞれについてを説明します。ただ、国家試験を受験するためには後に説明する「受験資格」を満たす必要があります。

建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)の試験:受験資格の実務経験とは?

ビル管理士を国家試験で受ける場合は、受験資格を満たし、難しい試験に合格しなければなりません。

ビル管理士の受験資格「実務経験2年」、受験資格の実務経験とは?

区分概要
受験資格実務経験2年
受験料13,900円
試験会場札幌市、仙台市、東京都、名古屋市、大阪市 及び 福岡市
試験日10月初週の日曜日(平成30年度は10月7日(日))
合格発表日10月末(平成30年度は10月29日)
試験時間午前(9:30~12:30)、午後(13:30~16:30)の6時間

受験資格としては、環境衛生上の維持管理に関する実務として2年以上従事している必要があります。では、ここで出てくる建築物環境衛生管理技術者の実務経験はどのようなでしょうか。

建築物環境衛生管理技術者の受験資格で、何が実務経験に該当するのかというと、建築物の用途によって環境衛生上の維持官営業務を行ってきた経験のことを指します。この建築物の用途は以下のような分類になっています。

区分用途
興行場(映画館、劇場等)、百貨店、集会場(公民館、結婚式場、市民ホール等)、図書館、博物館、美術館、遊技場(ボーリング場等)
店舗・事務所
学校(研修所を含む)
旅館、ホテル
その他アからエまでの用途に類する用途多数の者の使用、
利用に供される用途であって、かつ、衛生的環境もアからエまでの用途におけるそれと類似しているとみられるものをいいます。

実際に建築物衛生管理技術者の受験資格の実務経験に該当する建築物の用途とはどのような建築物なのでしょうか。建築物環境衛生管理技術者の実務経験に該当する建築物は例えば、共同住宅、保養所、保育所、老人ホーム、病院などで環境衛生上の維持管理経験です。

興行場、店舗、学校、ホテル等の施設になるようです。これらの指定された用途の建築物の管理を2年以上経験することで受験資格は得られます。

なお、受験資格の実務経験に該当しない実務経験としては倉庫や駐車場、工場、通信設備、発電所などでの経験は受験資格に該当しないようです。建築物環境衛生管理技術者の試験を受験する場合は何が受験資格の実務経験に該当して、何が実務経験に該当していないかを確認する必要があります。

受験科目と合格基準

建築物衛生管理技術者の試験科目、配点、合格基準

建築物環境衛生管理技術者の試験科目、配点、合格基準

合計180問のうち117問を取ることができたら合格する可能性があります。つまり6.5割をたたき出す必要があります。暗記で解ける問題も多いので、暗記できる問題は暗記することが合格の秘訣といえます。他の資格試験と比較して建築物環境衛生管理技術者の試験はかなり高い合格基準です。

ただ、電験3種や第2種電気工事士資格など、ビルメン上位資格やビルメン4点セットを取得していると解ける問題も多いので、すでに資格をお持ちの方にとっては大きなアドバンテージになります。

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建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)の合格率・難易度

建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)の合格率は高い?低い?

ビル管理士の合格率の推移(過去11年間)

ビル管理士の合格率の推移(過去11年間)

この図からわかるように、ビル管理士の国家試験は合格率30%以下の難易度の高い国家資格といえるでしょう。この合格率の低さがビルメン三種の神器・上位資格といわれるゆえんにもなっています。ただ、合格率で特徴的なのは、ビル管理士の合格率は、年度によって波があり、平成23年度からは合格率で「当たり年」と「外れ年」を繰り返しているということです。平成30年度で合格率が21%だったので、2019年度は合格率が下がる可能性があります。(参考「建築物衛生管理技術者(ビル管理士)の合格率は高い?低い?」) 

建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)の難易度、勉強時間はどのくらいなの?

建築物衛生管理技術者(ビル管理士)試験の合格までの勉強時間は当然個人差はありますが、おおよそ1000時間とされているようです。ビル管理士試験の試験内容自体の難易度は電験やエネルギー管理士に比べれば高くはありません。というのも問題数が圧倒的に多い分、過去問と似た傾向の問題や、暗記で解けるような問題が多く出題されるからです。

勉強時間が長くかかってきてしまうのと、合格率が低いことから一見難易度の高そうな試験ですが、コツコツと過去問を解き倒し、暗記を重ねることで難易度を下げることが可能になります。特に、☝の円グラフで見た合格基準で、配点が高いものを集中して過去問演習などをすることによって効率的に難易度の壁を超えることができるでしょう。難易度が高い試験でも、過去問遠陬や毎日コツコツと勉強することで合格することは資格試験の鉄板です。ですが、やはり問題数が多いのでその分勉強時間はかかってきます。

建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)を講習会で取得

ビル管理士の資格を取得するもう一つのルートが講習会を受けて取得する方法です。建築物衛生管理技術者の資格を試験で取得しても、講習会で取得してもその資格の効力は変わりません。

講習会情報:受験資格、受講科目

区分内容
受験資格学歴か免許+実務経験〇年
受講料金108,800円(テキスト代等)
受講期間毎月開催で約三週間
募集人数毎回約100人
開催場所東京、大阪

建築物衛生管理技術者の国家試験同様に、講習会でも学歴と、保有している免許で受験資格に実務経験を求めています。講習会での受験資格の実務経験は試験と同様に建築物の用途によって実務経験を認められます。

講習会の受験資格で求める実務経験は「特定の建築物の用途、その他これに類する用途に供される部分の延べ面積がおおむね3000m²を超える建築物での環境衛生上の維持管理業務」です。特定の建築物の用途とは、興行場(映画館など)、百貨店、集会場、図書館、学校などの建築物を指し、倉庫や工場などは該当しないようです。これらの建築物での環境衛生上の維持管理の実務経験を所定の年収経験すれば講習会の受験資格を満たします。

詳しくはhttp://jahmec.or.jp/koushu/kanrigijutu.html#k04

建築物衛生管理技術者講習会受講科目と、その時間

建築物衛生管理技術者講習会受講科目と、その時間

 

講習会の受講科目は国家試験による試験の科目と同じですが、合計101時間の講義を3週間で受けなければなりません。全講義を受講し、修了考査に合格すると修了証書がもらえ、正式にビル管理の資格を取得できます。修了考査は、講習会の講義にきちんと出席していればほとんど不合格となることはないので、まじめに講習会に参加していれば免状取得となります。申し込みについては手引書をよく読み、日本衛星管理教育センター か、大阪支部 へ郵送します。

建築物環境衛生管理技術者の資格を試験で取得するか、講習会で取得するかは悩みの一つではと思われます。試験はテキスト、参考書を買いそろえる費用がかかりますが、講習会は一律で10万円かかります。合格の難易度は講習会の方が低いですが、コストとかける時間でを考慮したうえでどちらで取得を目指すかを決めましょう。両者の取得方法に違いはあれど、結局合格してみれば同じです。大事なのは資格に伴った知識と実力があるかどうかです。

建築物衛生管理技術者(ビル管理士)の年収ってどうなの?

建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)の年収は400万~600万円

ビル管理士の試験は合格率が低く、合格までの勉強時間がそれなりにかかるので、ビル管理士合格のメリットは気になるのではないでしょうか。そのメリットとしてよく上がるのは年転職に有利、収アップ、昇級、資格手当の支給などとされているようです。ビル管理士の年収についての記事はこちら「ビル管理士の年収って割に合うの?

では、実際に建築物衛生管理技術者の年収は一体どのくらいなのでしょうか。建築物環境衛生管理技術者は厚労省の賃金基本統計に年収統計が入っていないので、転職サイト建職バンク内にある求人情報から年収提示の下限値と上限値を算出し、その平均を算出したものが以下になります。

年収下限値年収上限値平均年収
380.8万円590.2万円449万円

求人情報から求める独自調査に建築物環境衛生管理技術者の年収はおおよそ380万円~590万円となりました。建築物環境衛生管理技術者として選任特化の求人よりは、電験3種、エネルギー管理士などと合わせての求人が多い傾向にありました。

建築物環境衛生管理技術者'(ビル管理士)の資格免状を保有している人を選任したいという求人はそこまで多くはありません。ビル管理士として選任を求める求人は清掃業務スペシャリストとして期待している場合や、ビルメンテナンスのうち清掃業務に特化した管理会社での勤務などが多いようです。また、雇用形態も正社員、契約社員双方あり、公共施設での選任を期待する求人では契約社員募集が多くあります。

次に建築物衛生管理技術者(ビル管理士)の年収モデルケースを参照します。

建築物環境衛生管理技術者年収モデル

建築物環境衛生管理技術者年収モデル(この求人情報はこちらから)

 

まとめ

以上、ビルメン三種の神器・上位資格の一角とされることのある建築物環境衛生管理技術者の資格についてを受験資格、試験科目と合格基準、合格率・難易度、年収などといった観点から紹介してきました。建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)という資格は何といっても勉強時間がかかる難易度の高い試験です。試験合格後に訪れるメリットは転職・年収、給料アップ、資格手当の支給など様々です。メリットを考えると、費用対効果がある資格です。建築物環境衛生管理技術者の資格はおすすめの資格とも言えます。