東京都墨田区は23区の北東部、隅田川と荒川に挟まれた江東デルタ地域に位置し、いわゆる「海抜ゼロメートル地帯」を含みます。堤防ができる前は、大きな台風が来ると必ず隅田川が氾濫し、住宅内に浸水が発生していました。江戸時代以来、東京の下町の代表的な地区でもあります。
明治時代以降は工場が数多く設置され、メリヤスや金属、機械器具、印刷などの町工場や家内工場が隣接して建っています。江東工業地域の中心をなしており、工業・商業・住宅の混在する過密地帯を形成しています。隅田川沿い墨東通りの鐘ヶ淵には鐘ヶ淵紡績(現カネボウ)があり、吾妻橋のたもとにはアサヒビールの本社や倉庫があります。
錦糸町駅周辺は商店街、娯楽街として発展しています。
区域南部をJR総武線、北部を東武鉄道亀戸線・伊勢崎線、京成電鉄押上線が走ります。京成電鉄押上線は都営浅草線、東武伊勢崎線は東京メトロ半蔵門線に乗り入れており、利便性の高い路線です。道路は首都高速6号向島線・7号小松川線、国道6号線(水戸街道)・14号線が通っています。
名所としては、2012年に開業した東京スカイツリーが有名です。国の史跡、名勝に指定されている向島百花園も墨田区です。また、国技館が蔵前から両国に移転し、隣接地には江戸東京博物館が建てられています。その他、両国には赤穂義士討入りの吉良邸跡、無縁仏の供養されている回向院があります。そばに、潮入り回遊庭園として有名な旧安田庭園もあります。隅田川沿いの隅田公園は古くから桜の名所であり、毎年多くの花見客で賑わいます。近くにある長寺命門前の桜餅や言問団子も、江戸時代からの名物です。