「第二種に合格したから、第一種も何とかなるだろう」 もしあなたがそう考えているなら、少しだけ立ち止まってください。

第一種電気工事士の技能試験は、第二種とは求められるレベルが一段階違います。高圧受電設備に関わる高度な作業、太いケーブルの取り回し、そして60分という長丁場での集中力維持。これらをクリアし合格を勝ち取るためには、正しい戦略と準備が不可欠です。

この記事では、建設業界専門の転職支援を行う「建職バンク」が、第一種電気工事士技能試験の攻略法を徹底解説します。公表問題のポイントから、合否を分ける「欠陥」の基準、さらに合格後に待っている年収アップの可能性まで、あなたのキャリアを飛躍させるための情報をお届けします。

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第一種電気工事士 技能試験の概要と難易度

まずは試験内容を知ることから始めましょう。第一種の技能試験がこれまでの試験とどう違うのか、その実態を紐解きます。

第二種電気工事士との決定的な違い

最大の違いは「試験時間」と「高圧範囲」です。

第二種の技能試験が40分であるのに対し、第一種は60分になります。時間が長い分、余裕があるように思えますが、これは大きな誤解です。

第一種では、高圧絶縁電線(KIP)や変圧器、高圧カットアウトなど、第二種では扱わなかった部材が登場します。また、回路構成自体も複雑で施工量も圧倒的に多いため、60分間手を動かし続けてようやく完成するかどうか、というシビアな時間配分になっています。特に、太くて硬いケーブルの加工作業は握力を消耗させるため、後半の結線ミスを誘発しやすいのです。

合格率の推移から見る「実質的な難易度」

まずは第一種電気工事士技能試験の直近の合格率を見てみましょう。

年度 平均合格率
2025年度(令和7年) 58.12%
2024年度(令和6年) 59.93%
2023年度(令和5年) 60.57%
2022年度(令和4年) 62.73%
平均 60.29%

(参考:一般財団法人電気技術者試験センター「第一種電気工事士試験の試験結果と推移」

近年の技能試験の合格率は、概ね60%前後で推移しています。「意外と高い」と感じるかもしれませんが、第二種電気工事士の技能試験と同様、たった一つの欠陥で不合格になってしまうため油断は禁物です。

主な不合格の要因は、時間切れによる未完成か、欠陥による一発アウト。特に「施工条件の読み違え」によるミスは、どれだけ綺麗に施工しても不合格となります。「小さなミスが命取りになる」という意識で臨む必要があります。

技能試験を突破する3つの攻略ポイント

では、具体的にどうすれば合格ラインに到達できるのか。多くの受験者がつまづくポイントを中心に、3つの攻略法を伝授します。

公表問題(候補問題)全10問の傾向と複線図対策

第一種の技能試験は、事前に公表される10問の候補問題の中から1問が出題されます。結論から言えば、10問すべてを最低1回、できれば2〜3回練習することが合格への最短ルートです。

「似たような問題だからやらなくてもいいや」という油断は禁物です。問題ごとに変圧器の結線方法や、パイロットランプの点滅条件(常時点灯、同時点滅など)が異なり、これらは丸暗記で対応するには限界があります。

候補問題は「電気技術者試験センター」のサイトで毎年公表されます。

また、複線図については「書く派」と「書かない派」に分かれますが、第一種に関しては書くことを推奨します。高圧側の結線や変圧器周りは複雑で、頭の中だけで整理しようとすると、本番特有の緊張で必ずミスが出ます。開始3分できっちり複線図を描き、それを設計図として迷いなく作業する方が、結果的に時間短縮につながります。

KIP電線・変圧器など「第一種特有」の作業を極める

第一種ならではの難関、それがKIP電線(高圧絶縁電線)の処理です。被覆が厚く硬いため、第二種で使い慣れたケーブルストリッパーだけでは対応できない場合があります。

対策としては、熟練が必要な電工ナイフを練習するか、初心者でも時短可能なKIP線対応ストリッパー を用意して、タイムロスを防ぐことが重要です。

また、変圧器や開閉器などの代用として使用される端子台への結線も重要です。端子台のネジの締め付け不足や、心線のはみ出しは欠陥対象です。どこに何を繋ぐかを複線図で明確にし、指差し確認しながら接続する癖をつけましょう。

一発アウトを防ぐ!欠陥の判断基準

技能試験には、減点方式ではなく「一つでもあれば不合格」となる欠陥の基準があります。 以下に欠陥事例をいくつか紹介します。

  • 誤結線: 回路図と異なる接続(スイッチとコンセントの逆接続など)
  • 極性違い: ランプレセプタクルやコンセントの接地側(N)に非接地側電線(黒)を接続してしまうミス
  • 未結線: 電線が接続されていない、または抜けてしまう状態
  • リングスリーブの刻印ミス: 圧着ペンチのダイス選び(小・中・大)の間違い
  • 電線の損傷: 心線に深い傷が入っている(断線の恐れ)

これらの欠陥は、完成後の見直しで見つけても修正時間が足りず手遅れになることが多いです。作業の各工程で「欠陥を作らない」チェックを行いながら進めることが重要です。

欠陥事例の正確な詳細は、「電気技術者試験センター」のページに掲載されているため、詳しく知りたい方はこちらをご確認ください。

試験当日に焦らないための持ち物と準備

試験当日は独特の緊張感があります。道具の不備でパニックにならないよう、万全の準備をしておきましょう。

  • 指定工具セット: 圧着ペンチ、プラス・マイナスドライバー、ペンチ、電工ナイフ、ウォーターポンププライヤー、メジャー。これらは必須です
  • ケーブルストリッパー: 時間短縮の最強アイテム。VVRケーブル対応のものがあるとさらに便利です
  • 合格クリップ: 複数の電線をまとめておくクリップ。リングスリーブ圧着時のミスを防ぎ、作業効率が格段に上がります
  • 養生テープ: 問題用紙やゴミ袋を机に固定するために使えます(会場によっては不可の場合もあるので確認が必要)
  • 腕時計: 試験会場に時計がない場合も多いため、必ず持参しましょう(スマートウォッチはNGの場合が多いです)

また、前日までに工具のメンテナンス(ドライバーの先が欠けていないか、ナイフは切れるか)を済ませておくことも忘れずに。

試験合格後の流れ

注意が必要なのは、「試験に合格してもすぐに第一種電気工事士として免状がもらえるわけではない」という点です。免状の交付には、試験合格に加えて実務経験が必要です。

実務経験に必要な年数は、2021年の法改正により「一律3年以上」へと大幅に短縮されました。 これにより、未経験からスタートしても最短3年で正式に第一種電気工事士としてキャリアアップが可能になりました。合格後は、実務経験が積める登録電気工事業者などでしっかりとキャリアを形成していくことが、免状取得への近道です。

また、実務経験の必要年数は試験合格前の期間も合算可能です。例えば第二種電気工事士として3年間電気工事に携わっていれば、試験合格後すぐに免状申請をすることができます。

※実務経験として認められる業務には規定があるため注意が必要です。

第一種電気工事士の実務経験や免状申請については以下の記事で詳しく解説していますので、詳細を知りたい方はこちらの記事もご確認ください。
第一種電気工事士の免状取得に必要な実務経験ってなに?法改正後の必要年数や証明書の書き方を解説

第一種電気工事士の資格価値

晴れて第一種電気工事士に合格した後、あなたのキャリアはどう変わるのでしょうか。

資格手当や年収アップの相場

第一種電気工事士は、ビルや工場などの高圧受電設備(最大電力500kW未満)の工事に従事できる、非常に市場価値の高い資格です。

多くの企業で資格手当が支給され、相場としては月額5,000円〜20,000円程度。年収ベースでは、第二種のみの保有者と比較して50万〜100万円以上高くなるケースも珍しくありません。

また、大規模な現場の職長や管理職候補として採用されるチャンスも増え、将来的には年収600万円〜800万円クラスを目指すことも十分に可能です。

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第一種電気工事士 技能試験に関するよくある質問

Q. 独学での練習期間はどれくらい必要ですか?

A. 個人差はありますが、1〜2ヶ月(合計50時間以上)の練習時間を確保することをおすすめします。週末にまとめてやるよりも、毎日1問ずつでも手を動かす方が技術が定着します。

Q. 電動工具は使用できますか?

A. 2025年度時点では、充電式ドライバーなどの電動工具の使用は認められていません。全て手動の工具で施工する必要があります。受験要項を必ず最新のもので確認してください。

Q. 複線図は書かなくても合格できますか?

A. 制度上は書かなくても問題ありませんが、前述の通りおすすめしません。第一種の複雑な回路を記憶だけで結線するのはリスクが高すぎます。正確な複線図を書く練習を含めて対策しましょう。

まとめ

第一種電気工事士の技能試験は、決して運だけで受かる試験ではありません。今回の記事を整理すると以下の3点になります。

  • まずは道具を揃えて、使い方を理解する
  • 欠陥例を押さえてもったいないミスを無くす
  • 公表される候補問題を確認し、反復練習をする

公表問題への対策を徹底し、欠陥の基準を理解して練習を重ねれば必ず手が届く資格です。

この資格は、あなたの技術者としてのレベルを証明し、年収アップやより良い待遇へのパスポートとなります。 試験勉強と並行して、「合格後の自分」がどこで輝けるか、一度考えてみませんか?

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